先週雨の日のことです。4、5歳児クラスをのぞきに行くと、かなりの雨の中で数人があそんでいます。カッパを着ている子もいれば、シャツがずぶ濡れの子もいます。
バケツに水をくんでは、坂のところに運び、ザバーと流します。3人くらいで何度もやっています。これはなに?
「みずコースター」ということでした。
なるほど、ジェットコースターな感じです。
雨水が屋根の樋からもれて落ちてくるのを、根気よくペットポトルにためている子もいます。
屋根からすべり落ちてくるのを漏斗を使ってペットボトルに集め、何本も並べている子もいます。 頭の上にも雨水はポットンポットン。
「プールやさんをしているの」という5、6人のグループ。長靴はいて水たまりに入っています。深くしているようです。しばらくすると、新しいプールを探しに行きます。
気温が高いからでしょう。まだ唇は赤く、震えてもいません。
「そろそろ集まるよー」の声で、室内に入り、濡れたものを着替えました。
りんごの木では、雨の日も外であそびたい子は出て行きます。
雨の中でブランコに乗って、シャワーのように雨を浴びている子がいたり、雨の中で鉄棒をやったりする子もいたり、雨の滑り台で滑り具合を試してみる子もいます。
数人の傘を集めてお家を作り、中であそんでいたりもします。
でも、こんな光景は一般的ではありません。「雨の日は室内遊び」と決められている園も多いでしょう。
かつて、幼稚園に勤めていた40年くらい前のことです。
私は雨の中、担任している子どもたちと傘をさして、園庭を歩いていました。
鉄棒にたまった水滴、濡れた木の葉、いつもと違う園庭を楽しんでいました。
ところが、スピーカーから「○○組さんのお友だち、今日は雨なので、お部屋の中であそびましょう」と流れてきました。
もちろん、私に向かって言われているのです。すごすごとみんなで部屋に入ってきました。
で、私は主任先生に聞きに行きました。
「どうして、雨だと外で遊んではいけないのですか?」
「だって、風邪を引きます」と、当然のように言われました。
(風邪って、雨に濡れるとひくのかしら?)
(雨の日は外であそべなくてつまんないと思うより、雨の日も楽しいと思える方がいいに決まっている)
(それに、雨の日だからこそのあそびもある。撥ねをあげてかけるのも楽しいし、水集めだっておもしろい)
(例え、翌日熱が出たとしても、今日のかけがえのない遊びは子どもの何かに残っていく)
二十代半ばの私の頭には、こんな思いが交差していました。
とりあえず、雨に濡れると風邪を引くという常識はあたっていないことを確認。体温が低くなったままにしておくと、体力が奪われて、風邪を引きやすくなるらしいことを本で見つけました。
つまり、身体が冷えないうちにちゃんと拭いて、着替えればいいってことです。
少し甘い白湯をのませたり、温かいものを食べたりすれば、身体はいっきに快復。
お風呂に入るのもいいですよね。
雨の日の楽しみをあきらめなくていいという結論に達し、主任先生を説得に行きました。そして、雨の日も園庭であそべるようになったというわけです。
しかし、いまでもほとんどの人たちは、雨の日の外遊びを歓迎していません。どうしてなのでしょう?
びしょびしょを着替えさせるのが大変?
バスタオルもたくさん使うし、洗濯物が大変?
梅雨で乾きにくい時期になるし。
だいたい「ずぶ濡れなんて気持ち悪いじゃないですか」という人も多いのかもしれません。子どもだって、そういう子はいます。
子どもの楽しみ、おとなの都合。いつもなかなかしっくりいきません。
さあ、梅雨時。あなたはどうしますか?(6月7日 記)
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