ぬぬ

 ふと思うと、昨年はすでに今日から夏休みに入っていました。今年は31日まで保育。そのあともいつにないスケジュールとなっています。
 それにしてもよく降ります。そして、コロナ感染者は日々増えて、地域的にもじわじわと広がっているように思えます。
 りんごの木の保育は小グループで続行です。雨の日が多く、朝はちょっと気がめげますが、それなりにみんな慣れてきて、帰りにはいい顔になっています。
 雨の畑(空き地)、ペガススでたっぷり濡れた長靴の中が乾いていないうちに履くことになりました。やってきたMちゃんが「きょうのデザートなーんだ?」と開口一番。このところちょっと曇りがちだった顔がにっこにこ。
「スイカ!」「ちがう」
「モモ?」「ちがう!」
 とうとう待っていられなくなった彼女は「ブドウ!」とうれしそうに言いました。
 お弁当のデザートが大好きなブドウというだけで、こんな笑顔で来れるのねと思うと同時に、親の配慮を感じます。また、雨。何気なくスッキリしていない心模様。それが見事に親心のブドウが元気の素になったのです。
 そういえば、いつかの雨の探検のときに、小袋のかりんとうを持たせた親がいました。みんなで食べてねという応援してくれる気持ちだったようです。この子はお弁当食べるのが遅すぎて、最後の二人で食べてしまいましたけどね。お弁当にはそれぞれの親の思いが詰められているのでしょう。
 この日、懐かしい笹舟を作っている子がいました。笹が小さくて私はうまくできませんでしたけど、子どもは平気で作って浮かべていました。指先がよく動きます。
 大きい竹を四角に組み、ブルーシートを縛り付けて作ったプール? があります。雨が小止みになったので、そこに水を入れ始めます。下は地面ですから、案外クッションはいいようです。数人の男の子が入っていますが、四つ足です。ときどき上体をあげ、手を伸ばします。どうやら恐竜のようです。やがて周りに生えている細長い葉を水の中に撒きます。四つ足になって、その葉を口にくわえるじゃありませんか。
「なにやってんの?」と聞きました。
「○○ザウルスはね、さかなをたべていたんだよ」とのこと。
 へー、見事なごっこあそびです。恐竜は増えていきます。
 見ていたらわくわくした子がいます。服を脱いでパンツ一丁で駆け寄っていきました。けど、活発な恐竜の近くに行ってみると、水がバチャバチャ。思いは現実を前にして、すごすごとUターン、さっさと服を着ています。そうよね。見ていたらやりたくなるけど、やろうと思ったら躊躇する。この繰り返しをしながら、いつか「エイ!」と越えるときがやってくるんですよね。
 何もない空き地だと素朴なあそびが始まります。いつの時代も同じような子どものあそびです。

 

「りんごの木夏季セミナー」用の録画が続きました。大豆生田啓友さん、新沢としひこさん、私、と。
 その間にNHKラジオ「ママ深夜便」がありました。22:00に放送センター入り、打ち合わせをして23:00 〜25:00(こんな言い方するんですね)の生放送。お相手の犬山紙子さんはズーム参加で、アナウンサーの村上さんと三人で進めます。今回のテーマは「“べきお化け”をやっつけろ!」
 つまり“~すべき”、「母はいつも笑顔であるべき」「良妻賢母であるべき」「手作りの料理をすべき」「誉めて育てるべき」など、“べき”お化けに脅かされているというのです。
 私からしてみれば「その“べき”を言っているのはだれ?」 

 たぶん常識とか、慣習とか、専門家の発言とかでしょうけど、自分以外の見えない人に言われることに脅えていたら自分の感情に蓋がされて、自分が見えなくなってしまうだろうと思います。ほとんどが実現不可能な幻の親像なんですから。けれど、驚いたことに多くの子育て中の人がこれに苦しんでいるという現実を突きつけられました。
 初めて体験する親、自分がちゃんと育てなければいけないという強迫観念、迷惑をかけてはいけないと神経をとがらせるけど、思うようにいかない子ども。

 専門家の発言がいけません。「誉めて子育て」「栄養のバランスをよく」「市販の離乳食は味が濃いので手作りしましょう」「おやつもできたら手作り」などなど、切りなくあります。
 私は言いました。「それは見本だから」って。
  ウソじゃないけど、そんなに頑張れないのが実態。でも、ふと思うのです。専門家だっていろいろなはず、誉めなくたっていいと言う人だっているし、叱って子育てという人もいる。けれど、どうやら美しい理想の“べき”が、住みついてしまうらしい。紙子さんが自分の内面に住みついた「べきお化けは増えていく」って。そうなんでしょうね。自分の中で増殖させてしまう。
 多くの親は子どもが小さくて大変なときに、心と頭が停止しているように見えます。感じることや工夫をするという柔らかさがなくなっているような。番組を進めて行く中で、みんなほんとに大変な思いをしていることに胸が詰まりました。「そんなにがんばらなくていいよ」と言いたい。そして、今の親世代が間違いを許さず、迷惑かけないで、立派に正しさを求めて育つようにしてきた学校教育やおとなたちの罪だとも思いました。ごめんねという気持ちさえ湧いてきます。そして子育てしている方々を支援していくのはおとなの役目と実感させられました。
 みんな、もっと優しくなろうではありませんか! おとなたちは若い親たちに声かけを! 若い親たちは「困った!」と言える自分に!

 NHK聞き逃しサービス「らじるらじる」で27日から一週間くらい聞けるそうです。興味のある方はどうぞ。 (7月27日 記)

 

 

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