COMPETITIONS


FIGHTERSあこがれの英雄達

Miguel INDURAIN / Claudio CHIAPPUCCI/ Lance ARMSTONG
Tony ROMINGER /Luc LEBLANC /Gianni BUGNO
Marco PANTAANI /Evgeni BERZIN /Mario CIPOLLINI




BIG5 CLASSIC RACES

MILANO - SANREMO
TOUR DES FLANDRES
PARIS - ROUBAIX
LIEGE - BASTOGNU - LIEGE
GIRO DI LOMBARDIR

5大クラシック:世界で数多く開催されているワンデーレース の中で、古くから行われそして格式を誇る大会は、クラシックレースと呼ばれている。 どれをクラシックと呼ぶかは厳密には定義されていないが、世界で12〜13のレースが 一般にクラシックレースとされている。この中でも「ミラノ〜サンレモ」 「ツール・デ・フランドル」「パリ・ルーベ」「リエージュ〜バスト〜ニュ〜リエージュ」 「ジロ・ロンバルディーア」の5大会はとりわけ重要で、5大クラシックとされている。




GRAND TOURS

TOUR DE FRANCE
GIRO D'ITARIA
VUELTA A ESPANA

グランツール:クラシックレースや世界選手権のように1回のレースで終了するものは ワンデーレースと呼ばれる。これに対し、何日間にも渡ってレースを行い、その総合タイムで勝負を争うものは ステージレースと呼ばれる。このステージレースのなかで、
「ツール・ド・フランス」
「ジロ・ディ・イタリア」
「ブエルタ・ア・エスパニャ」
の3レースは世界の3大レース=グランツールと呼ばれる。



チャンピオンシップ

年に1度、各国ではその国のチャンピオンを決める国内選手権が開催される。 さらに世界1を決めるために開かれるのが世界選手権である。



世界選手権

毎年1回行われるもので、各国代表選手は普通のチームジャージを脱ぎ 国代表のジャージを着て走る。これは世界選手権ならではのことである。 選手に許されるプロチーム所属の証は、普通のパンツとジャージの中に小さくつける事が出きるワッペンだけであり あくまで国代表という立場を強いられる。 しかし勝者には、白地に虹色のラインが入ったジャージ「マイヨ・アルカンシェル」(仏語)が与えられ 1年間はチームの名前の入ったこのジャージを着て走ることが許される。 そしてそのジャージを他者に譲り渡したあとも、チームのジャージの襟と袖口に虹色のラインを入れることが 許されている。とにかくこのジャージで、そして世界チャンピオンの地位は、大変な価値を持っている。 プロロードが世界戦の正式種目になったのは、1927年のニューブルクリン(ドイツ)大会からである。 翌1928年ブタペスト(ハンガリー)大会からはアマ・プロ分かれての開催となった。 この時のプロの参加者は、16名で完走者が8名という寂しいものであった。 その後は自転車競技の隆盛に伴ってこの世界戦も規模が大きくなってきた。特に近年は、参加国と 参加選手が非常に多くなってきている。 ところで世界のスポーツ界はアマチュアとプロの垣根が取り払われる傾向が強いが、自転車界も その例外ではない。 1996年からは、レースにおいてアマ・プロの区分がかなり取り払われ、この世界選手権も年齢だけが 区分の基準になる。真の世界一の強者を選ぶという展では、より合理的な方法だろうが、プロ選手達にとっては あまり影響はないだろう。 なぜなら、現在のプロ選手というのは、アマチュアの中から選び抜かれたエリートだけで構成されているからです。




世界選手権 個人タイムトライアル

1994年の世界選手権シチリア大会から正式種目に取り入れられた。 勝者にはもちろんマイヨ・アルカンシェルが授与されるが着用してもいいのはタイムトライアルのレースに限られる。 昨年行われた第1回目は、アワーレコードを樹立したこともあるイギリスのクリス・ボードマンが世界チャンピオンとなった。



GEAR

フレーム選定

自転車の基本的な構造は1800年後半以降ほとんど変化していません。 結局チェーン駆動によって空気入りのタイヤをつけた後輪を回しているわけです。効率の良いチェーン駆動を使った自転車は、現在、 より洗練され、多少形が路面状況に合わせて変化しているにすぎません。そして「サドル」「ハンドル」「ペダル」の位置も基本的に 変化していません。まず、フレームがあり、腰の位置を決める「サドル」があり、「ペダル」「ハンドル」があるのです。 言い替えてみればフレームを選ぶことによってそれぞれの位置がある程度決まってしまうといえます。しかし、自転車競技の種目に よって、それぞれ特殊な形があることもまた事実です。現在では、様々な形のフレーム登場していますがそうしたポジションのことを 考えるみるとフレームを選ぶということが自転車を選ぶ場合に最も重要な部分と言えます。 ところがどんなフレームでも選んだら良いのかということは、現代に至っても確率したものがありません。確かに基本的なラインは あるのですが、それをすべての人に当てはめることは出来ないのです。単純にフレームを選ぶといってもそこには数字であらわされる ものから、感覚的にしかわからないものもあります。それをいとつの表にまとめることはまず無理でしょう。 フレームを選ぶ場合は、まず素材をなににするかを考えます。初めから非鉄素材を選んだとしても問題ありません。ただし、非鉄素材 はクロモリなどの鉄に比べると値段は高めになる傾向があり初心者にとっては鉄製のほうが選びやすいでしょう。また、ロードレーサ ーであれば落車の危険が非常に高く、身長も体重もある方ならばクロモリフレームが安心できます。非鉄金属素材は落車時のダメージ がわかりにくい点が気になります。最近はクロモリ以外のパイプを使った物が主流を占めていますが、アルミやカーボンの振動吸収性 がライダーに優しいという点が長時間レース・トレーニングする多くの人に受け入れられているのでしょう。しかし、フレームの剛性 は自分の走りにあったものが大切です。


機材に関する基本的なルール

機材に関するルールは「UCI(国際自転車競技連合:自転車競技統括する国際機関)総則第49 条」によって定められています。こうしたルールは年々変更が加えられる可能性がありますから、レースをやろうとする人は、それぞ れの自転車競技連盟に連絡して常に新しい情報を知っておきたい物です。

<姿勢>

競技者はその自転車上で着座した姿勢をとらなければならない。その姿勢は、ペダルとサドルと ハンドルバーのみで支えられていることが必要である。

<推進力>

自転車の推進力は、ボトムブラケットを介して円運動をする下肢の筋肉(脚)のみにより得られ る物でなければならない。

<技術的詳細>

1,自転車は全長(前輪の先端から後輪の先まで)200cm以内、全幅50cm以内でなければならない。
2,防護スクリーン、航空機の胴体のような空気抵抗を減じたり、人工的に推進力を増すようなことを目的とした付属品の使用は禁ずる。
3,サドルの先端が、ボトムブラケットの中心を通る垂線より少なくとも5cm後方に位置しなけれならず、サドル自体の長さも27.5cmを 越えてはならない。
4,手の支持点の最大高さは、サドルの支持点を通る水平面を通る水平線と同じか、低くなければならない。その手の支持点は操舵軸 より後方にあってはならない。
5,ボトムブラケットの中心と地面の距離は、最小24cm、最大30cmとする。
6,ボトムブラケット中心を通る垂線と、前車輪軸の距離は最小54cm、最大75cmとする。
7,ボトムブラケット中心を通る垂線と、後車輪軸の距離は最小35cm、最大55cmとする。
8,前フォークのエンド幅は最大10.5cm、後ろエンド幅は最大13.5cmとする。
9,自転車の車輪は、タイヤも含めて最大70cm、から最小55cmのあらゆる寸法を採用出来る。


材質

<クロモリ>

自転車競技100年の歴史の中で、重量と剛性をバランスよく持つ素材としてスチールは他の素材 がなかなか太刀打ち出来ない特徴を数多く持っています。スチールフレームの最大の特徴は、数多くのパイプの中から自分の好きなよ うにアッセンブルする事が出来るとういことです。パイプの成分はもちろん、太さや肉厚さえも自由に選ぶことが出来ますから、 自分にぴったりあったサイズや剛性、乗り味といった物も経験を積めばかなり自由にコントロールする事が出来ます。これは、数ミリ 単位で乗り味に微妙な変化が生まれてしまうレーサーにとって多く菜実メリットです。反面、よほど乗り込んでいないとそうした違い をはっきりと感じ取ることは出来ないかもしれません。 クロモリの最大の欠点は、他の素材に比べて重いことでした。(過去形) しかし、最近のクロモリフレームは熱処理をしてあったり、薄肉のチューブを外形を太くして使うなどの工夫がなされ、軽い合金にも 負けないような軽さを持つようになっています。

<カーボン>

カーボンフレームの特徴は「軽く、たわまず、しかもショック吸収性を伝えない」といいところ ばかりでですが、これはあくまでもそれなりの性能を持ったパイプを使った場合のことです。繊維物だけに素材の性能を素直に出すこ とは思ったほど簡単ではないようで、まだまだメーカーによってかなり性格が違います。また、市販ベースのカーボンフレームでは、 価格というネックがあり、なかなかハイレベルなカーボンを使えないというのも事実です。しかしそうしたフレームでも、多少柔らか いという感覚を別にすれば他の素材では得ることの出来ない大きなメリットがあることもまた、事実です。これまで、カーボンの最大 のメリットはフレームのよけいなたわみをある程度押さえながら、軽くする事が出来ると言われてきました。カーボンフレームなら 9Kg程度のマシンは苦もなく仕上がってしまうし、ちょっと軽く仕上げようとすれば8Kg程度にする事も可能だからです。これだけの 軽さはさすがに登りで違ってきますし、踏みだしがすっとでる感覚です。アルミの軽いフレームでは、物によっては登りで後輪を引き ずるような重さがつきまといますが、カーボンフレームではハンガー部分の反発も速く同じギアが軽く感じます。

<モノコック>

モノコックフレームは、特に新しいという物ではなく、タイムトライアルにはかなり前から使用 され、現在では「コリマ」「ロータス」「コルナゴ」「ケストレル」「ビチュー」「ビアンキ」等を筆頭に十数社が製作をしています。 しかし、完成されたデザインを持つ自転車フレームとして、中空一体構造のフレームはまだ欠点も多く、剛性に対しての重量はスチー ルやカーボンのパイプに比べて圧倒的とはいえません。むしろ、モノコックのメリットは、スチールでは出来ないデザインを採用できる ということでしょう。モノコックならではのデザインを採用し、用途を限定すれば、方持ちフレームの重量を稼ぎながら、エアロマシン を創るということも可能になってくるからです。 平坦な路面を走るタイムトライアルでは、アップヒルでの重さを気にしなくてもいいので、重量の増加よりも空気抵抗の軽減を優先させ ることが出来ます。

<チタン>

チタンが初めて自転車のフレームとして使われたのは結構古く、'60年代のアメリカです。しかし その後初めて日本に入ったテレダインやスピードウェルのフレームは、一応外径等を太くしていましたが、チタンの「軽くて硬い」とい うイメージを使っただけのもので、ロードレース用フレームとしての完成度はひくい物でした。初期のチタンはレース用としては剛性が 不足していて、オールラウンドに使える物ではなく、ビッグレースなどで山岳やタイムトライアルなど軽さが売りになるステージでの、 場所を特定した使い方しかあされていませんでした。 チタンの魅力というと、以前から軽量マニアの間ではあらゆる場所のネジをチタンに交換するというような行為で表されていますが、些 細な部分にまでこだわらせてしまうといった、なにか引き込まれるような不思議な魅力があります。チタンは高価な故に希少性があるよ うに錯覚しますが、実は地球上で最も多い元素の一つです。ただし、その加工には、いろいろと金のかかる作業が必要になるために高価 になってしまうのです。

<アルミ>

アルミも自転車に古くから使われてきた素材です。軽くてしかも価格がそれほど高くないというの がアルミフレームのメリットでしょう。しかし、その軽さは残念ながらスチールと比較して驚くほどのものではありません。また、多く のベテランライダーがアルミに対して持っているイメージは「それなりに軽いけど、たわみが多くすぎる」という物でしょう。これまで いろいろなトライがアルミフレームにも行われてきましたが、結局はヤング率の低さという欠点は克服出来ませんでした。その結果、 アルミフレームはショックの吸収性がいいといった曖昧な表現をされてきました。ただし、最近のアルミフレームはヤング率をカバー するために、パイプの外径をアップしたり、扁平パイプを使ったり、また、パイプに焼き入れ処理をしたりして本当に軽い、剛性のある フレームを作り出しています。こうした最新のアルミフレームは、レーサーとして十分な軽さと剛性を持っていると言えるでしょう。

<その他のファクター>

*重量
*フォークはパーツの一部と考える
*フレームのチェック


ホイールの選定

<ホイールの知識>

自転車の機材というとどうしてもフレームに目がいってしまいがちですが、走ると言うことを第1 に考えるとフレームよりもホイールのほうが重要と考えることも出来ます。例えばフレームのセンターは多少ずれていてもほとんど気に なりませんが、車輪の善し悪しは走ってみればすぐに体感してしまいます。左右に振れなどは1〜2mmあっても気にならないかもしれませ んが縦方向の振れは0.5mmでも走ればすぐに感じます。また、敏感な人はリムの形状によって走りの重さが違うと感じる人もいるでしょう。 多種多様なホイールを使いこなして最大の効果を発揮するためにも、ホイールに対する知識は、とっても重要なファクターです。

<ホイール選定の目安>

1,一般的なレースでは400g〜450gで32スポーク。
2,アップヒルを含むなら350g程度の選定でもOK。
3,平坦のタイムトライアルでは、出来れば前輪は小径のコンポジットで後輪はDISK。前輪はコンポジットでなければ、軽量なディープ リムでも良いでしょう。前後にディープリムを使用するというのは近年のの流行ですが、DISKに比べてメリットがあるとは思えません。

<その他のファクター>

*タイヤの選択
*前後で違うタイヤを使う時の認識しなければならない事項
*ラテックスチューブの効果的採用
*新しいタイヤの使用
*転がり抵抗
*普段からいいタイヤを使う心がけ
*WOの選択肢
 ・リムのWO化
*ディープリム、DISKの効果的採用
*メンテナンス


POSITION

ポジション

自分のポジションを決めると言うことは大変な事です。内外のTOP選手でも常にポジションを気にし、走る度に微調整を繰り返している のはそう珍しい事ではありません。元気なとき、疲れているとき、平坦なコース、登りのコース、その総てに最適なポジションというの は無いと言ってもいいかもしれません。あるのは、あらゆる状況でも不満の最も少ないポジションと言えるかもしれません。これは走れ るようになるほど気になってくるものと言えましょう。ポジションは不変のものではないのです。

<クランクの長さ>

クランクの長さはレーサーにとってとても重要な問題を含んでいます。それは、使えるクランクの 長さによって自分のレベルがある程度決められてしまうということです。一般的に言ってクランクの長さはほとんどが170mmで統一され ています。(成人男性)これより短いクランクを使っている人はまずいないでしょう。長いクランクは力のある選手にとっては少ない力 で大きなギアを使うことが出来ます。回すことが基本の回転運動では短いクランクのほうが速く走れるという人もでてきます。これは 自分で確認しながら選ぶ方が良いでしょう。長すぎる場合は上り坂でもすぐに頃をあげてしまったり、平坦のコースでもすぐギアをあげ てしまいがちです。

<ギア比の選定>

適切なギア比を選ぶには個人差を考慮しなければなりません。特に成長過程にある若い人にとって は問題は重要です。残念ながらまだ日本では年齢によるギア比の制限は行われていませんが、自転車競技を良く知るコーチ達は、年齢に よる制限をある程度しています。将来も自転車選手として走りたいと考えるならば、自分にあったギアをセットするというのは大事な問 題です。適切なギア比の選び方にはいくつかの要素から考慮する必要があります。それは競技者の個人差、年齢(成長過程)、筋力、ス ピード、種目、そして走る条件です。そういった要因を踏まえて、適切なギアを選びには次のような事を頭に入れおく必要があります。

1,ギア比が大きいほど疲労が速くたまる
2,軽いギアのほうが重いギアよりも疲労の回復が早い
3,いつでも大きなギアを使っていると、スピードの変化に弱くなる
4,タイムトライアルでは大きなギアを使う

<その他のファクター>

*ポジションの決め方の手順
*クリートの位置決め
*サドルの位置(高さ)、前後位置
 ・コースレイアウトでサドルの位置の微調整
*上体の合わせ
*ハンドル幅、形状
*ペダルの回転数との因果関係
 ・ペダリングの技術


FOODS

食事

自分の持っている能力を十分に発揮するためには、トレーニングと試合において、体が何を求め ているのかに、細心の注意を払うことが必要です。体力と健康を最大限に養うためには十分な栄養を摂ることが必要になるからです。 例えば、ツールや6日間競技の選手は、1日に6000〜9000キロカロリーを消費するようです。当然これと同じだけにカロリーを吸収しな ければ走れないわけですが、普通の人間にとっては吸収するだけでも無留がありそうです。 そして食事は1日に食と決めてしまうよりも、出来れば最低でも4回、欲をいうと5〜6回に分けて食事する事を勧めます。こうすることで 消化器系の内蔵に負担をかけることなく常にエネルギーを補給出来るからです。今もまだ、プロとして活躍している「森幸春」選手は かなり前からこうした食事の摂りかたをしていて、仕事の合間や話をしながらでも鞄からバナナなどを取り出してこまめに食べていた ようです。むしろもう少し食べられるというところでやめておくほうがいいでしょう。すぐにまた食べる時がくるのですから。

<トレーニング用の食事として必要な条件>

●体重をコントロールできるもの
●糖質を十分に含んでいるもの
●脂質がすくないこと
●蛋白質を十分に含んでいること
●塩分を多く含む食事を制限すること
●アルコールを制限すること
●十分な水を飲むよう配慮されていること

<トレーニング用の食事として必要な条件>

●体重をコントロールできるもの
●糖質を十分に含んでいるもの
●脂質がすくないこと
●蛋白質を十分に含んでいること
●塩分を多く含む食事を制限すること
●アルコールを制限すること
●十分な水を飲むよう配慮されていること
●その他必要な要素
  ・炭水化物
 ・ビタミン
 ・ミネラル
 ・鉄分

<その他の必須項目>

◆体重のコントロール
◆レース中の水分補給
◆レース前の食事
 【4〜5時間前】【3時間前】【2時間前】【1時間前】
◆レース中の食事
◆レース後の食事
◆トレーニングの補給食


TRAINING

トレーニング

ロードレースはプロ選手だけのものではありません。仕事をしながらでも自分でトレーニングでき る時間を作りながら、年間を通じていくつものレースを楽しむ事ができます。自分の出来る限りのトレーニングを積み重ね、シーズン最 初のレースにでるときの緊張は、誰にとっても初めての運動会を経験したときのようなものです。そしてレースは自分の体と頭と、スピ リッツを刺激してくれます。知らない土地から集まってきた見知らぬ選手とライバルとなり、また、友達となる楽しみもあります。勝つ ことがレースの最大の目標でありますが、レースにどの様に参加するのかを考えることも、自転車を楽しむためには必要なのかもしれま せん。そんな中でも問題意識を持ち規則正しいトレーニングを経てそして、自分のトレーニング方法が確率されたとき、必ずレースを楽 しむことが出来るほどに強くなっているでしょう。

<トレーニングの種類>

自転車を使ったトレーニングにはいくつかあります。たとえばサイクリングペースで走るロードトレーニング、一定ペースを維持して 走るスピードトレーニング、負荷を変化させてインターバルトレーニング、上り坂で大きなギアを使う、等です。こうしたトレーニン グはそれぞれ特定のエネルギーシステムを発展させ、適切な機能を発達させることができます。特に乗り始めの人は自転車に慣れると 言う意味でも、自転車を使ったトレーニングを多くするよう心がけた方がいいでしょう。自転車を乗りこなすということは考えている 以上に難しいからです。

●ロードトレーニング
 ・激しいトレーニングの後では疲労回復の手段となる。
 ・選手同士交流
 ・基礎体力を養成する。
 ・精神的、肉体的、リラックス。
 ・基本スピードのアップ。

<定速トレーニング>

これはゆっくり走るということではありません。一定時間(15〜60分)あらかじめ決めた時間を走ることを意味します。走る速度は選手 の能力によって違いますからギアがいくつとは言いにくいのですが、話しながら走ると息が切れて話していられないくらいなスピードで す。

●期待される効果
 ・心肺機能のアップ
 ・スピードアップ
 ・体力アップ

<インターバルトレーニング>

●インターバルの疲労は、同じ時間の連続トレーニングよりも遙かに疲労が少ない。
●努力を集中出来る。
●生理的機能の進歩

<ウエイトトレーニング的な走り>

短い急な坂を使って最大ギアを使い筋力トレーニングが出来ます。やらなければならないほど大切なトレーニングではありません。 こんな事も出来ると言う程度です。

<トレーニングに必要なもの>

トレーニングの目的はシーズン中のある一定期間だけを調子よく過ごすためではありません。シーズンの全体を通して一定レベル以上の 調子でいることを目指すわけです。そのために必要なものは、何はなくても 計画表と日誌です。 なにをするにしても計画表を作る事は、特別なことではありません。計画を立てなければなにがいいのかという目標が確認できません。 ただ漠然とトレーニングしても効果はそれなりになってしまいます。

●朝起きたときの脈拍数管理
●体重管理
●トレーニングの種類、時間記録
●気分の管理

<その他必要なもの>

●目標とするレースの設定
●休息日の効果的活用
●トレーニングの時間
●年間のトレーニング計画時間の策定
●OFFの設定
●1人でするトレーニングと集団のトレーニングの違い認識
●オフのトレーニングについて
●冬のトレーニング「シクロクロス」の取り入れ
●自転車以外のスポーツの効果的導入
●固定ギアを使うトレーニングの取り入れ
●初心者は総合力をつけることに心がける。
●ローラー台を使った雨日練習の活用
●アベレージスピードのアップ
●長距離トレーニング
●練習前後のマッサージの実施
●筋力アップ
●スプリントの練習
●ハートレートトレーニングの採用


PREPARE

準備

選手にとってシーズンに入るための準備期間は3カ月必要です。 これは自転車を使わないトレーニングを入れたものですから、トレーニングとしてはサイクルを2カ月 にすることもあるでしょう。しかしこれは何月から始めなければいけないというものではなく、目標 とするレースに対してのものです。ですから3月のチャレンジロードを目指す人と、4月のパナソニック カップを目指す人では、始める時期が違ってきます。ただし勘違いして欲しくないことは、レースのた めには3カ月だけ練習すればいいということではありません。レースができるような体を作るには最低 それだけの準備期間が必要だということです。ですからレースが終わっても、その後にはトレーニング をしなければいけないのは当然です。またこれからレースをやってみたいという人は、これ以上のト レーニング期間を置いてからしースに参加した方がいいでしょう。

<初心者のプラン>

スキーやサッカーなどで体を動かしていた1ヵ月が終わったら、 自転車を使ったトレーニングを始めますが、最初は自転車になれることが第一です。レースにでるた めの準備だからといって、はじめからあまり意気込まないようにしてください。特に寒い時期にあま りがんばりすぎると体に無理がかかります。実際のところ3カ月でレースになるような体をつくること は、初心者には難いかもしれません。しかしこうしたプランを使って調子をあげていくということが わかれば、ある程度走れるようになってからも自分でうまくコンディションンを整えることができる でしょう。最初に心がけることは、自転車で走る感覚をつかむことです。ベテランであればすぐに取 り戻すことができるでしょうが、初心者にとっては自転車に慣れるための時間をとるということにな ります。コースは住んでいるところで違ってきてしまいますから、目安はやはり時間になります。

<レース前の準備>

少し日本の現実とは離れてしまうかもしれませんが、選手は自 分の体の特徴をしっかりと把握し、どんな走り方ができるのかを認識しなければいけません。たとえ ばヨーロッパのレースを見たとします。 ワンディレースの上位の顔ぶれはどうでしょうか。もちろ んコースによって違いはありますが、それでもたいていは同じ名前が同じような順位のところにラン クされています。またその年のステージレースに目を移せば、やはりそこにも他のステージレースで 見たような名前が出てきます。これはいってみれま自分の能力以上のことはプロでさえもできないと いうことでもあります。ですからよけいに自分のタイプを知り、その能力を走りに生かすレースをし なければいけません。具体的な話をすると、5キロ以下のレースではたとえそれが上りのレースであ ろうと勝つのはスプリンターです。勾配が20%であろうとも短い坂では力のある選手はパワーでこな してしまいます。日本の世界選手権を見た人ならば、宇都宮のコースで選手が平地のように走る姿 を覚えているでしょう。あの程度の距離はクラィマーがどうにかできるレースではありません。 トレーニングを十分にやっていよいよレースです。レースの前にすることは、常識的な範囲のこと ですから気持ちを落ちつけて自分の持っている力を十分に出すことだけを考えてください。先ずは 受け付けをすまし、必要なら車検ををすませます。これはなるべく早く終わらせてしまいましょう。 スタート間近になってあわてるのはなにもいいことがありません。そしてリストを見ていつもよい 成績を出している選手のナンバーを確認します。初めてのレースでそれが分からないのなら、リス トの裏を見るとたいていは前年の成績などが出ていますから、それを参考にするのもいいでしょ う。コースを走っていないということはないでしょうか、もしも走っていないコースならば必ず事 前に試走をします。一般道を使ったもので、時間的な余裕がなければ車を使ってもかまいませんが、 理想的とはいえません。ただし注意することは、距離が長すぎる場合には、重要なところだけをを走 るようにすればいいでしょう。試走ではギヤ比が適当かどうかを確かめながら走ります。未登録の レースではほとんどがサーキットですから、時間もそれほどかからないでしょう。そしてゴール地点 の確認はさらに重要です。ゴール手前の勾配はどうか、カーブはどうか、そして風向きはどうなるか。 自分がどの程度のギヤを使えるのか、右側がいいのか、左側がいいのか確認します。 短い周回コースの時は、何度か回ってくるときに集団の前に出るなり横に出るなりして、風の感じや ギヤの感じをつかんでください。集団では何とも感じなかったギヤが、飛び出したとたんに重すぎる と感じては手遅れです。そして自分が飛び出せるところはどこなのか、ある程度考えておきます。 もちろんそのときの調子によっては集団のままゴールに帰ってくることもありますが、勝つために 一番確実な方法は一人で逃げることです。最後まで集団できてしまったら、どこからスプリントすれ ばいいのかある程度頭に入れておきます。コースによってはゴールまで残り何キロと出てはいますが、 これはあてにしてはいけません。レースではそんな標識を見ている余裕はありませんし、標識を探し ているうちに誰かが飛び出してしまいます。もっともこれはしースごとに展開が違ってきますから、 あまり当てにはなりません。それでも知らないよりは知っていた方が、何倍も有利なことは間違いあ りません。もっともレースの経験が少ないうちは、集回に入るのさえやっとということもあるかもし れません。少し話がそれてしまいますが、いまの未登録レースでは、まじめにトレーニングを1年間 続けていれば、チャンピオンクラスは別として、いきなりちぎれてしまうということはないように思 えます。何度かトライしても集団に入れないという人の問題は、おそらく人をごてにするあまり、自 分から動こうとしないで集団の中切れにはまってしまうか、自分には力がないと感じて(レースはとて も苦しく感じますから)あきらめてしまうか、集中力の欠如が原因でしょう。特に平坦のレースで、 山がないのにちぎれてしまうというのは、人の後ろに付くテクニックの問題もあるかもしれません。

<機材のチェック>

レースの直前になるとなにやら部品の交換をしたり、ポジションを変えてみたくなる人が初心者には 多い。 しかしよかれと思ってやってみた部品交換が裏目にでて、レース本番では思うように力が発揮 できなかったということもよく聞きます。これは精神的な不安もあるでしょうが、レース前にはなに をチェックすれよいいのかが分かっていないために起こることです。ではしース初心者は、直前にど こをチェックすればいいのでしょうか。基本的なチェックの場所は、各部のネジがしっかりと締まっ ているかどうかです。ハンドル、ステム、サドル、ペダルなどが重要ですが、新しく組んだものでな ければまず心配はありません。ただしレース会場に輪行していく人は必ずチェックすることを忘れな いようにしてください。そしてブレーキシューが減っていないか。もし減っていて交換した場合には、 レース用のホイールを入れてみてクリアランスを確認しておきま。もちろんリムに対してきちんと当 たっていることを確かめます、ホイールはメーカーによっては車輪の径が違っていることは珍しいこ とではありません。またクリアランスの違いは、ブレーキの感覚が狂い落車につながりますから要注 意です。そして 一番多いのがレースだからといって、決戦用のホイールをつけてフリーとチェーンの 馴染みが悪く歯飛びを起こすという問題でしょう。少なくともレースの数日前には何度か走って馴染 みを確認することは常識です。 それと同時にギヤチェンジが間違いなくできるかも確認しましょう。 案外晋段使わない傾向にあるトップとローでうまくチェンジしないこともあるからです。 あとは決戦用と思って付けているタイヤが、本当に使えるかしっかり確認します。レースで使ってい るものは終ると確認もしないでしまってしまうことが多く、案外小さな傷などを見過ごしていること が多いものです。またこのときにリムセメントが確実に効いているかしっかり見ておくこと。 レースでの落車は自分一人の問題ではないので、こういったことは常に意識しておきましょう。

<ウオーミングアップについて>

初心者の場合、アップの効果が分からないということで、 アップをしない選手が多いようです。アップで体力を消耗したくないといった、 経験不足から来る誤解もあるのかもしれません しかし充分なアップをした場合と、していない場合 ではしースが始まって直ちに結果として現れてきます。ウオームアップは体温を上げ、血液の循環を よくして筋肉を効率よく動かせるためには最適です また緊張した精神をリラックスさせる効果もあり ますから、必ずやるようにしましょう。 ウオームアップをやりたくても群馬CSCのように場所がない 場合には、ローラー台を持っていかなければいけません。初心者の場合ローラー台を持っていても、 レースの前にローラーを使うのは「なにか気後れして使えない」 という人や、「ローラーを使っても 結果は同じ」といってやらない人もいるようですが、せっかくのトレーニングの効果を発揮すると思 って、しっかりやるようにしてください。また時間がなかったりして満足なアップ」ができないとき には、マッサージをすることでもある程度ウォーミングアップと同じような効果を出すことができま す。レースが寒い日でしたら、保温用に作られているクリームやオイルを使ってマッサージします。 塗る量は練習のときから使って適量を見つけておいてください。あまり暑く感じるように塗る必要は ありません。雨が降っているなら、そのうえからワセリンやオリーブオイルを塗っておくといいでしょ う。ただし塗る順番を逆にすると効果がなくなります。1度でも「普段のトレーニングではもっと上れ るのに」 といった経験がある人は、アップ不足と思って間違いないので、ローラー台を持参するなど して、最低でも30分はアップをするようにしましょう。ウォーム・アップの運動としては、トレーニ ングやレースで行われる運動のタイプに似たものを選ぶ必要があります。 最初は軽く始め、次第に卜 レーニングやレースを行うに充分な強度にまで高めていきます。ウォーム・アップでは、大きな筋肉 群を規則忙しく、リズミカルしに収縮すること(心拍数を高めるため)と各関節を極限まで動作させること が必要です。


TACTICS

戦術を理解する

<集団のどこにいればいいのか>

ロード・レースでは集団のどこにいればいいのかが、しばしば勝敗を左右 する重人な問題となります。できることならば常に集団の上位10-15位あた りにいるべきです。 この位置がいい理由はいくつも出すことができます。 先ずはレースの動きがよく見渡せます。誰がアタックしているのか、誰が 集団をコントロールしようとしているのかと。もちろんそうしたことが分 からなくてもレースを走るることはできますが、それではレースをやってい るとはいえないように思えます。 またこのくらいの位置にいれよ、先頭を引く回数も少ないですし、コース を知らないとしても、前の人を見ながら走ることで速く、しかも安全に走 れます。ただし落車について考えると、このくらいの位置は必ずしも安全 とはいえません。それはこのくらいの順番で落車が起こることが比較的多 いからです。しかし後ろで走っていて落車ですっかり離されてしまうより はいいかもしれません。 そして集団の中心の危険な場所や道路の端、集団の最後尾に近い位置では 走らないようにします。集団の端は必ずしも悪い位置ではないのですが、 道の端にはいろいろなものが落ちている可能性があるし、穴があるかもし れません。なこよりカーブを曲がったとたんに障害物が出ているかもしれ ません。 そして集団の真ん中や後ろにいることのマイナス要素のもう1つは、落車が 恐いだけでなく、絶え間なく変化するスピードにあります。集団はスピー ドを落としてコーナーに入り、そして先頭を走る選手に追いつくために、 激しいスプリントでコーナーを立ち上がっていきます。 これでは果てしないスピードダウンと、アタックの連続で、スタミナを消 耗してしまい、レースをひどく苦いものにしてしまうでしょう。一方先 頭の選手達は、コーナーを自分たちの最高のラインで走ることができ、自 分のベースで走ることができるのです。最後尾にいれば、ひどい場合には 集団が途中でちぎれてしまい、前の集団を追いかけるのに大変な努力をし なければいけないこともあります。それも100メートルが限度でしょう。 大切なことは、風が左から吹いていれよ集回の右側で乗り、その逆なら左 側で乗ります。とにかく利用できるものは何でも利用することが大切で す。競り合いの必要がない状況なら、前半はなるべく目立った上りはしな いで、軽いギアで足を回転させ、周囲をよく見て気楽に走ります。 暑ければ頭に水をかけ、水を少し飲み、食べ物を少し食べるようにしま す。レースの中盤まではスタート時とほとんど同じくらいの感じでいられ れば最高です。ただし常にアタックには注意します。誰もアタックしなけ れば追いかけるためにスピードを上げることもありません。そしてライバ ルチームの動きにも注意します。まとまった数の選手が集まってくればな にかの行動が起こる前触れです。些細なことと思われることにも注意を傾 けましょう。

<風>

レースで風はやっかいな存在ですが、風を利用してレースを有利に展開す ることができます。そしてな`こより風はしースの戦術に大きく関わってい ます。あなたが横からの風に対して斜めのローテーションをするのに慣れ ていれば、それはより有利に働くでしょう。もし横風に強いなら、カーブ ごとに変化する風の方向の変化に対する事もできるはずで、これができる とできないでは全く違った結果になります。 そこで横風が吹き始めたとき数名でアタックをかけることもできます。た だしまともな向かい風の中でアタックをするのはほとんど不可能で、それ を試みるのはちょっと無謀です。1人で必死に頑張っても、集団にいる選手 は互いに先頭を交代して楽に走るはずです。集団にいる選手はいつでもあ なたを捕えられることを知っていて、平気で150メートルでもリードさせて くれるでしょう。 しかし強い追い風の中では注意が必要です。もし強いライダーのいる先頭 グループが強い追い風の中でできてしまったら、後ろに取り残された集団 の中からこのレースで勝つ選手を出すことは難しくなります。逃げた選手 達が先頭交代をして逃げ始めたら、追い風であっても彼らを捕えることは 不可能だからです。集団で走っているときには、前を追い上げていく必要 に迫られるときがありますが、こうしたときにも常に風がくる方向とは反 対側につけて走るようにします。この原則はアタックやゴールでスプリン トをかける際、非常に重要になってきます。自転車では常に風に対してよ い位置を取ることを考えます。そうすればぎりぎりまで風を避け、飛び出 すことができるからです。とりわけアタックの際には風の向きに十分注意 を払いましょう。

<先頭交代をしない選手を引き離す>

先頭集団に入っているにも関わらず、交代もしないで付いてくる選手をど うやってグループから追い出すか説明します。まず誰かが気が付いたら 「交代に加われ」と言うでしょう。それでも交代に加わらなければ、今度 は他の選手と一緒になって彼を最後尾から迫い出します。一緒に仕事をし ない選手は必要がありません。 その方法は、目的の選手がグループの最後にいて、しかもあなたのすぐ後 ろにいるときにスピードを落とします。そうすれば当然のようにグループ との間に差ができますが、その差が20〜30メートルになったとき、彼に交代 するようにいいます。もし彼が納得してあなたの前に入り込んできたら、 彼の後ろに付いて引いてもらい、もし彼にその気配がないなら、一気に横 に進路を変えて飛び出します。もしこのアタックにもついてきたなら、グ ループに追いついたところで別の選手に交代して同じ戦術を使うのです。 複数の選手を相手にして一人でがんばれる選手はそういないはずですか ら、多くても3人が相手をすればその選手はいなくなるか、あきらめて交代 に加わるようになるでしょう。

<ローテーションに入れいないとき>

横風に対して斜めのローテーションが形成されるとき、そのローテーショ ンに加われない選手はどうすれまいいいでしょうか。通常ローテーションに に入れなかった選手は、道の風下側に縦1列になって引っ張られます。彼ら は上に上がろうとすると、風の一撃を受けて斜めのローテーションのテー ル・エンド`こ押し返されることになります。 普通斜めのローテーションは強い選手によって形成されます。というの は、彼らは常に横風の中でどう走ればいいのかが分かっている選手だから です。いくら強くても集団の中で走っていようと考えるようだと、風の中 では先頭のローテーションに加われないで終わってしまうでしょう。 風に向かってローテーションすることで、自然と彼らのスピードは上昇し ていきます。それぞれの選手は互いに良い風よけとなっているので、風が 抵抗となってロスをすることがないのです。そしてローテーションに入れ なかった選手は縦1列では抵抗が大きすぎて、すぐに分裂され落ちて行きま す。ブレークアウェーはその結果といえるでしょう。 あとに残された選手にとっての唯一のチャンスは2番目の斜めのローテー ションを素早く作って追跡を開始することです。ところが2番目の斜めの ローテーションを作るチャンスはあまり大きくありません。その理由は、2 番目のローテーションには様々なしベルと野心を持った選手が混じってい るからです。つまり先頭集団にエースを送り込んだチ一ムは、次の集団が できるのを妨害しようとするのが普通だからです。これがスムーズな追跡 を行なうことをさらに困難にしている理由です。 しかし先頭のグループに選手を送り込めなかったチームの選手は、2番目の グループを作るために努力しなければなりません。何かが起こって先頭集 団が減速すればチャンスです。風を遮ったり、コースの変化が風向きを変 え、先頭の斜めのローテーションのスピードを殺すかもしれません。あき らめることはレースを終わるということです。

<コーナーでのチームプレー>

集団をブレークしたグループの中にいるチームメートを勝たせるために、 集団に残った選手は彼が無理に走らなくても前に残れるように、追いかけ る集団のスピードをコントロールする必要があります。 単純なコースではなかなかうまく行かないかもしれませんが、複雑なコー ナーが連続するようなコースでは、コーナーはチームの戦術を最も発揮で きる箇所のひとつです。なぜなら直線コースでは、相手の選手に対抗動作 をさせる余地が十分にありますが、コーナーではそれが難しいからです。 集団のスピードは、コーナーの直前で先頭を行く2-3名の選手がアウトか らインの進路を取って、軽くブレーキをかけるだけで簡単にコントロール できます。前でブレーキを掛けることがそのまま後ろのライダー全員にブ レーキをかけさせることになるからです。しかし多かれ少なかれ、コー ナーではブレーキを掛けるわけですから、その時間が多少長くなっても、 誰も文句は言えないでしょう。 気を付けなければいけないのは、ゆっくりコーナーにはいることで別の選 手をアタックさせてしまうことです。そのときにはすぐに追いかけて、吸 収するようにしなければいけません。そしてまた次のコーナーで再び同じ ことを始めるわけです。コーナーが多いコースでは一つ一つのコーナーで スピードを落とすことだけでも逃げているグループとの差は開いていきま す。それは少人数でのグループでは、コーナーでも無理なラインをとる必 要がないために、ブレーキングでスピードを落とす必要がないからです。 この違いは馬鹿になりません。

<ゴールスプリント>

ロードスプリンターはゴール・ラインの近くで突然、爆発的なハイスピ- ドを使って一気に飛び出していきます。見ている人にとっては「どうして 他の選手は反応しないんだろう ?」と疑問に感じるほどです。他の選手も 同じトップ・スピードで走る能力は持っているのですが、たいていの選手 はスプリンターのように一気にトップスピードを出すことはできません。 このような加速力を持った選手に対して、どう戦えば勝てるでしょうか。 小さなグループでゴールを目指しているとき、レースが最後の1キロに入る と、普通グループのスビードはダウンします。全員がスプリントに備え て、エネルギーを貯えることに集中するからです。しかしこの展開はスプ リンターにとっては理想的な展開といえます。ゆっくり行けば行くほど、 そしてゴールに近くなればなるほど、普通の選手の加遠力はスプリンター に反応しにくくなるからです。 逆に言えば、こうしたスプリンターを相手にする場合の最良の戦術は、ス プリンターから加遠力を取り除くことです。約300-400メートル、あるい は、もしベースが本当にゆっくりなら、500メートルから始めてもいいで しょう。十分なスピードで先頭に立ち(最高速に近すぎてはいけない)、 少しずつ加速していきます。 あなたに付いているスプリンターはにれは速い。前に出るのはもう少し 待とう」と思い始めるでしょう。 そして最後の残り150メートルでトップ・スピードに持っていきます。その ときスプリンターは満を持して動き出すはずですが、彼のダッシュはほと んど無意味に近いはずです。それはベースが速すぎて加速できないからで す。もしあなたに十分力があれよ、その差は少しかもしれませんが勝つこ とができるでしょう。もし捕まっても間違いなく上位には入れます。 確実に優勝することを狙って走ることは難しいのですが、ある程度の力が あれよ、入賞する走りをすることはそんなに難しいことではありません。 常に考えておくことは、できれば他の人を利用することですが、ゴールが 直前に迫ったならば自分が真っ先に飛び出すことです。 個人個人の最高速にはもちろん差がありますが、レースの終わりになって その差が5キロもあることはありません。確かにスプリントで2〜3キロの違 いは決定的ともいえますが、それでも最後の100メートルで4〜5メートルを ひっくり返すのは至難の業です。先に出ていれば抜かれても数人だけで ゴールに入れるでしょう。 もしも横風があって後ろにいた選手達が風上を抜けねばならないように もっていければ、勝利はより確実になります。もし風が左から吹いてい て、1人の選手が付いている場合には、道路のすぐ右側に沿って走ることに よって、後ろの選手はドラフティング効果を得ることができません。 反対に後ろの選手との間に差が開いている場合には、左側に沿って走るよ うにします。そうすれば縫物や木立があれまそれが風よけになってくれま す。とにかく少しでも有利に走れるように風を意識してください。 しかしロード・レースの最後のスプリントで勝つのは本当に難いもので す。最後の500メートルで3位に上がり、300で2位に上がる。ラスト200メー トルでアタックをかけ、スピードが十分なら誰もあなたを負かすことはで きないでしょう。こう言うのは簡単ですが、実際にレースの中で同じこと をやるのは大変です。なによりもこうしたスプリントをやるには、個人の 力だけでは無理があります。 大集団がゴールラインに近づいてくるときには、いろいろなことが起こり ます。そしてこうした場面ではチームの戦術が決定的です。アシストの献 身的な働きをなくしては、スプリンターでも、勝つポジションにさえ入れ ないでしょう。 そしてたとえチームメートを持っていても、チームメートが彼を信頼して いなければ、最良のアシストとしての働きをしないかも知れません。チー ムのメンバー全員に、自分自身のチャンスを犠牲にしてもスプリンターを 盛り立てることが100%最善だと感じさせなくてはならないからです。

<その他>

●クライムの戦術
●自分の力を見せないテクニック
●チームメンバーとしての意識
●カウンターアタックの習得
●大集団でのスプリント
●スプリンターの扱い方


EI-MOOK「ROAD BIKE TRAINING」平成7年5月号より一部引用