タイトル

 先々週の土曜・日曜は長野県の保育連盟の研修会で黒姫に伺いました。
 長野駅からしなの鉄道に乗って30分。この景色が素敵でした。

 山を遠くにみて、森の中を走ります。
 ときどき小川が流れ、木々が赤や黄色に色づき始めています。
 プラットホームは敷石の間から草が伸び、ぺんぺん草が生えていそう。
 駅に着くと、自分でドアーを開けます。なんだか、ワクワクする電車でした。
 残念ながら、途中から暗くなってしまい、着いたころには真っ暗。「黒姫」の駅は、ちょっと賑やかで明るかったです。
 いい時期によんでいただいて、うれしい旅をさせていただきました。
 
 24日の土曜日は運動会でした。文句なしの秋晴れ。近くの公園をお借りして、りんごの木唯一の全員集合行事です。1歳児の親子から6歳の一番組、さらに小学生も加わって、成長していく姿をひしひしと実感しました。
 それにしても、小さければ小さいほどかわいい! 

 親と手を繋いで走っている? だけで、かわいい。
 2、3歳児は、友だちと手を繋いで、競争心などみじんもなくにこやかに走っている姿がほほえましい。「あら、こんなに大きくなって!」と、こちらものどかに楽しみます。
 4歳にもなると、人と手を繋いで走ったりしません。友だちのことが気になって、振り返りながら走る子もいますが、いっしょに走りたいというわけではなく、負けそうかどうかを確認しているのです。とにかく一番になりたいという子は顔の表情が違います。競争心はこのころからなのでしょう。
 小さい子たちは、保育者が日常の姿から考えたものを種目にしました。
 大きい組(4、5歳児)は毎日ミーティングを重ねて、30近い案から5個に絞ってやりました。

 

 ここでは、私が特に感じ入ったものを書きますね。
 そのひとつは、なんと言っても親の種目です。子どもたちが親を眺める、親のいつもの違う姿を見る機会をということで、大事にしています。
 ひとつは騎馬戦。小さい組(1〜3歳児)対大きい組(4、5歳児)の親対決です。
 初めはお父さんたち。迫力があります。小さい組の方は初体験の方もいたでしょう。やはり経験を積んだ大きい組の勝ちでした。
 次はお母さんたちです。数日前に小さい組のお母さんたちのお話し会で、運動会に騎馬戦があることを話しておきました。上に乗る人は負けん気の強い方がいいことも・・・。そのこともあって、やる気満々です。
 しかし、大きい組の親たちには、どこかすごみがあります。すでに騎馬を組むメンバーも決まっています。
 そして、戦いの始まり。すごいです! 間近でお母さんたちの戦いを見るのは、すごいというか怖い! 負けない! という気迫は顔の表情を変えます。それだけで威嚇できます。
 大きい組の圧勝でした。

きば だのに、「もう、一回!」と申し出たのは大きい組。

 まだ、物足りなかったようです。二回目も大きい組の勝ち。
 小さい組の母たちがつぶやいていました。
「やっぱり、馬の組み方に安定感がある。来年、がんばりましょう!」
「うちは、まだ下もいるので、あと4回はできます!」と言った人も。
 真剣に、負けん気を出し切って挑んでいる親たちの姿は、やっぱりいいなぁと思います。うそがない。

 このあと、おとなのリレーがありました。これも小さい組対大きい組です。

 それぞれに48人が出てくれました。お母さんお父さん混合です。

 これまた、意外な親の姿。かっこいいです! 

 おばあちゃんが出てくれた人もいます。年齢じゃないし、早さでもないし、やる気がある人がでればいいという、日頃の姿勢がそのまま親に反映していてうれしかったです。

 

 特別なひとつは、大きい組のリレーです。最後のプログラムに5歳児のリレーをもってくる園は多いです。それだけ、ドラマなのです。
 りんごの木は種目決めに時間をかけ、練習は数日しかやりません。

 リレーは4歳、5歳混合で赤と青のグループに分かれました。このグループ分けは運動会用に決めたのではなく、保育の都合上決めたものです。
 リレーは、一人ひとりを繋げていき、最後の人で勝敗を決定するという団体競技です。ところが一人ひとりの意識も力量も全然違います。闘争心が強く、走るのが速い子どもにとっては、遅い子が足を引っ張る。ゆっくりマイペースの子にしてみれば、緊張を強要され気持ちが重い。まだ、自己中心の年齢にある子どもたちにとっては、自分以外の人の扱いに困ってしまいます。
 でも、子どもたちってすごいです。自分の気持ちを持ちながらも、相手を受け止めようとするのです。そして、遅い子どもの気持ちをくみながら走らせてしまうのです。
 練習ではずっと負けてきた青チームが、本番では勝ちました。5人くらいの遅れの差を日々縮め、とうとう勝ったのです。勝っていた赤チームのアンカーは、悔しさで泣きました。
 子どもたちの精一杯の走りとドラマに胸がいっぱいになり、しばらく言葉が出ませんでした。
 自己主張の強いりんごの木の子どもたちに、協調性はどう育っていくのだろうかと考えていました。今回のことで、協調性とは妥協してうまくやっていくことではなく、「尊重し合うこと」だと子どもたちに教えてもらった気がしました。やっぱり、子どもってすごいです! 保育の仕事はありがたいです。(10月25日 記)

 

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