タイトル

 りんごの木は26日から二学期が始まりました。

 初日はあいにくの雨。部屋の人口密度が濃いのだけれど、外に出ていく子が少なかったです。いつもは雨でも外の子がいるんですけれどね。そして、「そろそろ、かたづけよう」の声かけに、なにやらサッサと動き出す子どもたち。

 あれ? ちょっと不気味。

 久しぶりにくると、ちょっとよそゆきの気持ちなのかしら?

 いつまで続くのかしらと思いながら、私は翌27日から広島に行きました。


 保育士連盟によんでいただいたので18:00から20:00までの講演でした。保育後とは思えず、みなさん居眠りもせずに聞いて下さって、うれしかったです。

 そのあと、委員の方々とおいしい、おいしいお食事に。

 お話も弾み、おいしいものにも弾み、腹十二分目で夜中にホテルに到着。

 だのに、翌朝、食いしん坊の私は、ホテルの朝のバイキングをあきらめられずに、食べに行きました。
 その後、卒業生のお母さんで、障碍のある高校生の仕事をしていらっしゃる方と会いました。

 おしゃべりで口を動かしている隙間に、食べものを入れて口を動かし、もう、お腹がいっぱいかどうかもわからないまま、しらす御膳を完食! しばらくすると腹十二分目を自覚。
 夜、大阪に向かいました。そのままホテルに入ってしまおうと思ったのですが、たこ焼きが目に入ります。大阪に行ってお好み焼きやたこ焼きを食べないなんて、信じられません。(広島のお好み焼きも好きです)
 8個入りを購入して部屋へ。やっぱり、食べてしまいました。

 ところが、さすがにお腹がぱんぱん。気持ちが悪くなってきました。胃も少しチクチクし始めました。

 翌日は、常磐学園の講演です。なんと言っても十分な睡眠がないと集中力に欠け、講演に力が入りません。あー、後悔・・・。

 悔やんでも、食べてしまったものは仕方がない。お腹に手を当て、うつらうつら……。少しは落ち着いてきました。翌日の朝は決してバイキングに行かないと決めました。
 だのに、朝、だいじょぶかも? いや、もったいないから、お茶と野菜だけでもいただいてきましょうと、レストランへ行ってしまいました。


 ところが、そこはメインの洋食か和食かを選択し、その他のものをバイキングというスタイルでした。つまり、メインを頼まなければいけないのです。

 仕方なく「洋食」と言いました。

 お皿にはスパイスがきいたような鶏肉が三切れと、トマトの煮込んだ野菜がのっていました。

 私は紅茶と生野菜とヨーグルトをとってきました。

 一切れ鶏肉を食べましたが「もう、やめなさい!」と胃が言いました。お皿はきれいで手をつけていないように見えます。なんとしても、もったいない。
 そこへ、三十代のサラリーマン風の男性が隣に来ました。和食を頼みました。焼き魚です。バイキングの方から野菜を山ほど持って来ています。食欲旺盛です。

 言おうか、言うまいかしばらく考えていました。「いえ、けっこうです」と言われてしまうかもと躊躇しましたが、とうとう言いました。
「失礼ですが、胃が重いので食べられないのです。よろしかったら食べていただけませんか?」
「あー。よろこんで!」と、その男性は料理のすべてを自分のお皿に移してくれました。

 そのときのうれしかったこと。スキップしたいくらいの気持ち。ちょっとあきれてしまいます。こんなことで、こんなにうれしいなんてどういうことでしょう。


 ふと考えると、他人に対して構えてしまう時代に馴染んでしまっている自分を感じます。

 知らない人に声をかけるだけだってむずかしいし、よかれと思ってもどう思われるかわからない。 この私でさえ一歩引いているのです。
 他人たいして躊躇し、人と心を交わすことに警戒しているのは、決して住みやすい世の中ではないはず。電車の中で「お荷物、持ちましょうか?」の声かけも、熱い日差しの中でタクシーを待っているご老人に「駅までお乗りになりますか?」と言いたいけどやめてきた数々。今度から、もう少し躊躇しないで声をかけてみようと思いました。
 朝のいい気分のおかげで無事に講演を終えて、胃も心も軽くなりました。そして、今度は夕飯を腹十分目いただいて新幹線に乗りました。

 

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