ぬぬ

 秋晴れの気持ちいい天気が続いています。キンモクセイの香りが、どこでも漂っています。本来いい香りなのですが、いつの頃からかアレルギーの引き金になっているようです。

 コロナのマスクのお陰もあってか、とまっていた咳が出始めてきました。いやですねぇ。
 少し前のこと、5歳児とお昼を食べていました。
 隣のようへいたくんの足元にスプーンが落ちていました。
「そんなところにスプーンが落ちてるよ」と、声をかけましたら、
「あれ? このスプーン、さっきはあそこにあったのに。そのまえはあっちにあった」と指を差します。
「あら、このスプーン、歩けるのかしらね?」と言ったら、
「こびとが、はこんだのかも」と、隣のひかるくんと言い始めました。
 少し離れたところに座っていたたけひとくんが、
「ぼくのおにいちゃん、こびとをみたことがあるんだ」と口を挟んできました。そこから、こびと話に花が咲きました。
 この時点で、私は白雪姫にでてくるような、かわいいこびとを想像していました。
 こびとブームはどんどん盛んになってきて、こびと捜しなんてやっているみたいです。なかなか5歳児もかわいいものだと眺めていたのですが、「こびと図鑑」というのがあるんだと言うじゃぁありませんか、私の頭は?? 見せてもらうことにしました。三人の子が持って来てくれました。
 なんと、私のイメージはガタガタ。かわいくない変なこびとたちです。
 皆さんご存じですか?
 2006年に初めて出版された、なばたとしたかさんの絵本とその書籍シリーズだそうです。 260種類以上のこびとがいて「カクレモモジリ」「アラシクロバネ」とかいろんな名前がついています。性格や特徴なども紹介されています。ちょっとポケモンを思い浮かべさせます。
 かわいいというイメージからはほど遠いものでした。でも、子どもたちは「いいこびと、わるいこびと」とか言いながら、それぞれのキャラを知っています。かわいいとかも言ってます。
 これを書いた人はさぞや楽しかっただろうと思うほど細かくて、具体的で想像的な図鑑でした。かわいらしいイメージの世界とは離れていて、正直ちょっとがっかりしました。けれど、考えてみたら、こびとってかわいいものとは限らない? 白雪姫に出てくるこびとだって、ほんとはおじさんたちですよね? ディズニーのこびとのイメージがかわいかった? 
 私が想像の世界でいちばん馴染みがあるのは「やまんば」。これだってすごい形相です。ニッカニカと笑って、喰われちゃうんですから、おそろしい。
 でもかつて「やまんばをみた」という子どもがいて、やまんばさがしが流行りました。これは伝承されて数年にわたって探されました。ま、見つかりはしませんでしたけどね。
 実在するかしないかわからないけど、妙に惹かれて遊びの中に入り込んでいく。
 カッパ、カミナリ、お化け、天狗もありましたね。恐竜だってそうかもしれません。
 そう考えると今回のこびとも同じかしら?

 ただ、かなりイメージが固定化されてしまっている気もします。けど、絵本から始まるごっこ遊びもこのたぐいですよね。おとなからの何らかの投げかけがあって、子どもの手に渡され、子どもたちが発展させていく。思いがけないこびとの出現に、混乱し整理出来ない私の頭は、あっちへこっちへと落ち着きどころを求めて翻弄されています。
 でも子どもたちのこびと探しは、本の世界からはみ出し始めています。そして、子どもたちはこんなふうに想像の世界を仲間と共有して、日々夢中になってあそんでいるのです。いいの悪いのなんてことはおとなの余計なお世話かもしれません。 ( 10月4日 記)

 

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