「時にはお船の話を」 Standard Blue 編
DSRV 降下位置へ!!

海に沈んだあの時、志磯ちゃんを助けに来た海保(海上保安庁)の潜水艇、DSRVといいます。
DSRVとは、Deep Submergence Rescue Vehicleの略で、まぁ要するに、「深海潜航救助艇」てところです。
文字どおり、沈んぢまった潜水艦/艇の人間を助けに行くフネです。
大雑把に解説してしまいます。

DSRV

DSRV。全長12.4m、排水量40t、乗員2名、救助人員12名。
潜航可能深度は、例によってヒ・ミ・ツらしい。
米海軍でも10隻と運用していない高級品。
船首尾の4つづつの穴はスラスターと呼ばれる装置のもので、
上下と左右の貫通したトンネルの中にプロペラがあり、
艇の位置と姿勢の細かい制御を行なうことが可能。


ちよだ

海自の潜水艦救難母艦、「ちよだ」
排水量 3650t、速力17kt。
DSRV一隻を搭載・運用できる。
潜水艦への補給・整備等といった
潜水艦母艦能力もある。


ちよだ中央部

こいつの船体中央部には、上下に貫通した穴(センターウェル)があり、ここからDSRVをあげおろしする。
DSRVはいつもは艦橋後部の格納庫に格納してあり、運用時には架台に載せてセンターウェル上の降下位置へと移送、ワイヤーロープによる揚降装置で海面下30mまで釣りおろし、DSRVは後進をかけて発進する。


メイティング中のDSRV

DSRVが海自の潜水艦を助けに来たところ。
DSRVの腹の下には、釣り鐘型の耐圧部分
(スカートと呼ばれます)があり、
これを潜水艦/艇のハッチの周りの平らな部分に
磁力で引っ付けてスカートの中の水を抜くと、
水圧で両者が密着するので水が漏らない。
で、外から救助すべきフネのハッチを開き、
中の人を助けるんである。


誠に遺憾ながら、こんにちの海保はDSRVなんてものは持っていない筈です。
2024年には持っててくれると、良いんですがねェ。
ま、自衛隊と同じで、DSRVが役に立たない平穏な日々が続くのが一番良いのですが。

<参考文献>
「続・艦船メカニズム図鑑」森恒英 著 グランプリ出版
*このページの図版は、全て上記参考文献から模写したものだったりします。


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