1.小型軍用車両、トラック(〜3トン クラス)

ハンバー・スーパースナイプ

エアフィックス(1/32)

 モンゴメリー元帥が使用した「モンティズ・ハンバー」としてキット化されている。発売は1974年頃とかなり古いモノだが、再販品をよく見かける。キットの出来は素晴らしく、その細部表現などは現在のキットと比べても遜色がないほどである。また、キットに付属しているモンゴメリー元帥のフィギュアがこれまた出色の出来で、「本物そっくり」な表情をしている。

 特に難点と言えるようなところはないが、多少合いが悪かったりするし、非常に繊細な部品があったりするので組み立てには神経を使わされることもないではない。とはいえ、キット自体の完成度はものすごく高レベルであるので、ぜひ一作をお薦めしたい。

オースティン・ユーティリティー

 民間車両を軍用に転用した4×2の軽トラック。キットはADV/Azimutから発売されており、少ない部品ながらよく再現された佳品である。資料が少ない英軍車両だが、Wheels&Tracksで特集が組まれており、それを入手すればほぼ十分と言えるだろう。

ガイ・アント 15cwt(4×2)

 いかにもイギリスのトラックらしい面構えのトラック。キットはオランダのScale-Lineから発売になっている。大変簡素な作りではあるが成形状態は大変美しく、簡単に組みあがりそうな印象がある。この勢いでぜひ4輪駆動のクォード・アントを出して欲しいところである。
(なにせキットはドアのつかない初期型だから・・・)

モーリス・コマーシャル C8/GS

 イギリス軍軽トラックの標準ともいうべき車両。キットとしてはARRAN MODELというイギリスのレジンキットメーカーから発売されているようだが、詳細は不明。

 オランダのScale-LineからCS8(4×2)のウォータータンカーが発売になっている。簡素な作りながら組みやすそうな素性のよいキットである。引き続きラジオカー(キャビンタイプ)、GSボディ(標準トラック)も発売される予定である。

 また、すでに絶版になっていると思われたLEAD SLEDのキット(こちらもCS8)もイギリスのScale Link(これも「生きていたのか!」という感じではあるが)から直接購入出来る。

CMP 15cwt

 カナダで製作されたトラックとして有名である。キットはイタレリのものがあるが、大元は旧MAXの製品で20年選手である。しかしながら、決定版と言ってもよい出来で、現在の目で見てもほとんど遜色がない。とはいえ、ドア周りの立て付けが悪く、組みたてにはかなり難渋する。このシャーシーを利用した各種支援車両の改造キットもいろいろ出ており、バリエーションが楽しめるが、中には入手困難なモノもあるのが苦しいところだ。クローズドキャビンの改造車両の場合、リアのトレッドが狭くなっているので製作する場合は要注意のこと。

★改造キット★

HUA(Heavy Utility Ambulance)

 クローズドキャビンとなった野戦救急車タイプ。キットはフランスのLA HOSCHから発売されていた。インテリアの再現もされた好キットだったが、現在の入手はかなり困難。レジンキットに力を入れていたショップなら店頭在庫に残っているかもしれない。イタレリのCMPがセットされており、このキットだけで組みたてることが可能なのはナイスなポイント。
(その分価格がアップしているが・・・)

HUP(Heavy Utility Personal)

 クローズドキャビンとなった兵員輸送車型。とはいえ実際の運用は連絡・通信用に多用されたようだが。キットはチェコのPLUSモデルから発売されており、ガッシリした肉厚のレジンパーツで比較的組みやすい。こちらはイタレリのキットを自前で用意しなくてはならない。

HUW(Heavy Utility Wireless)

 無線機を搭載した通信用車両。これはLA HOSCHとPLUSから発売されているが、前者のキットは入荷数が少なかったのかほとんど見かけなかった(残念ながら未入手)。インテリアも再現さている好キットだったようだ。PLUSのキットはHUP同様のガッシリしたパーツのキットで、残念ながら内部は全くオミットされている。

15cwt Water Tanker

 車体後部に水タンクを積んだ特装車。キットはLA HOSCHから発売されている。キットにはイタレリのCMPが付属しており、お買い得感はあるが、決して安くはない。入手は困難だが、レジンキットに力をいれていたショップなら在庫で残っている可能性がある。キットには大判のエッチングやメタルパーツも入っていて精密感を盛り上げているが、製作はやさしいとは思えない。

ベッドフォード MW 15cwt

 大戦全期間を通して大量に使用された、特徴的なフェイスマスクを持つ英軍を代表する軽トラック。キットはチェコのTondaからウォータータンクトラックがバキュームフォームキットで、ARRANからは標準トラックと軽無線車がレジンキットで発売されている。前者のキットは今でもたまに見かけるが、くみ上げるのには大変な情熱が必要であろう。今の時代にバキュームを組むというのはモチベーションを維持するのが実に大変である・・・。後者のキットは海外通販で直接取り寄せるしかないが、キットの出来としてはあまり芳しくないようなので、そこまでして購入する必要があるかどうか疑問である。いずれ他メーカーから出来がよいレジンキットが発売されるような気もするし・・・。

 イギリスのROADCRAFTからキット化された。シャーシーフレームがメタル製、その他の小パーツもメタル製で「精密感と強度」の折り合いをつけているのが珍しい。レジンパーツはキャビン、荷台、ボンネットのみで、マルチマテリアルというよりは「メタルキット」と言った方がいいような作りである。これもまたイギリス製ガレージキットの特質なのかも知れないが。

 キットの出来は大変素晴らしく、必買キットの一つと言えるだろう。ただ、国内への流入は絶望的で直接購入しか道はないと思う。しかも、メーカーがメールアドレスを持っておらず、手紙かFAX以外にやり取りのしようがないというのでは入手へのハードルはかなり高いと言えるかもしれない。
(それを乗り越えても入手する価値があるキットではあるのだが・・・)

オースチン K2 アンビュランス

 イギリス軍野戦救急車といえば、これが思い浮かぶほどの有名な車両。キットは懐かしのエアプレスのバキュームとアーマーモデルスのレジンキットがある。どちらも入手は絶望的ではないだろうか? アーマーモデルスのキットはフルレジンでシャーシーが前後2分割になってるなど模型として疑問があるような部分はあるが、全般的な出来はかなりいい。インテリアが再現されているのもポイントが高い点である。

CMP FAT

 25ポンド砲などを牽引する車両でFATとはField Artillery Tractorの略であり、タミヤなどが「ガントラクター」と称しているのは間違いである。大戦前半に使われたCab12タイプがタミヤから、後半によく見られるCab13がイタレリから発売されている。後者のキットの原型は旧トミー(原型はMAX)のキットでオリジナルのゴムタイヤがプラ製インジェクションに変更されている。ここ数年、全く再版されていないので、入手は絶望的である。旧トミーのキットは実に素晴らしい出来で、20年も前に発売されたとは信じられないくらいである。今でも決定版だと言えるだろう。

モーリス C8 FAT

 CMPが基本的にカナダ軍で使われたモノであるのに対し、英軍で大量に使用されたモーリス社製のFATである。雰囲気は大変よく似ているが、ウインドウなどが小さく一見して居住性が悪そうなのが特徴的な車両である。キットとしては存在しないが、アキュリットアーマーから発売予定である。実際にはいつ発売になるか未定なのが惜しいところだ。

フォードソン WOT2 15cwt

 どちらかといえば大戦前半(西方戦役あたり)に多用されたトラックであるが、かなりの数両が北西ヨーロッパでも使われている模様である。キットはJMPから発売されていたが、入手はかなり困難だろう。クラシカルな雰囲気の感じのいいトラックなのだが・・・。

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