ブラックバス

 今や知らない人はいないというくらい全国的に棲息域を広げたブラックバスであるが、その勢力は 今も拡大し続けているようである。日本の河川や湖沼は彼らにとってよほど棲みやすいのであろう。 しかしこのまま放っておいて生態系に影響は出ないのだろうか。専門家ならずとも心配になるところ である。

 かくいう私も例に漏れず、中学時代からバス釣りを始め、ハンドメイドルアーを数多く作り夢中で 釣っていたのだが、当時はまだどこででも釣れるという魚ではなかったし、当然増えすぎて困ると いうような話は聞かなかった。

 ところが数年のうちに事態は一変した。私はもともとヘラブナ釣りが好きで、バス釣りに熱中し ているときでも2回に1回は近所の川にヘラブナ釣りに行っていた。すると、フナのほかにコイや オイカワ、カワムツ、モロコなど様々な魚が釣れた。ほかにも名前のわからないような小魚がたく さん釣れた。しかし、高校の頃、久々にその川に釣りに行くと、数匹のフナ以外何も釣れなかった のである。そしてまわりにはルアーマンばかり。

 近年、どこかに新しいダムができると数年後には必ずバスが繁殖している。そして増えたバスは 湖内にとどまらず、上流の川に広がっていく。アユやアマゴなど漁協が保護、放流をするような魚 種ならまだいいが、それ以外の日本古来の魚はブラックバスの出現によって絶滅寸前に追い込まれ ている。このような事態をバサーと呼ばれるような人たちはどのように考えているのだろうか。ま さか、バスが釣れるならそんなことはどうでもいいなどと考えてはいないだろう。

 ある漁協の組合長の話では、夜にどこかから大量にブラックバスを持ってきて湖などに放流する 人間が後を絶たないそうである。私はバス釣りというカテゴリーを否定するつもりはないが、それ はあくまで、バス釣りも自然を楽しむ一つの方法であると考えるからである。スポーツフィッシュ だとか、ゲームフィッシュなどと妙な横文字を並べ立てて傍若無人な態度であらゆる河川、湖沼を バスフィールドに変えようというような態度には全く辟易する。そういう連中に釣りをする資格は ない。

 私はバス釣り自体を否定するつもりはない。三枚に下ろしてムニエルにしても、そのまま塩焼き にしても美味くなかったので、その点においては否定するが、ルアー釣りの面白さを手軽に味わえる という点においてバスは抜群である。しかし、現在のバサーの考えの薄さは大いに問題である。

あなたのご意見をお待ちします。もちろんバス釣りファンのみなさんからの反論も受け付けます。

発言者:HP管理者