柴田愛子   

 水曜日。
「今日は、こまをつくろう!」と思って、りんごの木に行きました。紐を使って回すコマが5歳児を中心にはやり始めていましたが、回すおもしろさではなく、色が変わることを楽しみたいと思ったのです。
 プラ板(透明の塩ビ板)を見つけ、油性アクリルペンで模様を描きました。軸は爪楊枝です。色が綺麗です。回すとまるで違って、綺麗! われながら満足! 
 模様をいろいろにしてみました。描いたときは綺麗でも、回すとパットしなかったり、回すと綺麗だったり、おもしろいです。丸のつぎに四角も作ってみました。次々と子どもが見に来て「わたしもする」と、加わってきました。

 プラ板ははさみで簡単に切れます。見ていると、ハート形、楕円、三角などすきな形にしています。が、回るんです。さらに、爪楊枝ではなく、焼き鳥用の串に刺し、逆さにして竹とんぼのように回す子もいます。あれ、あれ、子どもの頭は柔らかい。
 子どもに刺激されてあれこれやっているうちに1時間半がたち、集まる時間になってしまいました。
 それぞれ、てんでにあそんでいた子どもたちが集まります。
 何をしてあそんできたか聞きました。サッカーをやっていた子。段ボールで家を造り、お家ごっこをやっていた子。そして、散歩をしてきた子。
 この散歩が魅力的でした。池のあるところに行ったら、氷が張っていたそうです。
 氷を見せてくれました。
 そして、ドングリの殻をむいて池にいるカモや鳩にあげると、喜んで食べた、という初耳の情報もありました。
「あー、私、コマも面白かったんだけど、散歩に行けばよかったなー」と、嘆くと、
「あしたは、さんぽにしたらいいよ」と子どもに言われました。

 木曜日。
 もちろん散歩です。ポッケには、家に残っていた甘栗をもってきました。ドングリよりおいしいにちがいありません。カモは喜ぶでしょう。15人の子どもたちと行きました。

 池の日陰の部分には、かなり厚い氷が張っていました。子どもたちはちゃんと、網とバケツを持って来ています。長い棒で氷を割って、それを網ですくうのです。なーるほど。手で取ろうとすると池に落ちてしまいそうになります。けれど、だんだん気分は盛り上がり、より大きな氷をとることに夢中になり、膝下まで入ってしまいました。後になってジンジンする足を、お日様に当てて動けなくなっていましたが・・。
 私は手袋を持っていなかったので、すぐに手がジンジンして、めげていましたが、子どもは面白いことに真っ直ぐです。ズボンが濡れてもやってみる。大きな氷をとるために腹這いになって、ジャンバーはどろどろ。とった氷を割られたくないために、帰るまで手放さず、手の位置にまあるく穴が空いた子もいます。

 甘栗は、おいしいのは子どもが食べてしまいました。堅いのはカモもイヤだったみたいで、口の横から出していました。
 その日帰るとき、面白かった氷取りの話を全員にしました。
「あしたは多分もっと寒いはず、中央公園(今日の池より大きく、毎年氷がはる所)の池は、厚い氷が張っているに違いない。みんなで行こうよ!」と、誘いました。今日、長靴と手袋がなかったことが残念だったという、私の反省も話しました。みんな「いくー!」って顔を輝かしてくれました。ヨーシ!

 金曜日。
 お弁当を持って中央公園に行きました。池の半分くらいが凍っていました。日陰の氷は2センチくらいあったでしょうか。子どもでは割れず、長靴を履いた大人が踏んで割りました。割った氷を、池からどんどん引っ張り上げて集めます。大きいまま、割らずに集めることが仕事? あそび? って感じです。とった氷を「かわかしておく」と、ひなたに置いている子もいました・・・? 
 小さな氷を凍った池に投げると、カラカラと美しい音を立てて転がっていきます。
 鳥が氷の上を歩いています。
 氷も、場所によっては、繊細なレースのようになっているものや、葉っぱを入れて凍っているもの、厚くて透明のものと、いろいろです。氷の中に空気が入っていて、丸くなったのを「めがある!」。棒で叩くと、パーと小さく散って、目が増えるのもおもしろかったです。子どもといるからこその発見です。

 子どもをだしにしてあそんでいます。幼い子どもたちと一緒にいると、いつまでも、自分の幼いあそび心を満足させることができます。知らなかったことを発見します。われを忘れて、はまることができます。
 でもね、朝は、やっぱり、寒いからやめようかなって思うんです。こたつから出られない、あの感じです。
 前日楽しかったのに、明日もしようって思ったのに、気持ちが鈍るんです。
 でも、エイ! って出かけると、やっぱり楽しいのです。
 冬の外あそびは、この、エイ! をできるかどうかにかかっていますね。身支度をしっかりして、エイ! と出てみませんか?


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