またまたご無沙汰しています

 書く内容がないのではなく、書く時間がないのです。

 あきれるほどスケジュールびっちりですが、ほとんどはしゃべっています。講演、りんごの木お話し会、相談、打ち合わせ、同窓会、ついでに行政の立ち入りもあったりして・・。
 この頃思うんです、私って、しゃべることが生きることになっているのではないかって。命の糧はおしゃべり。ということは、無口な私になったら危ういということかもしれません。


 印象に残っていることを話します。
 あるところで子育て中の親たちに話しました。いつものように、子どもには育つ力がある、できる限り楽しんで見ていた方がいいというような話です。みなさん、熱心に聞いて下さって心地よく退場したのですが、そこに人垣ができてしまいました。

「私も先生(愛子のこと)と、同じように考えて子育てしたいと思っているんです。ところが、保育園の先生が、子どもを脅しているんです。言うこときかないとお化けがくるって。子どもが近くにあるものを取ろうとしたら、いけませんって叱られたんです。で、子どもがいじっていけないなら手の届かないところに上げたらいかがですかと言ったら、そこにあってもいじっていけないものはいじらないようにするのがしつけです。あなた方がしつけないから私たちがしつけているんですと言われたそうです。自信満々で取り付けない」と言います。

 確かに脅している保育者は結構います。お昼寝しないと暗い部屋に入れちゃうとか、食べないと遊ばせないとか、うるさくすると部屋から出されるという話も。特に今は、運動会の練習をしているところも多く、先生の目はつり上がり、声と笛が轟き、ここはどこの国かと惑うほどのとこもあります。
 日々、言うことを聞かない子どもに、親がお化けやオニを持ち出すのは子育ての知恵と思っています。昔から「のの様見てるよ」とか「バチが当たるよ」とか「床の間に座るとお尻が腐る」というのもありました。ちょっと座ってお尻を確認した幼い頃がありました。「ご飯粒を残すと目がつぶれる」というのもありましたね。
 子どもに納得させるのは難しいけど、とりあえず身につけてほしいことを迷信やうそを使ってしつけてきた文化があります。
 しかし、しかし、親ではない保育者がこの手を使うのはどうなんでしょう?
 時間的には親と同じくらいつきあっているのだから同じこと? でも、親子の関係とは全く違う他人。かなりの信頼関係が築かれていない限り「保育者を恐い」と過ごすのは、なんらかの影響はありそうだし、おとな不信になりかねない気がします。
 集まった親の中には正反対の人もいました。

「うちの園は子どもを必要以上に誉めるんです。ご飯食べただけでも手を叩いてすごいねぇと喜ぶんです。で、家でご飯食べて私が何も言わないと、子どもが『ほめて!』って言うんです。誉めたりおだてたりして育てたくないんですけど」と言うことでした。この園は子どもを誉めて育てる方針だそうです。
 いろいろあるものですね。
 保育園に通わせている人たちの悩みは、自分の育て方と違うどころか、それは嫌だと思う保育をしているのをどうすればいいのかと言うことでした。
 働いているから、保育園を簡単には辞められない。保育を知ってから転園することは難しい。まさに人質に取られている状態。話しても聞いてもらえないと言う。
 私は返事に困ってしまいました。
「保育園と家とは違う価値観、違う文化。世の中そんなことだらけ。いちばん身近は妻と夫、同じようで子どもに身につけさせたいことは案外違う。怒ることも違う。今は園との違い、さらに今後小学校に行けば、そこも違う。良いと思える環境で純粋培養することはできない。子どもはいつもそんな環境の中で生きるすべを身につけているのではないかしら。弱者の子どもはいつもおとなに好かれないと自分の居場所がないから、けなげにも顔色見ながら、ある意味したたかさも持って暮らしていく。
 そこで、自分の家が何より大事。園とは違っても、家で親のやり方をしていけば、あっちで少々身が狭くても、こっちでは大きくいられる。園ではダメと言われても、家では言われない。人によって違うんだ。ここはここと、子どもは思って育っていきます。保育園は毒ではないです。子どもは群れの中で育っています。永遠に関係を続けていく親が自分の味方、自分のことをわかっていると思えることが大事。家での日常生活が基盤です。目に余ることや疑問は園に聞いた方がいいけれど、園のやり方は園でのこと。家で園を引きつがなくていいので」と話しました。
 話しながら、なんだか言い訳しているみたいな心地悪さがありました。
 無償化になり、全面子育てを任せる親たちが多くなると言うのに……子どもにとって保育園が幸せな場所にならないでどうする。保育者はここで奮起して、保育や子どもに向き合ってほしいです。
「預かったものは預かった形でお返ししましょう」と、言った園長がいるそうです。保育者の仕事は一時預かりではなく、育ちがあってこその子どもの園生活です。
 もちろん意識を持って頑張っている園や保育者もたくさんいます!
 保育者全体の質をあげるためにささやかな私のできること……やっぱり、しゃべることでしょうか? (9月29日 記)

 

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