ぬぬ

 先週もずーっと忙しかったですが、忙しさの中身は、時間に追われているということだと思います。

 その中身は久しぶりに対面の講演会(+オンライン)、移動動物園の方との打ち合わせ、小学生の相談、2歳児の親のお話し会、卒業式会場の打ち合わせ、そして4歳児の江ノ島の遠足と多様で、それなりに楽しいことでした。
 特に江ノ島遠足は特別な感じ。コロナになってから、公共交通機関を使わなくしていたので、歩くばかりの流浪の民。それなりにたくましくなってきた子どもたちですが、ここで今年度最後の奮発です! 貸し切り大型バスで江ノ島水族館。着くやいなや、わー! と胸を開いた感じで子どもたちが走ります。
 巨大な水槽の中に魚たちが泳いでいます。子どもたちはガラスに張り付いて、いっしょに中にいる感じを味わっているように見えます。中に水族館のお兄さんが入っていき、エサを食べさせています。その部分をカメラでとらえたものが左の画面に映し出されます。魚の解説もしてくれます。
 以前、沖縄の座間味島に行ったとき、七〇代後半? と見られる女性がひとりでおられました。話しかけてみると、ダイビングのライセンスをとりにきているというではありませんか。街でやると、他の若い人たちに迷惑をかけるから、ここで個人レッスンをしてもらって、一週間滞在しているとのこと。
「私ね、水族館が好きなんです。よく行くんです。見ているうちに、この魚たちの中に身を置いてみたいと思いはじめて」という動機だそうです。
 江ノ島水族館の巨大な水槽に身を寄せていたとき、この方のことが思い出されました。私はシュノーケリングのまねごとを数年してきましたが、もう終わりにしようと思っていますが、やっぱり、この世界の中に入りたいという気持ちが湧いてくるのを感じます。
 子どもたちは、てんでバラバラに行きたいところへ・・迷子にならないかしらと、子どもを目で追いかけます。だから、子どもと来なければよかったなんて思ってしまうのよね。でも、それなりに先に進み、イルカショーへ。前列に進み出る子、最後部に座る子とさまざまです。こんなところにも子どもの性格が出るからおもしろい。
22 そのあと水族館を後にして、海岸に移動してお弁当。平穏なのはここまでです。食べ終わると子どもたちは海の中に。パンツだけになって入っていく子、靴下と靴だけ脱いで入っていくけど、やがてズボンを脱ぐ子、きゃーきゃーと声をあげて波と戯れます。もちろん保育者はのどかに見てなんかいられません。子どもの誰より深い位置に陣を構えて見守ります。入らなかったのは二人くらい。ひとりは砂地に枝で絵を描き続けました。ひとつ描けると「みてみて」のくり返し、すごい作品数でした。ひとりは波打ちぎわに沿ってどんどん歩きます。たぶん、先を見ていません。私はひたすら後をついていく、絵を描く子がその後についてくるという、妙な構図となりました。
 最高に大変なのは、海から出てきた子どもたちの着替えです。パンツ一丁は脱げばいいだけですが、服のまま入った子は、身体に張りつき、寒くてブルブル震えて手がきかない。温水シャワーがあるわけではありません。タオルで拭いてそのまま着替え。足が砂だらけ、海で洗ってもすぐにじゃりじゃり。もう、いいです。今日は貸し切りバスですから、ともかく乗ればいいです。バスの運転手さんは卒業生のお父さん。先週キープに同行してくれた人です。事前にたぶんの砂だらけ状況を話してあります。
 少し昔はこの場所は、いまほど整ってはいませんでした。でも、春、秋、冬と子どもたちを連れてきていました。整って観光向きにはなりましたけど、昔は冷えた身体をラーメン屋さんで温めさせてもらったり、不便さは人の温かさに繋がっていた気がします。そういえば、往復電車でした。よくぞ連れてきたものです。
 今回、江ノ島水族館に行ったのは、卒業生の夫がここに勤めていたのです。その夫婦の子どもは、いまりんごの木に来ています。妻に「あなたの子どものときも江ノ島に来たっけ?」と聞きましたら、「行きました、そのときも海に入りました」そして、なんと、子どもと一緒に海に入った保育者は今日と同じ!だったそうです。すごい話しでしょう? 保育者って若さを維持していますよね。 
 バスの中、水族館の中はマスクでしたけど、海では思いっきりあそびました。
 大きな自然で深呼吸。実はこれから12日は5歳児、16日は2歳児が行く予定になっています。どれにも同行する予定ですから、次回は今回見逃したクラゲをねらっています。
 そうでした7日は、講演に呼ばれてきました。なんと、卒業生からの依頼です。26歳になっていて、保育関係のことやっています。「あらー、こうた! かわっていないねぇ」と再会してきました。
 続いているって、おもしろいことが起きるってことですかね。
 案外、楽しくありがたい忙しさかもしれません。(3月7日 記)

 

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