秋です。いい季節になりました。
でも、頭の痛い季節でもあります。
幼稚園の入園手続き時期だということです。幼稚園選びの相談が頻繁になります。
「保育園と幼稚園と、どちらがいいでしょう」
「どの幼稚園がいいでしょう」
「3年保育と2年保育の違いは」
など、悩める親からの相談が相次ぎます。
ここ横浜市都筑区は子どもが多いこともあって、願書をもらうのにも一苦労、さらに願書を出すのに何日も前から並ぶという情報もあります。そりゃあ、わが子にとって大事なことの判断をしなければならないのですから悩むでしょう。
ところが、悩める親からの相談に、決定的なことが言えないから、私も悩むのです。
「早く保育園に、専門家にあずけたほうが、子どもがまともに育つのではないだろうか」
「働きたいのだけれど、保育園に入れてまで自分の都合を優先するのは、子どもにかわいそうだろうか」
「3年保育に入れほうが、社会性が身につくでしょうか」
「3歳までは親の手元でと、祖父母に言われるけれど・・・」
保育園だっていいし、幼稚園だっていいように思うのです。
3年だって2年だって、小学生になったら決定的な差なんてないでしょう。
こんなに長く保育に関わっていても、断言できないのです。いい加減すぎるでしょうか?
先日「子どもは比較的おとなしい子です。子育てに悩んでいるわけでもありません。でも、私は3年保育に入れたいと思うのですが、主人はまだ早い、もう一年は手元に置いておいたほうがいいと言います。どう、思われますか?」という質問を受けました。
「あなたは、どうして3年に入れたいの? もう1年、子どもとつき合うのはどお?」と聞き返しますと、
「もう、いやなんです。子どもとだけ過ごす毎日が」との返事でした。
「じゃあ、『子どものためではなく、私のために入れたいの。保育料を私のために使ってください』とお願いしてみたら」と言いました。
子どもにとってどうかということも大事でしょうが、家族がなんとなくあったかいことが、子どもの育ちには何よりだと思います。お互いが、ちょっとの無理をしながら、いい感じの家族になれればいい。
お母さんが働くことで、時間的には忙しいけれど、気持ちに張りが出れば、保育園に入ることも有効でしょう。
3年保育に入れてお母さんが自分の時間を持つことで、気持ちに余裕ができるならそれもいいでしょう。
3年保育に入れることで、寂しく、折角楽しんでいる子育てを取り上げられるような気がするなら入れなくてもいいでしょう。
子どもにとってなにが幸せかといえば、いい幼稚園に入ることでも、かわいそうな思いをさせないことでもなく、笑顔のある家、お互いが立派にならなくてもいい家、愚痴も八つ当たりもしながら、元気に外に出て行ける家があることなのではないでしょうか。
私がよく言うセリフです、
「保育園や幼稚園は魔法を使えません。どんなにいい園を選んだからといって、お宅の子がお宅の子のようでない立派な子になることはありません。お宅の子はお宅の子らしく大きくなればいいのです」
そんな大前提のもとに、親が大事に思っている条件をもっている園、または「ここがいい」と何となく思える園になさったらいかがでしょう。
(10月2日記)
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