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 夜、家の電話がなりました。「愛子先生ですか?」と、懐かしい声がしました。
 今から40年前に幼稚園で担任していた太郎ちゃんのお母さんからでした。
「うれしいことがあったんです。うれしいことを話すのはやっぱりあいこ先生なんです」と、太郎ちゃんの感動的なエピソードを聞かせてくれました。
 太郎ちゃんは私が会った初めての自閉症の子どもでした。幼稚園に入れてほしいとお母さんが連れてみえました。園長とお母さんが面談している間、私が太郎ちゃんを見ていました。つま先でちょこちょこと走ります。言葉はしゃべりませんが、換気扇を見つけて走って行きます。私の中にキラッと光るものがはいってきました。「この子面白い!」と久しぶりに感じるときめきのようなものでした。「この子、私のクラスに入れて下さい」と園長に頼んで、二年間、担任をさせてもらいました。
 太郎ちゃんのおかげで「正しい教育」として学んでいたものが、いかに薄っぺらなものかを知らされました。私の子ども、保育、教育観を覆してくれた子でした。日常はヘトヘトになりましたけどね。
 太郎ちゃんからいただいたものは、かけがえのないものでした。彼はどんどん成長し、言葉が出て、ホノルルマラソンにもでました。その裏にはお母さんの努力が、人並み外れた頑張りがありました。
「初めて出会った先生が愛子先生でよかった」と言ってくれます。太郎ちゃんが自閉の特徴をみせる度に「また、太郎が・・・」と落ち込んでいたお母さん。けれど、彼の発見はガラスのポットをのぞくことであったり、換気扇の翼に色を塗って回すことだったり、トイレの中の水がたまるのを静かに聞くことだったりしました。どれも、一緒にやってみると面白いことばかりでした。クラスに「たろうちゃんあそび」として流行ったものです。
 お母さんは「愛子先生は換気扇のところに私を連れて行ったのよ、そして、回させられた。きれいでしょって」と、未だに覚えているそうです。「私は太郎のやっていることを感じようとしなかった。そのときから見方が変わった」って言って下さいます。その太郎ちゃんは、もう45歳になっています。
 今は施設に住み、働いていて、ちっとも帰ってこないそうです。
 電話の後、写真を送ってくれました。ほんとにおじさんになっていました。とっても優しそうな、いい表情をしています。一人の子の成長を親からお裾分けいただいて共有させてもらえるのはほんとに幸せなことです。

ww 話は一変! 5歳児と山梨・八ヶ岳にあるキープ自然学校に一泊で行ってきました。
39人の子どもたち、欠席なし! おとな7人。貸し切り観光バスです。一年に一回のデラックスなあそびです。

 雪は少々でしたが、子どもにしてみれば「めっちゃ! ゆきいっぱい!」。ソリやかまくらを作るほどにはあってよかったです。

 子どもって、海を見れば入っていくし、雪を見ればすぐ食べる・・・これは習性でしょうかねぇ。
 森のレンジャーさんをお願いしていますので、昼と夜の森の探検をしてくれます。けど、いつも好き勝手に遊んでいる子どもたちは、話しを聞くより雪に吸い寄せられてしまう。歩き始めれば、レンジャーさんよりサッサと前に進んでしまう。「すみません」と小さくなっていましたが、はやる気持ちはわからないじゃありません。

 昼は富士山、夜は星空がそれはきれいでした。
 建物内も走る、走る! おにごっこを始める! 走るときに叫ぶ! ネズミを館内に放った感じです。他の団体がいなくて救われます。どうしてこんなに元気なんでしょう。
 前回のつれづれに最後にこんなふうに書きました。
「ちょっとしたときの子どもに対しての声かけや動作で、コミュニケーションが交わされた実感。なんか、やっぱり保育ってすごくいいです。やっぱり短時間顔会わせるだけじゃダメです。毎日の保育者と子どもの関係がうらやましい。保育している方々に『すごくいい仕事なんですよー』と叫びたい気持ちになりました」
 これはうそではありませんけれど、今回の感想は全く違います。子どもってどうしてこんなにうるさいんでしょう。子どもの群れは大きさや年齢に関係しているのかも。前回は18人の4、5歳児の探検、今回は39人の5歳児。
 子どもって、いい日もあるけど、知らんぷりしていたいくらいのときもあります。「いい仕事!」と叫びたいときもあるけど「いい加減にして!」と叫びたいときもありますね。どんなことでも良いときもいやなときもあるってことかしらね。どっちも子ども、どっちも私です。
 そうそう、今回は悔いが残らないように、存分にソリあそびをしてきました!(2月1日 記)

 

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