ぬぬ

 暑い暑い日です。 2歳児8人、3歳児8人の混合クラスのことです。
 2、3人がりんごの木であそび、他の子は近くにある公園に行っていました。
 見に行くと、ブランコが人気です。でも、ブランコは二台しかありません。一台には黙って2歳のMちゃん。もう一台には3歳になったばかりのSちゃんが乗っていました。同じ3歳になったばかりのHちゃんが背中を押してあげています。

 一見、素敵な光景です。が、リズムが合いません。ぎくしゃくしていたと思ったら、HちゃんがSちゃんの背中を押し、てブランコから押し出しました。泣くSちゃんをものともせずに奪い取って乗りました。あきらめたSちゃんはブランコの脇の棒を抱え込み眺めています。となりのブランコのMちゃんは2歳。われかんせずで平然とずっと乗っています。
「かわってあげる?」と聞いてみたら、
「いや。Mちゃんまだのっている」
 そうですよね、先に乗っていたんだからそろそろ譲ってあげようなんて配慮、するはずもありません。かたや奪い取ったブランコに乗っていたHちゃんは、側でずっと見ているSちゃんが目障りだったようです。無言の抗議をされている感じだったのかしら? ブランコを降りて、やっつけに行きました。二人はもめ、Sちゃんは泣きました。その間にちゃっかり他の子がブランコに……。でも、Hちゃんはその子からブランコを奪い取り返しませんでした……?

 公園に水場があります。そこにはGちゃんがひとり。蛇口の水を触ってあそんでいました。そこへ元気なTちゃんがきて蛇口を奪い取り、水道を全開にして手を当て、勢いよく飛ばし始めました。奪い取られたGちゃんは一歩下がり、濡れないところで眺めています。そこへ走って突入してきたKちゃん。濡れることがたまらなく好きなようで、水の中を行ったり来たりしてランランと輝いています。もちろんびっしょり。蛇口を占領しているTくんは蛇口をコントロールし、水を揺らしてみたり、高くあげてみたりしていますが、自分が濡れるのは避けています。
 だんだんハデになっていく水遊びに、どんどん子どもが集まってきます。さっきのブランコの子たち3人ともやってきました。はじめに水場にいたGちゃんの顔に水が……。ヒヤッとしながらも気持ちが前に進みました。濡れるのは怖くないことに!
 水の魅力はたいしたものです。ほとんどの子が集まって、きゃーきゃーと楽しそうです。元締めのTちゃんも濡れることになっていきました。
「そろそろご飯食べにりんごの木に帰ろー!」と、保育者が声をかけました。
 食べ物以外で集めるのは不可能。子どもたちはちりぢりにりんごの木に向かいますが、裸足。靴は置きっ放し。「自分の靴を持ってねー」に反応した子は二、三人。かき集めて保育者が持ち帰ります。
 りんごの木までは遊歩道沿いですから危ないところはありません。途中、上に道路がある場所がトンネルになっています。立ち止まったBちゃん「ここでおべんとうにする」

 そうです、先日雨の中を遠足に行ったとき、雨をしのいでお弁当を食べたのがこのトンネル。覚えているどころか楽しい思いだったのです!「今日は、りんごで食べようね」と説得されて先に進みました。
 あら、四人が手を繋いで丸くなっています。「てとてと・・・てとてと」と自作の歌をうたいながら楽しそうに。この日、初めて繋がった集団行動でした!
 帰ってからのお弁当風景もすさまじいです。一口食べていなくなる子、おにぎりをつかんだ手をいちいち洗いたくなってしまう子、大きなおにぎりをじっと座って、みんながいなくなっても食べ続ける子。食べ終わった子がピアノをガンガン弾いても「うるさい!」と言うのは私だけ。
 さらに飼っているカブトムシをかごからだして窓に投げているYちゃん。
「こら、カブトムシ生きてるんだよ! 投げたら痛い!」と、地のままの私。
『どうぶつむらにいる』というのが、実感でした。

 散々散らかして迎えの時間。お母さんたちはこの数時間を目にしていないので涼しい温かい眼差しで迎えに来ました。
 保育者三人はもう、あきれてものも言えない感じ? 
「これ、どうにかなっていくんでしょうなかねぇ」
 なっていくんですね。水遊びに群れてきたじゃないですか! ほら!トンネルの下で四人が手を繋いでいたじゃないですか。
 そこへはたけから帰ってきた大きい組4歳児。暑い中どろどろにあそび、上り坂を20分くらい歩いてくるのです。やっぱり、人間は4歳からです。その姿に今日は一段とうっとりしました。
 しかし、2,3歳児も動物から人間に育っていくんです。
 あれだけ自分勝手にあそべるのもたいしたものです。みんな、周りに関係なく自分を貫いている。そして、言葉をほとんど使わないコミュニケーション力もすごいです。もどれない今を熟している姿のように思えます。
 つくづく保育園の保育者は偉い! と思いました。やっぱり、長時間預かるにはそれなりのやり方があるのですよね。
 そして、りんごの木の保育者も偉い! よくぞ愛を持って寛容に受け止めています。

                                   (6月28日 記)

 

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