大型車免許 取得の道のり その1


原付免許も定番の16歳から取れるにも関わらず、1990年7月に人生初の免許と名の付く物で
原付のおまけ付き普通車一種免許(以下:普免)を取得。そしてこの普免だけで14年余りが過ぎ、いつの間にか三十ウン歳。
普通車で運転できる5トン未満の貨物車、10人乗り普通車も制覇してしまいました。

普通車免許で運転できる貨物車の5トン未満車は、
ただ積載量が普通車免許でOKと言うだけで
4.5トン車ともなると図体はほとんど大型車。
引っ越し手伝いで転がしまして、
「こんなクソでかい車が普通車免許で乗れちゃうの?。教習所でも習ってない」と矛盾を抱えつつ、何となく乗り終えた次第です。

10人乗り普通車は数々の旅行でレンタカー。図体はただのワンボックス車なんですけど、これが一番後ろに乗っている人の
声が聞こえず、運転席ではほとんど会話にならない。
しかもフル定員になるとイノシシ走りでブレーキもかなり甘い。

そんなこんなで普通車免許だけでこれから先、用が足りるのか?
しかもこれから運動神経が鈍る一方で、いざ大型車に乗ることになった時の運動神経が厳しくなりそう・・・
また免許制度の改正案で、これまで大型車枠としての5トン以上だったのが細かく分類され5トン〜11トンまでの
中型車が新設され、しかも中型車も大型車同様の技能試験が課せられるとあって、今のうち・・・・と言うことで
ほとんど思いつきで踏み切り大型車免許取得への道を歩むことにしました。


【大型自動車免許の運転資格(20歳以上:
年齢のほかに、普通免許か大型特殊免許を取得して通算2年以上必要
大型特殊自動車、大型および普通自動二輪車、小型特殊自動車以外の自動車で、次の条件のいずれかに該当する自動車
○車両総重量→8,000kg以上のもの
○最大積載量→5,000kg以上のもの
○乗車定員→11人以上のもの

●特定大型自動車の運転資格
特定大型自動車を運転する場合は、大型免許を受けているほかに、以下の運転資格がないと運転できません。
@21歳以上であること
A大型免許、普通免許または大型特殊免許のいずれかを受けていた期間が、通算して3年以上(免許の効力が停止されていた期間除く)であること。
大型自動車のうち、以下のような自動車を特定大型自動車といいます。
@車両総重量が11,000kg以上のもの
A最大積載量が6,500kg以上のもの
B乗車定員が30人以上のもの
C火薬類などを積載している車(火薬50kg以下、爆薬25kg以下を除く)
D砂、じゃり、玉石、土、アスファルトコンクリート、レディミクスコンクリートの運搬を業とする車(大型ダンプカーなど)
E大型自動車に該当する緊急自動車(緊急用務で運転する場合に限る)
※緊急自動車を運転するときは、それぞれの免許のほかに次の資格が必要です。 (公安委員会の審査に合格した人などは除きます)
・大型自動車→21歳以上で免許取得3年以上 ・普通自動車→免許取得2年以上 ・大型および普通自動二輪→免許取得2年以上


ちなみに・・・・
【普通自動車免許の運転資格(18歳以上)】
大型自動車、大型特殊自動車、大型および普通自動二輪車、小型特殊自動車以外の自動車で、次の条件のすべてに該当する自動車
○車両総重量→8,000kg未満のもの
○最大積載量→5,000kg未満のもの
○乗車定員→10人以下のもの
○ミニカー (エンジンの総排気量が50cc以下、または定格出力が0.60kw以下の普通自動車)


まずは大型車免許を取得するに当たって、どのような方法で取るか?

簡単に3つの方法が考えられました。
1、大型車免許の公認教習所に通いながら免許取得。(試験場での技能試験免除)
2、大型車免許を取得するための非公認教習所に通い、練習した上で免許取得。(試験場での技能試験あり)
3、そんな教習所なんて通ってられないし金もかかる!。試験場で一発合格。(もちろんこれも
試験場での技能試験あり)

大型車一種免許(以下:大免)の場合、路上での技能試験は無く、また学科試験も普通車免許取得時に合格しているのでありません。
大型車は要は体で覚えろ!ですね。 ちなみに取得までの予算は1から順に安くなります。

そこで考えた・・・・。とりあえず一発合格はこれから先、大型車を基礎もなく運転していける自信もなく
万が一なことになったら大変!!?、その手のコツをよ〜く知っているエキスパートに教わるのが無難と
1か2の選択肢に絞られました。まずは予算的にリーズナブルな2の教習所での教習内容を・・・・。
近所に非公認大型車教習所があるのでそちらに足を運んでみました。
しかし話を聞くとビックリ!
「あのね〜、大体の皆さんが5回から10回も乗れば大体試験場でも受かりますよ〜。一種は簡単なんだけどね〜
2種は学科があるからそこに置いてある教本を読めば大丈夫だよ」
おぃおぃ、こんなんでいいのかい?しかも渡された入学申込書の紙ぺら、ハンコウを押す場所すらないよ。
なるほどね、非公認校は用は練習校でここで大体のコツを覚えて、試験場に望む・・・ってことなのね。
ここでもちゃんと教えてはくれるんだろうけど、5回〜10回乗った程度でいいのかちょっと不安。
例え免許が取れたとしても先々にやはり何が起こるか分からないし、練習校は諦めました。

と、言うことで予算的にはちょっとかかりますが1の公認教習所に足を運ぶことにしました。

公認校とあって取得までのカリキュラムはしっかり組まれてまして、免許取得までの最低技能数は22h。
学科はありませんが、基本は普通車と同じなのでその手の本で目を通すだけでも、技能を受ける際に
気持ち的にもかなり違うとのことでした。
と言うことで、1の公認校に入学申し込みをし、いざ大型車免許取得の道のりスタート。

【1段階:所内コース教習編】

2003年11月16日(大型所内:1時限分)
入学申し込み。まずは適性検査。大型車の場合は普通車同様の視力と色覚、
そして大型車だけにある深視力と言うのがあります。
深視力とは横一列に並んだ2本の固定された棒の間に、前後に移動する棒が一本。
正面から見て3本の棒が見えるわけですが、この真ん中の一本の棒が前後に動いて固定された2本の棒と
横一列になった時にボタンを押す、この固定された棒と移動する棒の距離が短ければ良いというもの。
基準は数回の平均をとり2.0cm以内。 私はめでたく誤差0.7cmと好成績だったそうです。
適性検査は、非常に簡単な筆記検査で、これでこれからの運転にかかわる自分の性格を判断してくれるというもの。
これが意外に、自分は自信過剰になりがちで思わぬ事故に遭遇する可能性があります、とのこと。
これは大型車のみならず、これからも気を付けなきゃ〜ね〜
適性検査を終了し、ここで帰ろうかと思いきや、技能予約状況を見ると・・・・「空いてる・・・」
と、入学申し込みと同時に技能教習の予約を入れてしまいました。
確か14年前の普通車の時も同じようなことをしていた気が・・・(;汗)
そして初の技能教習は
車両の前後感覚を養うべくコースの外周をグルグル。
恐らく誰もが思うんでしょうけど、運転席が高い・・・・。車幅が広い・・・・。ホイルベースが長く運転席が前輪の前にあるので、
リアタイヤが遠いね。あっと言う間に内輪差でリアタイヤが隣の車線に入りそうね。
そして乗り心地が悪いね。 と、言うわけで本日の教習は終了。


2003年11月23日〜12月13日(大型所内:7時限分)
ここからが本番(みたいなもの)。初回はコースの外周で車体感覚を養いましたが、ここから狭道への右左折、交差点右左折、障害物通過等の
普免でもあった教習を大型車で。
まずはここで実感。14年のブランクの間、かなり我流の運転になっていました。

MT車は普段から運転していたので(持っているだけ)、何も問題ないのですがクラッチペダルにクラッチが繋がっているにもかかわらず
悪い癖で足がペダルに載っている。
これは大型車にとっては致命的。要は直ぐにクラッチを切る体勢が整っているわけですが大型車の場合、仮に積載量20トンともなると
車体重量を合わせると積載量以上の重さがかかっていて、いざブレーキ!と言う時にクラッチをつい踏んでしまうと、ブレーキのみで止まるはめに・・・。
そうすると
乗用車ではある程度通用するブレーキも大型車になると通用せず、停止まで乗用車に比べかなりの制動距離になってしまう。
ブレーキングは必ずエンジンブレーキ併用、または排気ブレーキ併用で止まるべし!。

そして次なる悪い癖は逆手ハンドル。これは乗用車でもいけない、いけないと思いつつ、普免ホヤホヤの時期に
パワーステアリングのない車を乗り回していたばっかりに、この逆手ハンドルをすると力をかけやすく楽にハンドルが回せるんですね。
ご存知の通り、これは急な危険回避時にハンドルを回しづらいのです。要は逆手は御法度!。

またまた次なる悪い癖は進路変更時の目視。ミラーは見るのですが目視が曖昧状態。これも大型車のようなホイルベースの長い車の場合、
曲がるときに信じられないくらい後輪は内側を通るのです。もしこれが一般道でミラー死角に二輪等がいたら、二輪は車体長の長い大型車だと逃げ切れずに
確実に巻き込んでしまうのです。あと車体が長い分、巻き込む確率も高くなるんですね。
大型車は特に目視は確実に徹底するべし!。

と、ここまでは普通車でも共通する悪い癖。その悪い癖を克服しながら大型車特有の運転技術を習得していくのです。
簡単に述べると、大型車の基本はマニュアルミッションのディーゼル車。そしてディーゼル車のお約束でセカンドで発進。
シフトのパターンも一般の乗用車のローのポジションが一般的にバック。セカンドの位置がローと乗用車のシフトパターンとは1速ずつずれている
ローバックシフトパターン。初めのうちは、「*速」と言われても一瞬躊躇してしまい、どこへシフトを運べばいいのか分かりづらい・・・。

普通乗用車(5速MTの場合)


大型車(ローバックシフトパターン6速の場合)

いかんせん、運転中にこのシフトパターンを見ながらシフトチェンジ・・・なんていきませんから、
体で覚えるしかないのです。

そして乗用車にはないエアブレーキ。これが予想以上にやっかい。積載数トンを載せれる自動車はそれなりの強力なブレーキが普通に装備されているわけで、
教習車のような未積載の車のエアブレーキは、当たり前だが乗用車のように踏むと一気に効く。
そしてブレーキペダルの形状もアクセルペダル同様のオルガン式(オルガンのペダルと同じ)で、これが慣れるのに結構やっかい。
ただ、これも楽に強力にブレーキをかけれるようにすると、オルガン式ペダルになるわけで、乗用車のブレーキペダルに慣れっこになっている自分には、
オルガン式ブレーキペダルに慣れるまでに数回の教習を要した。

普通乗用車のペダル:MT車(簡易図 A:アクセル B:ブレーキ C:クラッチ)
  

大型車のペダル
  

そして交差点などの右左折時の車体感覚。運転席が前輪の操舵輪より前にあるため、曲がるときは横にスライドしていく感覚になる。
大抵の乗用車の場合、前輪と後輪の間に運転席があるため、曲がる時は前で曲がる車体を後ろの運転席から眺めながら曲がっていくのが、
大型車の場合、運転者が先に前に出て曲がっていく。乗用車感覚だと直ぐにぶつかりそうな感覚になるが、曲がるときに横にスライドしていく為、
あっさり曲がってくれる、しかも意外に前方もギリギリではない。と、言うか一拍前に出て曲がらないと、あっさりと後輪が内輪差でセンターラインを超えてしまうので、
乗用車感覚では曲がっては大変危険。曲がるときは十分に直進してから曲がるべし。

普通車のコーナリング


大型車のコーナーリング


次に死角。乗用車の場合、簡単に説明すると右ハンドル車の場合は左の前ドア側面と右側側面。後方は右側後方ドア側面から後ろとなるが、
大型車の場合は車体高が高いため乗用車の死角+下方向が加わり、前方も下方向が死角。ミラーで補えるが、乗用車の2つのミラーに加え、
前下方ミラーに左下方向のミラーがあり、確認するミラー数も多い。そして一つ一つのミラーが曲面ミラーで大きいため、初めのうちはジックリ見てしまう。
実際の走行時はジックリ見るわけにもいかないため、大きいミラーでも瞬時に複数ミラーで判断できるようにしなければならない。
停止位置も乗用車感覚で停止線ピタリと車体を止めるとNG。
左側ミラーが車体から斜め前方に飛び出ているため、このミラーが停止線からはみ出てしまう。ミラー感覚と大型車特有の死角を養うべし!。

と1段階で所内コースを走るにも大型車は乗用車+αに慣れなければならず、初めのうちは非常に疲れた。
もちろん、乗用車の教習で一般的に行われるS字、クランク、坂道発進、踏切通過もできなければなりません。
車体の挙動も乗用車とはかなり違うため、慣れるまでに数回の教習を要しましたが、何とか1段階の最短8時限で見きわめをいただき、
いざっ!修了検定へ駒を進めることができました。
ここまでのコツは、乗用車の感覚から大型車の感覚をつかめるようになれば、あとは大型車特有の技能を修得すれば思った以上には難しい物ではない。
そうするには技能教習を受ける間隔をなるべく開けないよう、1回目に乗った時点から早く修了検定へ駒を進めるように地道に乗っていけば修得も早いです。

2003年12月20日(仮免修了検定)
さてここまで1段階で習ったことをここで発揮するわけですが、上がり症の自分は今日は大丈夫かと不安を抱えながら試験に望みました。
繰り返すようですが大型車の場合、学科試験が仮免でも普通車を取得している場合は免除されていて、技能のみの試験。
持ち点は100点で検定での減点方式の70点以上で合格。
今日の検定コースは2コース(と言っても全然覚えてないですが)の運良く2番手。普通車の技能検定時は必ず後部座席に一人乗せて検定を受けますが、
大型車は後部座席なんぞ無いので、受験者のドライバーと検定員の2人のみで検定を実施します。
だもんで2番手は運が良かったのか悪かったのかが微妙で、1番手が検定中は発着点で待っていなければならない。
もちろん外なのでこの季節は寒いのなんのって。しかも待っている間、検定車を眺めているわけですが、人の運転ってうまく見えるもんですね。
そうしているうちに不安がどんどん溜まっていく。
ここで運良く検定を待っている間、コース内を教習で走っていた一台の大型車。自分の目の前で助手席の生徒と運転席の教官が入れ替わったわけですが、
その教官がいつもの鬼教官(と言わせていただきます)。この鬼教官は自分が3回目以降の教習で習った教官でしたが、
これがかなり細かいところをついて、かなり口やかましい教官。それ以来、自分の中では鬼教官となってしまったわけですが、
その教官が検定を待っている自分に「いつものように教えたとおりに落ち着いてやれば大丈夫だよ。乗る前にゆーっくり深呼吸すれば落ち着くから、がんばれ」
と言っていただき、教官を乗せた教習車は去っていきました。
今まで口やかましいことしか言わなかった教官が、まさか検定前に助言をいただけるとは・・・
嬉しさのあまりにかなり緊張がほぐれました。
そうしているうちに1番手の検定車が発着点に到着。いよいよ自分の番。ゆっくり深呼吸して乗車、そしていざ発進。
さっき助言していただいた鬼教官に、当時教習中に指摘されたポイントに近づくたびに、あの鬼教官の指摘言葉が脳裏によぎる。
そう、そう、こうだったな、と淡々と検定コースを走行し、緊張する前に検定が終了してしまいました。考えたら横に乗っているのは今日は教官ではなく
検定員だったんだな〜、と走行中はあまりにも緊張感を感じることなく検定を受けていたんだな〜と実感。こんなんで大丈夫なの?と不安の中・・・

結果は、めでたく合格。さすがに点数は聞くのを忘れてしまい分かりませんが、検定中の指摘事項として進路変更時の目視がやっているようで曖昧、
進路変更の寄せがあまい、でした。細かいことですが大型車は周囲の車に自分の車の挙動を伝えるのも危険防止上重要なこと。
そー言えば進路変更でちょっとハンドル切っただけでは車体はあんまり動かなかったんだ〜を思い出した次第です。

と言うことで、めでたく仮免までは教習数、修了検定もストレートで通過。ここから2段階の最短教習数14時限に駒を進めることができたわけですが、
この2段階でどうなることか・・・・。

仮免路上教習 2段階編へ