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 新型コロナウイルスの拡大はとんでもない騒動になっています。特に全国の小中高校が休校になるというのは、私が生まれてからこの方一度もなかった事態だと思います。
 さて、こんなニュースが突然流れ、りんごの木はどうする?
 遠足、料理保育、卒業式・・・すべての予定を検討しなければなりません。緊急にスタッフミーティング。
 3.11の東北震災の時が思い出されます。目に見えない得体の知れないものに対しての恐怖感。周囲から迫ってくる緊迫感。いつになったら治まるのかわからない先の見えない不安感。
 ともかく移動しないのがなによりで、自宅とりんごの木の往復。帰りに近くの大きなスーパーに買い物に寄りました。そこで、びっくり! 物がない! パンが空、肉が空、スパッゲッティほぼ空。トイレットパーパーに至っては、もっと前から売り切れだそうです。何が起きてる?
 人間の心理は不思議です。非常事態に食料確保、生活用品確保ということでしょうか? さらに真偽のわからない情報がインターネットで伝わってきます。こういうのをパニック状態というそうです。冷静に考えられなくなってしまうということでしょう。あ、子どもを抱えている方は、学校は休み、日々の食糧確保という冷静な判断上のことでしょうけどね。
 りんごの木の保育は通常通り、料理保育はなしに、公共機関を使う遠足はやめ、卒業式はそのあとの懇親会はなしにして、簡素化した形にしました。

 二月の講演は都内の他に、熊本県、愛知県、鹿児島県、島根県と続いていました。最後の週から三月がすべてキャンセルになりました。内外共に気ぜわしいやりとりをしていたらなんか疲れてしまいました。もともと咳は出るし、身体全体がだるい・・? ギョ! 私も? いえ、熱はありません。また、医者に行ってしまいました。空いてる空いてる、医者も手持ちぶさただったのでしょうか、いつになく、いろんな検査されてしまいました。咳以外はピンピン! 咳の解明に取りかかり始めました。
 急に降って湧いた〈ゆとりの時間〉で、土曜日の親子クラスにのんびり参加。あんなに小さかった子どもたち、赤ちゃんに近かったのに2歳になり、身体の動きも子どもになっていました。
 なんといっても、おしゃべりにはあきれてしまいます。誰かが持って来たおせんべいをいくつもほしがっていた子に、
「いくつ食べるの。もうお終い」と親が言ったら、
「だって、○○ちゃんちには、このおせんべいはないもん!」と言い返すのですから立派。
 口もさることながら、人間の脳というものはたった1年でこんなに成長するんですね。この調子でいったら、みんな天才になってしまいそうです。残念ながらだんだん緩やかになっていきますが、幼いときの日々はすごい勢いで進化しているということです。
 土曜日はほぼ地方にうかがっていることが多かったので、こんなふうに親とおしゃべりしながら子どもを眺めるというのは滅多になくなっています。かつてはこんな日々だったなぁと考えさせられもしました。

 もうひとつ、びっくりしたことがありました。
 都内での講演の後、参加者のアンケートを送っていただきました。目を通していたら「〈子どもは自ら育つ力を持っている〉という新しい考え方に出会えました。」というのがあったのです。
 だって、赤ちゃんがだんだん育って来たじゃないですか! 
 2歳にして親に言い返すようになったじゃないですか!
 親の思うようにはいかないから、日々イライラしているじゃないですか!
 多くのアンケートに『楽になった』と書かれていました。「自ら育つ力を持っている」ということを実感すれば、親の気持ちは解き放たれるのではないでしょうか。
 子どもは生きる力を持っていて、すごい勢いで成長していることを眺め、感動できたらそれで子育て十分と思います。
 これは、新しい考え方ではありません。子どもを知れば知るほど、これが事実です。(3月1日 記)

 

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