タイトル

 関東の桜は3月末には咲いてしまいました。
 4月始め広島にうかがったとき、桜が満開でした。卒業生のお母さんが空港に迎えてくださって、「とびしま海道」をドライブ。海の青さと満開の桜に見とれました。
 次の週の12日は、友人のお墓参りで御殿場の冨士霊園にいきました。なんと、みごとに満開。今度は青空と桜、そして、富士山と勢揃いという感じでした。
 そして昨日18日は、新潟の長岡にうかがいました。東京から上越新幹線でたったの2時間程度なのですが、車窓の始めは関東の新緑、次には桜がみえ、そのうち越後湯沢前後は雪山。浦佐という駅の周辺はまったく雪景色。そして、到着した長岡は桜が満開でした。時間は短いのだけれど、距離はあるということですよね。日本も広いと思いましたね。
 今年はこんなに桜を見せてもらいました。
 どうして、こんなに桜に関心があるのでしょう。見に行かないと落ち着かないというほど、惹きつけられます。日頃はどこにあるかもわからないほどの存在なのに、一年の数日見事に存在感を現すかっこよさでしょうか?

 長岡は初めてうかがいました。雪を残した山々が見え、広々とした気持ちよいところでした。

 お魚がおいしいそうですが、今回は日帰りなので残念! 

 花火も有名ですが、これも残念! 

 でも、保育士さんたちは聞き上手で、気持ちよく話させていただきました。

 

 ところで、新学期が始まって、そろそろ落ち着いたでしょうか?
 いえいえ、まだですよね。始めの頃泣いていた子は少し落ち着き、始めは泣かなかった子が泣き始めるころですものね。

 りんごの木の3歳のさこちゃんが突然、大きな声で泣き始めました。家の隅々まで響くほどのすばらしい声です。

 常々思うのですが、子どもってまだ声帯がきれいなのですよね。だから、身体とは比例しないすばらしい声で泣くのではないでしょうか。

 なかなか泣き止みません。お母さんに会いたいと泣きます。

 何があったかはさっぱりわかりませんでしたが、とりあえず保育者に抱かれていました。

 しばらく泣いた後、保育者が気をそらせるような彼女が好きなお姫さまの衣装作りをして、どうにか泣き止んであそびにもどったようです。


 以前、森のようちえんの親子遠足に同行したときのことです。3歳くらいの子が大泣きでした。

「かえる、かえる。おうちにかえる」と泣きます。

 お母さんはどうしてよいのか戸惑うばかり、お母さんこそ泣きたかったでしょう。

 お母さんは泣く子を無視して、前に進みます。子どもは大声で泣きながら後をついて行きます。

 保育者が声をかけようと、私が声をかけようと、叱ろうと、誉めようと泣き止みません。

 だいぶたったとき、なぜか突然泣き止みました。そして、自分で前に進み始めました。

 そのあとは機嫌よくあそびました。

 
 子どもはよく泣きます。泣くとやっぱりわかってあげたいと思います。いえ、ほっとくわけにはいかないというのが正直なとこかもしれません。

 泣く子が黙る魔法は、なかなかありません。

 子ども自身も泣いている理由が整理できているわけではなく、ただ泣けてしまうのでしょう。

 泣きながら頭を整理し、泣いている理由を話せるなんてできるわけがないのです。

 でも、おとなは早く泣き止ませたい、何とかしたい。だから「どうしてなくの」「なんなの!」と問い続けます。

 そんなときに答える子どももいるとは思いますが、ほんとの理由というより何か言わなければと思いつきのことのほうが多いです。
 ほんとに困ってしまいますよね。

 とりあえず、子どもが手をつけられないくらい泣いてひっくり返っているときは、手をつけないことにします。だって、何も聞こえていないだろうし、効果的なことはないのですから。

 思いっきり泣いて、暴れて、疲れてきたら少し気持ちが落ち着きます。そのときに、気分転換になる好きなことをちらつかせてあげる以外にないじゃないですか。

 泣いてる場所が周囲にご迷惑なら、ちょっと移動させてしまいましょう。
 抱かれて泣いているなら、抱き続ける。おとなは黙っていていいです。
 どうして泣くのかわかりません。どうしたら泣き止むのかよくわかりません。でも、泣く子どもを頻繁に見てきたおかげで、親のようにカッカとしたり、イライラしたり、泣きたくなったりはしません。

 保育者は、泣く子を愛おしく思えたり、泣き止ませてみるぞと燃えてみたりしているものです。ご安心を。


 さて、さこちゃんですが、お母さんに言ったそうです。

 自分がねこちゃんになって○○ちゃんがお母さんになってあそんでいたら、うそっこのお母さんじゃなくて、ほんとのお母さんに会いたくなった。おばけがでるっていったから、お母さんに会いたくなった。(誰か他の子がお化けの話をしたようです)

「そんなときは、りんごのおとなに言えばいいのよ」とお母さんがいうと「でも、おとなはいそがしそうだから」と言ったそうです。

 子どもが泣くには泣くわけはあるのです。そして、結構冷静にみてもいるのですね。まいっちゃいます。(4月19日 記)

 

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