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柴田愛子 ill Takasima.N
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この頃、公園の池(前々回参照)は凍っていません。氷のかけらもありません。
長靴に、手袋に、上着にと、完備して行くのですが、子どもたちはどんどん脱いでしまいます。やはり暖かいのでしょう。なにかの拍子に池に足が入ってしまった大ちゃんなんて、「どうせだから、ぬれちゃえ!」と腰までつかってしまいましたが、震えてはいませんでした。子どもは自然に敏感?
氷がないので、なにをしようかなあと見回すと、子どもたちは忙しそうにいろいろやっています。
まこちゃんが、池のふちの石に腰をかけて木の枝をたれ、釣りのようにしているので近づいてみました。
「やってみようかな」と言うと、木の枝を拾ってくれました。枝を受けとると「ヌル!」っとして、ちょっと気持ち悪い。でも、まこちゃんの笑顔をくずしたくはなく、ちょっと我慢しました。
棒を入れて、葉っぱを釣り上げる。これだけのことが結構むずかしいのです。そして、結構夢中になるんです。はまりました!
「おもしろいのがつれた!」と、まこちゃん。杉の枝です。
「それ、コンブだね」と答えると、ニッと笑い「もっと、コンブのおおきいのとろう」
「これはなんだ?」なにやらフニュフニュしたもの。
「ワカメじゃない」
こんな会話ですっかり海釣り気分。他の子も集まってきました。やわらかい枝でしなるので、思うようにいかず、気持ちが前に出てしまったゆうくん、ポチャンと落ちてしまいました。膝までの深さでしたから、一瞬ハッとした後はみんな大笑い。
ふと見ると、2センチくらいのまん丸いものが浮かんでいます。ボール? 木の実?
とろうとしますが、丸いものを木の枝でとるのは、ホントに難しい。 「もう、イライラしてきた! やめる!」と言ったのはまこちゃんでなく、私。
まこちゃんは、枝が二股になったところに、上手にボールを固定して引き上げ、見事に手の中に。それは、クヌギの実だったようです。カラカラと音がします。
「乾かすともっといい音になるかも。すごいね。それ、きょうの宝物だね」まこちゃんはうれしそう。なのに、彼女は私に、
「あげようか?」と聞きました。物欲しそうだったのでしょう。
「いいよ。まこちゃんが、あんなにがんばってとったんだから」というと、
「じゃあ、これあげるよ、ピカピカのいし」
「ありがとう」ともらいました。
なんでも、昨日拾った宝物でつるつるの石。駐車場で見つけたそうです。まこちゃんの宝箱には、こういうたぐいの物がたくさん入っているそうです。
ちょっとした一日の、ほんの一時の光景をお伝えしました。子どもの育つ原点は、昔も今もないようです。石や木の実を宝物に感じる子どもの感性にほっとし、うれしく思います。
そして、今日思ったこと。
「子どもとあそぶには、汚れることを恐れてはいけない」
「子どもは汚さずにあそぶことはできない」
「汚れることを気にして、あそびを放棄させるのは、もったいなさすぎる」
でした。
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