始まりました新学期!
その日、まずは小学生の「げんきクラブ」をのぞくと、小学生8人がはち切れそうにあそんでいます。実はこのメンバーは学校に行ったり行かなかったり、行かないと決めたりしている連中です。自由と時間と仲間があればこんなに生き生きできる。あそびからいろんなことを考え、協力し合い、充実しています。週一回なのです、学校の毎日がこんなだったらいいのにね。
次は4、5歳児に移動しました。自分勝手なあそびに夢中。部屋の中ではステージをつくって歌ったり、踊ったり。道ばたでは雑草をむしり、雨樋を使って階段下に落とす。それを回収してバケツに。意味があるのかないのかわかりませんが、セッセと励んでいます。
外部から二人が入りました。まったく新しい子ですが、大半がりんご文化にいた子たちなので目を白黒しながらも馴染みが早いです。裸足で出入りしている子に憧れたようで、わざわざ私に「はだしでいくの!」と言ってきました。いちおう「靴履いていったら?」と声かけてみましたが、お茶目な顔で「いいの」と出て行きました。3歳クラスから上がってきた4歳児の子どもたちは、大きくなったという誇り、1番組になった5歳児は一番大きいという誇りと多少の不安とぎこちなさが見え隠れしていました。
次は2,3歳児を見に行くと、なんと、きょうだいがりんごの木を卒業した弟妹ががぜん多い。うり二つと思える顔がならんでいます。そう、ついこの前生まれたあかちゃんだったのに、よく動きしゃべりという姿に人間の育ちの素晴らしさに感動してしまうほどです。つい口をついて出る言葉は「○○ちゃん、あ! そうじゃなくて○○ちゃんのおとうと」となります。てんてんばらばらに砂場や水やであそびます。
その翌日、2歳児のクラスが始まりました。ここは新鮮です。心細い顔しています。今までにない子どもの多さ、知らないおとなに対しての警戒で、身体も心も固まります。
このクラスには両親共にドイツ人の子がいます。今まで親子のクラスにいたのですが、この4月から子どもだけのクラス。お父さんが送ってきました。お父さんも子も離れがたく、目に涙が・・・。親が帰ってしまってからも入り口に立ち、帰っていった方を見て泣きます。たぶん「あっちにいきたい」と言っているのでしょう。こういう離れがたい親子の姿を久しぶりに見た気がします。以前は親も離れがたく、「一緒にいていいですよ」と声をかけ、数日つきそっていた人が当たり前のようにいました。「高齢出産でやっと生んだんです。だから、簡単には置いていけないんです!」と言った親が懐かしく思い出されます。
いつの頃からか泣く子が減り、今は数えるほどに。すでにどこかに預けられた経験を持っている子が多くなった気がします。親もそこまで一心同体ではないのかも知れません。
ちょっと子どもと離れてホッとしたいという気持ちもあって当然ですね。
ドイツ人の子はときどきあそびますが、ときどき思い出します。そして、木戸の入り口のところに立ちます。とうとう、お父さんがやってきたときには、お父さんに抱かれてピッタリくっつきます。お父さんも心配で心配で、やっと会えて感動しているようでした。素朴でまっすぐな父と子の姿は微笑ましかったです。
親と離れてホッとする子は滅多にいません。保育者はどこまで子どもの心をつかむか、頼りにしてもらえる存在になるのか、今の時期の頑張りどころでしょうか。スタートのときの緊張感はいい感じです。
(4月13日 記)
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