平行世界の観測
スレイブロイドのメーカー

Flavor texts of "Slaveroid"Makers

観測結果掲載日 2000年01月14日

東京丸菱人形機械株式会社本社営業部一課課長最上香奈:
「世界で初めてスレイブロイドを実用化して販売を開始したのが、我が東京丸菱人形機械です。その後、世界の各巨大企業がその企業力の全てをスレイブロイドに振り向けてのスレイブロイド競争が始まりました。現時点では、スレイブロイドのシェアでは、先駆者たる我が社がトップの座を占めております。しかし、各社とも我が社を追撃する勢いはすさまじく、トップの座に甘んじることのない不断の努力によってその地位を守っていかなければなりません」

「基本的に、スレイブロイドの生産にはコンピュータ、機械、金属、電気、化学などあらゆる産業分野に関する最先端技術が必要であるため、すでに巨大な資産とノウハウを持つグループ企業がスレイブロイド市場に参入してきています」


東京丸菱人形機械株式会社
本社 日本 東京都 スレイブロイドシェア 46% 業界第1位
 財閥系企業。特に、世界に冠たる玩具メーカーを傘下に持つことで有名。
 グループ内にあるあらゆる業種のメーカーから技術を集積し、スレイブロイドを初めて実用化した会社。
 スレイブロイド生産企業の全てが、多寡の差こそあれ東京丸菱にスレイブロイド開発関連技術のパテント料を支払っており、東京丸菱は実質上スレイブロイド市場の支配者であると言って良いとされている。その先駆者としての地位は、スレイブロイドが登場してから10年経った今でも不動のものなのである。

【東京丸菱人形機械製スレイブロイドの特徴】
 スレイブロイド本来の目的である「愛玩」と「性交」に関する機能を最優先し、「より人間らしく」ということを追及して研究を重ねてきた東京丸菱人形機械製のスレイブロイドは、スレイブロイドの個性を表現するためのソフトウェアの技術と蓄積では業界トップと言われている。
 東京丸菱人形機械のスレイブロイドは「他のどのメーカーのスレイブロイドよりも人間らしい」ということを除くと、実は凡庸で、とりたててほかに特徴がない。このことを「欠点」だ指摘する向きもあるが、実際にはスレイブロイドを「愛玩のため、あるいは性欲処理のための道具」として考える場合、この目的に最も適応するスレイブロイドは東京丸菱製以外にない。
 傘下に持つ玩具メーカーとリンクして、テレビゲームに登場させたキャラクタをスレイブロイドで発売して成功するなど、変幻自在なキャラクタセッティングのノウハウを武器にユーザーの心を掴む戦略を次々と打ち出している。
 しかし、市場のニーズに応えないわけにもいかない。
 スレイブロイドのもっとも根幹的な機能に磨きをかける一方で、近年スレイブロイドに求められ始めた「労働力」としての役割についての研究にも積極的で、現在店頭販売されている全てのモデルに家事機能を搭載している。

上総壱岐島重工株式会社
本社 日本 兵庫県 スレイブロイドシェア 12% 業界第3位
 起重機・造船など、重機械工業製品の老舗であったものが、主たる業種であった造船業が頭打ちとなり業績不振の起死回生を狙って、スレイブロイド生産部門を設立した。

【上総壱岐島重工製スレイブロイドの特徴】
 
無骨で飾り気のない純粋な重工業製品を作ってきた企業らしく、上総壱岐島重工製のスレイブロイドは流行のスタイルなどの見た目の華やかさや、新技術による細かい新機能などを採り入れるよりも、実用性や実直な面での性能を重視する傾向がある。
 スレイブロイド企業の中では最も早くスレイブロイドを家事以外の労働力として開発しようと試みたが、六陽エレクトロニクスの優れた人工知能を有したスレイブロイドの登場と同時に、軽労働の分野での優位は六陽エレクトロニクスのものになってしまった。
 しかしながら、古き良き技術屋魂に燃えるボルト・アンド・ナット・ガイたちが生み出していくスレイブロイドには、品質が安定していて信頼性が高いことや、丈夫でなかなか故障しないなどの「機械としてあたりまえの品質」があるため、ユーザーの中には根強いファンが多い。
 結果として「無駄が少ない、シンプルで、頼りがいのある」傾向を望むユーザーが集まることになり、かなりの割合のユーザーが購入したスレイブロイドに愛玩のためではなく、自分のパートナーとしてのキャラクタセッティングを希望する。たとえば、対等に話し合える友達や同僚として。自分を支えてくれる優しい姉として。
 同種の注文が多く寄せられるために、上総壱岐島重工は、その方面でのキャラクタセッティングには他の企業に比して一日の長があると言われている。
 商品名に「青葉」や「春風」など日本名をつけることでも有名。
 日本国内に限定すれば、30%近いシェアを有している。

株式会社六陽エレクトロニクス
本社 日本 福岡県 スレイブロイドシェア 10% 業界第4位
 新進気鋭の新参企業。
 本来の業種から転向したり、新たにスレイブロイド開発部門を設立して新規事業に乗り出した別の企業とは異なり、はじめからスレイブロイド開発企業として誕生した最初の企業。

【六陽エレクトロニクス製スレイブロイドの特徴】
 六陽エレクトロニクス製のスレイブロイドはスレイブロイドユーザーたちの間からは「頭脳のスレイブロイド」と呼ばれている。
 スレイブロイドとしての基本機能や性交時の享楽性はそれほど際立ったものはないが、極めて高い学習能力を示す。これは、六陽エレクトロニクスが総力をあげて完成させた新型人工知能のなせる業で、六陽エレクトロニクス製のスレイブロイドは出荷後に新しいソフトウェアをインストールしなくても、ユーザーから口頭もしくは文書で説明を受ければ、基本ロジックにない仕事をこなすことができるようになる。
 このため、六陽エレクトロニクス製のスレイブロイドは業界で逸早く「秘書に使えるスレイブロイド」として注目された。依然として、スレイブロイドには普通の人間と同じ程度のパワーしかないため、重労働には向かないが、事務作業や管理業務などの労働には充分適応できる。
 そのほか情報家電としての役割をスレイブロイドに負わせようという傾向がスレイブロイド市場参入当時からあり、電子部品のオプションの発売など細かいマイナーチェンジを行っているが、こちらのほうはもうひとつユーザーの関心を集められずにいる。

アレクシー電機工業株式会社
本社 アメリカ スレイブロイドシェア 21% 業界第2位
 外資系企業。電気機械工業製品メーカーであった会社が、スレイブロイドの将来性にいち早く目を付けてスレイブロイド専門企業に転身した例である。
 家電製品の開発ノウハウを多く蓄積していた同社は、業界の中で最も早くスレイブロイドの「メイド化」を進める計画を打ち出したことで有名。

【アレクシー電機工業製スレイブロイドの特徴】
 スレイブロイドは発祥の地が日本だったため、しばらくの間は日本人の顔や体格をモデルにした製品しか生産されなかった。そんな状況で世界で初めて参入した欧米企業が欧米人の顔立ちと体つきを初めてスレイブロイドに採用したのは当然の成り行きといえよう。搭載言語に日本語以外の言語を採用したことなどから考えても、アレクシー社は「欧米型スレイブロイドの生みの親」と言って過言ではない。
 スレイブロイドに家事一般を担当させる「メイド化計画」を推進してきたことは早くから注目されてきたが、何年も待たずに日本企業がさらに品質の良いメイド機能を搭載して追いついてきてしまったため、現在ではスレイブロイドの付加価値機能については他の企業に埋もれた形になっている。
 その一方で、マニアックなプレイを再現しようとしていくつかのテストモデルを発売したが、人気はいまひとつ。
 故障が多く、製品の信頼性が低いためか日本国内ではたいへん不人気で、獲得しているシェアはほんの数パーセント程度。

株式会社アドルフ・ベルクハイム自動車工業
本社 ドイツ スレイブロイドシェア 6% 業界第5位
 六陽エレクトロニクスの設立とほぼ同時期にスレイブロイド市場へと参入したドイツ有数の自動車企業。スレイブロイド市場では後進企業にあたるので、製品の質はいくぶん他者に劣るが、一部にアドルフ・ベルクハイム社製スレイブロイドを熱心に支持する顧客層を持ち、将来性は高い。

【アドルフ・ベルクハイム自動車工業製スレイブロイドの特徴】
 実直で無駄が少なく、それでいて指先にまで優雅な振る舞いがインプットされているアドルフ・ベルクハイム社製の職人気質が具現化されたスレイブロイドは、上総壱岐島重工製スレイブロイドに共通する部分が多く、日本でも熱心に支持する顧客層が存在する。
 メイド機能と軽労働機能の搭載については、もちろんアドルフ・ベルクハイムも積極的に取り組んできた。しかし、他の企業の背中ばかり追っていたのでは、いつまで経ってもスレイブロイド市場に確固たる地位を築くまでには至らないと考えたアドルフ・ベルクハイム経営陣はスレイブロイド市場参入前までの主たる業であった自動車工業のノウハウを使って、スレイブロイドに自動車を運転させるプロジェクトをスタートさせた。
 もちろん、スレイブロイドの手に自動車のハンドルを握らせて、足でアクセルを踏ませようというのではない。自動車に搭載したコンピュータとスレイブロイドとを直接接続することで、スレイブロイド自身が自動車の「脳」になるという計画である。
 スレイブロイドはコンピュータの脳を持つ人格である。彼女たちは必要があれば感情を殺し、正確無比な機械部品の一部となることができる。人間のようにうっかりミスをすることもなければ、無謀な運転で身を酔わすようなこともない。彼女たちに車を運転させれば、絶対に交通事故など起こらない。夢の交通事故ゼロの世の中が実現する…というのがアドルフ・ベルクハイムの目論見だが、法律的にスレイブロイドに自動車運転を許可するための準備が難題として残されている上、この地球上に存在するあまねく全ての自動車をスレイブロイドに運転させる夢は、しょせん夢だという声が世界の「自動車愛好家」からあがっている。