ぬぬ

 どこからともなく梅の花の香りが漂ってきます。いい香りで大好きです。
 けれど、先週の寒かったこと! 毎朝、布団の中で20分くらい起きるタイミングを考えてしまいます。さらに起きたら湿疹の薬を塗ったりと作業があって、かつては起きてから20分で出かけられたのに、今や1時間半くらいかかってしまいます。そういえば、お歳を召した方々は布団の上で体操してから起きるというのが定番ですよね、もっと時間がかかるようになるんですね。

 さて、その極寒のなか、りんごの木の4、5歳児は「とことん週間」でした。自分がやりたいことを5日間やり続けていくという保育です。もはや好きなことをやり続けて、上達していくというか極めていくというか、そんな力を持っています。
 今回は「こうさく」「カード作り」「ファッション・ショー」「化石探し・博物館作り」「グルグルぴょんぴょん」(おもりをつけた紐を回し、ひっかからないように跳ぶあそび)「なわとび」「崖のぼり・忍者修行」「こままわし」とありました。グループ人数がひとりのもあるし、最大14人もありました。担当するおとな総動員であたります。
 工作や衣装作りなどは部屋の中ですが、コロナのこともあり、ドアは窓や半分開けっ放し。寒いのに寒いともいわず、暖房もつけずに作業をしています。工作は自分が入れるほどの家だったり電車だったりですから、部屋中騒然としていました。ファッション・ショーは衣装を次々作りながら、化粧にも余念がありません。
 過酷なのは外の活動です。崖のぼりは日々崖を目指して流浪の民。服はほこりっぽく、拾いものもして帰ってきます。化石を探して博物館をするというグループは、リュックにトンカチを持って行きます。石を叩くと割れて化石が出てくるそうです。帰りのリュックはどーんと重そう。毎日寒い中を子どもたちは意気揚々と出かけます。しかし、ここでいちばん偉いのは、決して若くない保育者です。リュックにいろんな物を詰め込んで、子どもたちと行動を共にするのはかなりの体力がいります。
 なわとびとグルグルぴょんぴょんは常にジャンプです。でも、ここでもいちばん偉いのは保育者です。だって、縄を回し続けるのですから。雪あそびにキープ(八ヶ岳)に行かなかったあの子は縄跳びを選びました。跳べるようになると、お母さんに見てほしいと頼んだそうです。さらに、母と一緒に跳んだんですって! 母は50回で息切れ状態だったそうですが、楽しかったことでしょう。私が見に行ったときは630回跳んでました。そのあとも記録更新とのこと。表情が自信で輝いていました。
 こままわしは11人。まわせなかった子もまわせる子の指導を受けて、全員まわせるようになっただけではなく、皿で受けたり、手のひらにのせたりと技を次々身につけていました。
 それぞれに5日間励んでいましたが、驚いたことに、ほとんどの日欠席ゼロだったのです。世の中インフルエンザが流行っている園は多いというのに、すごいです。子どもたちの朝の起き方から違ったとお母さんから聞きました。
「とことんとことん、いくぞ」と意気込んでいつもは持って行くぬいぐるみも置いていった。
「とことんて、すごいですね、朝、さっさと出かけていきます」
「夜疲れているようで寝るのも早いけど、うなされてもいました。でも、朝は自分から出ていきました」などと耳にしました。
 自分で決めたやりたいことに向かうって、こんなに充実した時を過ごせるんですね。
 今の時期だからよかったのか、いつも子どもたちは好きなことにはとことんやれるように保障すべきなのか、今後の保育のやり方をどう考えていくのか、大きな問題提起をされた気もしました。
 最終日にファッション・ショーの人たちは親に見せたいといい、数人の親たちと一緒に私も招待されていきました。入り口でチケットをもらいます。席に案内されました。机を並べたステージでキラキラドレスを着た女の子が三人、音楽に合わせて踊ります。私のファッション・ショーのイメージとは違いました! ひらひら歩くのではなく、ダンスです。三回衣装を換えました。衣装換えの間は他の男子が繋ぎます。そう、ちゃんと衣装を着てマイクをもった司会者がいるのです。隙間にはなぞなぞや手品がありました。スムーズにショーが運びます。 おとなを感動させるような立派さはないけれど、子どもたちは緊張感を持って全力で頑張っています。それをお客さんは楽しんで見ています。とても楽しかったです。
 発表したい気持ちが他のチームにも移って、月曜日には見せ合うことになりました。
 寒さにめげて、楽しみにしていたのに参加しなかった私。気力、体力の衰えを感じていました。先日誕生日でした。「もう75歳なんだもの」になるのか、「まだ75歳なんだもの」になるのか・・・・自分でもわかりません。力んでも仕方ないから、自然に任せます。
 まあ、元気でいられればよしということで。  (2月19日 記)

 

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