ぬぬ

 久しぶりに電車で、千葉方面に行きました。
 友人二人と待ち合わせをして、二カ所に移動したもので、行きと帰りと駅が違いました。
 さて、どうやって帰る?
 それぞれスマホを持っています。私も買ってまだ日が浅いピカピカのです。こういうときに使わなくちゃと、いじりますが、経路はいくつも出てきてよくわからん! 三人して駅員さんに聞きにいきました。どこで乗り換えて、どう行ったらいいのか。やっぱりこれが一番です。詳しい人に生の声で教えてもらって、上手に帰れました。
 次の日、いつものようにりんごの木に行こうとして、車のエンジンをかけました。20㎞くらいですが、高速を使うので30分足らずで着きます。
 ところが、なぜか警告音が鳴り響くじゃないですか!
 なに? うるさい! エンジンはかかるのに?
 お手上げです。
 結局、ディーラーに電話してきてもらいました。
「こんな音、初めてです。ともかく、運んでみてみましょう」となり、車はキャリアカーに乗せられて行ってしまいました。
 冷たい雨が降っているなか、りんごの木には、最低限の荷物に限定して電車で行くことに。駅まで15分歩き、電車に乗って、乗り換えて、あっちも駅から7分。到着したときには「もう、遠い! 私、電車だったら週1回しか来たくない!」と、叫びました。エスカレーターばかりではないんです。結構、登ったり降りたりで疲れちゃいました。
 そういえば、駅のエスカレーターで後ろの人が電話をしていました。
「○○時のに乗るから、○○時に着きます」
 きっと、雨だから誰かに車で迎えに来てもらうのかも。それにしてもここまで細かく時間で動いてるんだなぁ、ロスがない動き方に感心。
 さて、その翌日、まだ車がありません。また、電車です。爽やかな天気だったし、予測していたせいか、気分は上々。景色を楽しめます。乗り換えるところで声をかけられました。

「あら、愛子先生!」
 懐かしい卒業生のお母さんです。その子は3歳のとき木板に糸の弦をつけたおもちゃのギターが好きで、コンサートをよくやっていました。自作自演の弾き語り。始めは人気で、置かれた観客席は満員でした。ところが気をよくして日々長くなっていき、人気がうすれていったものです。
 そのお母さんは、りんごの木を選んだ理由をこんなふうに話しました。
「小学校に行ったら、どこの幼稚園からきたなんてわかりません。私はこの子が楽しい日々を送ってほしいので、りんごの木をプレゼントしたつもりです」と。忘れられないありがたい言葉でした。
「ところで、けんちゃんはお元気? 今何をしているんですか?」と聞きましたら、
「いちおう、ちゃんと勤めています」
「え! スーパーでバイトしていましたよね。そこへ行くと、のぞくんですよ?」と話すと、
「何言ってるんですか、彼はもう30歳です!」
「あらら、そんなに大きくなったのですね」
  お互いに急ぎ足ながら、こんな会話をして分かれました。気分も軽くりんごの木に到着。
 さて、その帰りのことです。
 駅のホームに立っていると、後ろから「おや、愛子先生」(実はりんごの木でも、始めの頃は愛子先生と呼ばれていました。途中からあいこさんにしてもらったので、先生と声をかける子はかなり昔の子です)
 振り返ると、二人の子どもを連れた卒業生。ひとりはベビーカー、もうひとりは3歳です。いっしょに電車に乗り、上の子と席に座りました。よくしゃべります。今日、ママは髪を切りに行っているそうです。今からお迎えに行くそうです。
 席が空いて、パパと1歳の子も並んで座りました。彼女は私のカバンの中に興味津々。いちいち取り出して触ります。まずい物は入っていないから「まあ、いいか」
 ところが、スマホを手にしました。なんと「どうが とって」とか言って渡されました。「動画はできないの、写真を撮りましょう」と、撮りました。すると、私からスマホを取り上げて自分の顔をパチッ! 驚きです。3歳です。すでにこんなことになっているんです。
「私、○○に行くんだけど、どこで乗り換えるんだっけ?」とパパに聞くと、
「ここだよ!」ということで、無事に乗り換えて車屋さんに行き、車を引き取り帰宅しました。警告音の正体は、ドライブレコーダの接触不良とのことでした。昔だったらパンパンとたたくと治った、その程度の接触不良のようでした。
 突然のアクシデントにめぐまれた二日間でした。なにが便利で、なにが便利じゃないのかわかりゃしません!
 それにしても、もう何十年も振り返れる年齢だものだから、時代の流れは感じますね。いつも人間便利を求めて文明は進化しているようなものの、不便にほっとできたりもするんです。
 日曜日、すでに車での生活が復活しました!(10月24日 記)

 

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