タイトル

 蒸し暑い土曜日、こどもみらいフェスに出向きました。
 市営地下鉄「センター北」を降りると、ここはなんともおしゃれな街、ところがいきなり、わしゃわしゃとした空気。駅前は子どもたちがあそぶ空間に変身していました。広場からはみださんばかりの遊び場です。
 竹を組み合わせたタワー(写真=上)には小学生たちがよじ登っています。幼児はそれをまねて這い上がっていこうとしています。なんでも竹を60本伐採してきたと聞きました。力を貸してくれたお父さんに、

「雨の翌日で重かったでしょう? 大変でしたね」と声をかけると、

「いやぁ、楽しかったです」と、かっこよい返事が返ってきました。
 いくつも張られたテントの中では竹を切ったり、竹ぽっくりを作っていたり(写真=下右)、絵を描いたりやりたいことに夢中な子どもたち。
 小さなプールが設置されて、シャワーでキャッキャッと喜んでいる小さい子どもたちのとなりでは、なつかしいベーゴマをやっています。小学生に混じって、りっぱなおじさんたちも。バケツにシートをはり、その上に一斉に投げ出しカチカチとぶつかり合ってはじかれたほうが負け。

 そこに大山ごまを使ったおじさんが勝負をいどんできましたが、その大きなコマにはかなわない。おかしかったのはそのおじさんの自慢顔。すごいだろうというその表情はだれより子どもでした。


 子どもたちの駄菓子屋さん(写真=下左)。子どもを抱いての「前髪切り」の散髪。バルーンアート、細長い風船を使っていろんなものに仕上げて人気を得ています。そこの担当をしているお父さんは、昨年やってみて面白くてどんどん新しいものを開発したそうです。
フェス お腹が空いたら焼きそばや、ホットドッグ、まもるくんやき(鯛焼きのようなもの)、飲み物が売られています。種類が少ないのも魅力です。
 近くのビルの3階に足を運ぶと、竹の風車や糸版画、ハンドマッサージ、占いもやっています。私はたっぷりハンドマッサージをやっていただきました。

 なんて、幸せな風景でしょう。
 子どもたちはおとなに制されることなく、自由にあそんでいます。

 はちゃめちゃで騒動を起こす子はいません。そうなんです。ほんとは子どもはこんなふうに遊びたいだけなんです。

 子どもに任せたからって、とんでもないことにはならないのです。

 そこにいっしょにいる今日のおとなたちは、自分の中にたしかな子ども心の存在を感じていたでしょう。

「そうそう、こんなことやったな」

「挑戦することが楽しかったな」と。

 そして、わが子にその思いを重ねたことでしょう。

 日常的には快適で清潔を望むおとなの暮らし方。今日のように子ども心を取り戻しながら遊ぶ日。そのバランスがとれた、おとなと子どものいい関係のフェスティバルだったと思います。


 室内で、あそびうた作家の「あらまきしゃけさん」のミニライブがありました。

 2、3歳から小学生低学年の子どもたちが歌に合わせて遊んでいました。

 子どもたちはしゃけさんの歌や言葉に合わせて、真剣にやっています。

 その周りで子どもを見ている親の表情のすばらしいこと。わが子を愛おしいと思っている表情があふれ出しています。私はそちらの方に目がいってしまいました。
 そうなんです。いつも子どもとの距離が近すぎるんです。まとわりついたり、泣かれたり、抱っこをせがまれたり、それはうっとしいです。でも、こんなふうに少し距離を開けてみれば、あら、うちの子なんてかわいんでしょうになるんです。

 そういえば、今日スタッフで働いている人の子どもを集めて引き連れている親もいました。子どもたちは群れながら、穏やかに遊んでいました。こんなふうに適当な距離が必要なんですよね。
「あら! 久しぶり、元気?」
「あら、どうしていた?」
「あら、なんか困っているの?」
「あら、お友達なの?初めまして」
 あら、あらとおしゃべりしていて気がついたら6時間がたっていました。
 風に吹かれながら心地よく帰路につきました。
 さあ今度の土曜には何をお話しようかしらと、あれこれ思いを巡らしています。(6月14日 記)

 

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