ぬぬ

 土曜日の朝、出かける仕事がないときは、布団の中でラジオを聞きます。 
 以前にも書いたことがあったと思いますが、石丸謙二郎の「山カッフェ」。なんと、8時から10時と長いです。雨戸の閉まった真っ暗な中で、布団の中で耳から入ってくる山の話は格別です。
 毎回、まずはどこかの山小屋の人と繋がります。行ったことがあるところも多く、そこを思い浮かべながら聞きます。初めての場所の時は想像します。その小屋番がどうしてその仕事についたかも興味があります。
 後半の一時間はその日のテーマがあります。この日は、「山を描く」でした。石丸さんは景色を水墨画で描くようになったそうです。自然界を目にすると、頭のどこかに残したいと思うものでしょう。一般的には写真ですかね。ゲストはクライマーで画家の成瀬洋平さんでした。
 成瀬さんが岩登りをするときに、どんなふうに岩に張りつくのかを話していました。
「岩をよく知ることです。自分自身の生身で向き合っていく。自分の感覚を鋭敏にする。うまくいかないときは自分自身を鍛えてから戻っていきます。登ることができるというのは、岩に受け入れてもらうということです」と話していました。
 聞きながら子どもと同じだと思いました。子どもに興味を持つ、近づく。でも受け入れてもらえないとき、あれこれ考え、やり方を模索して、再度近づいてみる。こうしているうちに受け入れてもらえたら、その子が見えてくる。そして楽しくなり関係性がついていく。
 前回、どの世界の人も極め方はおなじだと書きましたが、また、実感しました。さあ、起きよう!と、10時起床です。次にこんなふうに聞けるのはいつになるかな?

 

 前回も前々回も保育の「とことん週間」について触れました。
 実は、また始まったんです。3日から8日まで。「もっとやりたい」「ほかのもやりたい」の気持ちを受け止めて、「とことんAgain!」
 まえより内容も少し広げ、いっしょにやりたい人のことも考えての選択。
「とことん ステージ」「とことん はたけ」「とことん そと」「とことん なわ」「とことん つくりもの」と分類されました。担当のおとなはほぼ同じです。
 4日、「とことん はたけ」に見に行きました。
 以前掘られた穴をさらに掘ったり、繋いだりしています。大きなシャベルでエッサカ、ホッサカ掘っています。
 アリみたい! です。黙々と自分たちの家を掘り進めていくアリ。そういえば、9人の中に女子はひとり。4歳児ですが、なんか女王アリのような貫禄です。おっしゃる通りにおつかいしている男子数名。
 穴というのは掘っていると、、何かしら出てきます。
 5㎝くらいの棒、
「骨みたいだねぇ」と言うと、
「きょうりゅうの?」
 白い石がでてきました。
「歯じゃないの?」というと、
「きょうりゅうの?」
「そうかもね」
「でも、ちいさいよ」
「うん、恐竜の赤ちゃんの歯かしら?」
 洗ってみます。ますます歯っぽいです。ポケットに入れていました。すでに遠い昔絶滅した恐竜は、こうして子どもたちの興味関心をずっと繋げているなんて、すごいですよね。ある意味、生き続けている恐竜。
 小さな幼虫も出てきました。気の毒なので、春を待つべく、土の中に戻しました。
 ふと目を上げると、単独行動をしている子がいます。チョロチョロと流れている水を追っています。流れが細くなっていると「このくさが みずをなくしている」とか、ブツブツいいながら。やがて、小さいシャベルで流れを先に進めます。「水の道だね」と、声をかけると「みちかぁ、みちだぁ」と励みます。
 近くの穴まで道をつけることにしたようです。最後の一歩の時に他の子が来ました。そうです、おもしろそうな予感がすれば、子どもがきます。
「いっしょにやっていい?」と声をかけ、了解を得て参加。ずっといい流れになりました。
「そうか、はばをひろげればいいんだ」と、助っ人に気がつかされて、水はゴールの穴に流れ込んでいきました。
ぬぬぬ そういえば「おだんごやさんやるから かいにきてね」と言われたけど、お団子屋さんはどこでしょう? なんと、大きな穴が繋がった上に板を乗せて家にしました。あなぐらの家です。子どもはその中に入り、板の隙間からお団子が寿司桶の中にはいって出てきます。「ひとつひゃくえんです」
 妙に現実的な値段です。葉っぱ一枚10円とのこと、まけてくれません。きっかり10枚を持って行かないと手に入りません。
 この日は朝9時半から、途中お弁当を食べて午後1時半までこんなあそびが展開されていました。
「穴を掘ることは、発達のなんの役に立つんですか?」なんて、つまんない質問しないで下さいね。たっぷり、楽しかったです。ほこりまみれの子どもたちの日焼けした顔は、満足していました。その様子を見せてもらって 私も幸せな気持ちでした。        (3月5日 記)

 

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