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 桜が散って葉が茂ってきたと思ったら、どんどん春を越え初夏に向かっているかのようです。りんごの木の周辺の歩道沿いに植えられたツツジはもはや満開。衣類の入れ替えもしていなくて、あわてて追い立てられているような気候です。でも、北海道では雪が降ったりしたようで、なんだかお天気さんの気持ちが読めないですね。
 先週もしゃべりっぱなしでした。24日のラジオ深夜便(月一回の子育て深夜便)では、カメラマンで4人の男の子の父である方とご一緒でした。ほんとに珍しいほどの自然体な人で、素直な関係を子どもと作っているので話が弾み、あっという間の2時間でした。生放送ですから帰宅は夜中の2時すぎ。
 翌日は広島へ移動し、保育者の方々に話し。
 29日の祝日にEテレ「すくすく子育て」の収録がありました。このときご一緒した方はお笑い芸人の方。私は芸能人に疎いので、全く知らない人でしたけど。この方がお笑い? と思うほど、普通のまじめな感じ。ただ、話し始めたら、言うことがヘン? 私もかなり常識外れのようですが、その方々も自分のままの発言なさるのでたのしかったです。
 一般的には保育・教育業界の方と話すことが多いのですが、こんなふうに全く違う世界にいる方と話すのは、おもしろいです。というか、世界が広くなります。保育の中だけで正しさを求めていると、ついつい視野が狭くなりますものね。ちょっと息苦しい方は、視野を外に向けると深呼吸ができることもあるのではないかしら?
 さて、やっとりんごの木の戻ってきた30日。でも、この日は4,5歳児の親たちとのお話会。まだまだ子どもに届きません。日々、おとなに話すことの癖で、親たちを前にしても口が回ってしまいます。独演会のように。そして、次には担任からの子どもの様子の話がありました。
 そこに「あの〜初回で誰が誰かわからないので、いちおう名前だけでも自己紹介しませんか?」とひとりの母からの指摘! おおよそ25人くらいいます。「名前だけ聞いても覚えられないからいいんじゃない?」と、思っていた私。だいたい初回は自己紹介があるので緊張してくると言う話を以前聞いたことがあり、それを避けている気持ちもありました。
 しかし、みんなももっともな顔をしています。残り時間わずかなので、つぎつぎと流れるような自己紹介。でも、次に「上の子はりんごではない方は、どんな思いでいらしたのかしら?」と質問がきました。なるほどで、数人の方が話してくれました。
 独断と偏見で勝手に進んで行ってしまう私には、ストップをかけてくれる人は大事です。
進行も空気も変わります。ありがとう! でした。
 さて、長時間のお話会も終わって、残っている人と話していたら、外をウロウロしている男性がいます。親ではないし、宅急便屋さんでもなさそうです。
「なにか?」と声をかけると「この辺に公衆トイレはないですか?」「ないのよ、トイレに行きたいのね、どうぞ、お使いください」と入っていただき、スッキリした顔で「ありがとうございました」と出て行きました。そういえば、公園はあるけどトイレはない。駅までは遠い。ときどき、小学生などが来ますが、おとなだってねぇ。

 だいぶ前ですがネパールに行ったとき、カトマンズからポカラまでの8時間のバス、途中一般の民家でトイレをお借りしました。家の中ではお母さんがミシンを掛けていて、子どもが側でかじりつくように見ていました。たぶん、子どもの服を作っているのでしょう。垣間見た普通の家が思い出深く印象に残っています。

 こんなふうに家の中に他人が入ることがなくなった時代ですが、あやしいヤツばかりではなく、こんなことからホッとできる関係が生まれるのも事実。悩ましいですね。
 子どもから遠くなっている私です。どこかでチャージしないと、パワー不足になりそうです。

                                       (5月2日 記)

                                  

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