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 14日は山形県の新庄というところにうかがいました。

 山形新幹線に乗ると季節はどんどんさかのぼり始めました。郡山へんになると桜が満開、米沢へんになると残雪が、そしてふきのとうが咲いています。さらに北上するとふきのとうさえやっと顔を出した状態。山形を過ぎ目的地の新庄は雪も所々に残り、桜はやっとつぼみになったとのこと。東京駅から3時間半でこんなに季節が違うのです。狭い日本といいながら、ずいぶん違うものですね。
 そして、こんなに早いスピードで簡単に来てしまうのはいけなかったと思いました。ちゃんと気候のスピードとも折り合いながらの移動がいいと。そういえば二十代の前半に蔵王にスキーによく行きました。夜行に乗って行ったのを思い出します。あのゆるさは無理がないのかも。
 でも現実の仕事はこんな便利を使ってしまいます。駅と同じビルが会場だったために一歩も出ずに二時間の講演後、また帰路につき家から往復9時間も電車の中だけでした。初めて行く場所はよくわからずにお引き受けしてしまうので、こんな事になってしまいます。次回は泊まろう。

 

 さてさて、10日から保育が始まりました。
 今年度は人数も多いので、緊張して迎えました。
 小さい組はお父さんお母さんだけでなく、祖父母も同伴で送りや迎えにいらっしゃる方もいます。どんなにかわいがられているのでしょう。
 最近は親と別れて火がついたようにひっくり返って泣く子は少なくなりました。きょうだいの上がいる子が、場所には慣れているのですが、親がいなくなることや上の子もいない初めてのひとりぼっち状態になって泣いたりします。「きょうからりんごのき」と自覚しママとバイバイする子もいますが、その表情は固まっています。不安や緊張は顔と身体を固めます。2歳や3歳の子が自ら一歩を踏み出したのです。その姿はほんとに立派で愛おしいです。私たちはひとり一人の子どもを慎重に受け止めます。とりあえず、あまり話しかけずに側にいます。

 りんごの木は前年度から続けて来る子どもが何人かいるのでありがたい。その子たちがあそび始めると空気が和らぎます。けど、昨年からいても新しく入った子どもたちがいる状況に戸惑い、泣きそうになる子もいますけどね。ともかく時間がほとんどのことを解決してくれます。おとなが何かを仕掛けなくても、何かを強要されたり、自分を否定されたりすることがないとわかると、周りが見えてくるのです。
 そして、少し表情が柔らかくなると動き始めます。カメをちゅんとつついてキャーと身を引く。この繰り返しをしている子がいました。すると近づいて行く子がいます。同じように、ちゅんとつついてキャー。あっという間に5人もカメのたらいを囲んでいました。

 りんごの木のカメは穏やかでありがたい動物で、つつかれたり、甲羅をたわしで洗われたりしていますが、怒りもせずに首を長くのばしてくれます。
 斜めになった雨樋にボールを転がしている子を見ると、自分もやってみます。すでに他の子の刺激を受けてはじめるのです。子どもはやっぱり子どもを見ているのです。表情が出てきて、身体が動いてくると、口も動き始めます。もっとリラックスしてくると、鼻歌が出てきます。作り歌もあれば、「チューリップ」をうたっている子もいました。
 当分、朝は「いかない」と泣いたり、ストライキをしたりする子どもが大半でしょう。でも、数時間を過ごすと案外楽しみも見つけて、帰るときは「あしたもいく」に変わっていたりします。
 親としては毎朝喜んで行ってくれることが何より安心なのでしょうけれど、そうやすやすとはいきません。「一歩に進んで二歩下がる」を繰り返しながらです。
 今は、子どもの「行かない」に脅えないで「行く!」と連れて行きましょう。いやがると言うほど、場や状況を知ってはいないのですから。
 初めの頃は、子どもも親も保育者もクタクタです。私だってクタクタでした。  
 でも大丈夫。慣れってたいしたものです、身体も気持ちも日常になっていきます。

 前を向いてがんばりましょう!(4月15日 記)


 

 

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