柴田 愛子    

パッチワーク=福島裕美子 
  

 10月は講演にうかがうことが頻繁にあります。
『保育サポーター』『保育ボランティア』の研修会は、子育て中の方をサポートするために、子どもを一時的に預かる仕事をなさろうとしている方々です。若い方もいますが、主にご自分の子育てが終わりつつある方や、お孫さんがいらっしゃる方もいます。
『子育て広場』『福祉団体』や『地域振興課』の主催で、乳幼児をもった現役のお母さんたちの講座もあります。
 小学校で保護者たちにもお話しさせて頂きます。
 保育園や幼稚園の先生、学校の先生にお話しに行くときもあります。ありがたいことに、子どもに関わるいろんなおとなたちと、出会わせてもらっています。

 先週、乳幼児の子どもを抱えている親たちとの話で何より印象的だったのが、子どもを連れて歩いているときに年配の方が「かわいいわね」とか「げんきそうね」とか、好意的な声をかけてくれると「今日はラッキー」って、一日が明るく過ごせる。反対に「いつまでも泣かせていて」とか「うるさいわねー」という目で見られると、一日暗い気持ちになるということでした。そして、相づちを打つかたが多かったことです。
 育児で気になることは、日常的なしつけと、子ども同士、親同士の関係が話題になりました。
 小学校にも行ったのですが、「いつも周りが気になって、これって変? 私、子どもに変なことさせてる? これ普通?」って、日々自分が子どもにさせていることがどうなのか不安になるという親の発言に、相づちを打つ方が多くいました。みんながやっていることをやらせないのは、よほどの自信と勇気がいるというのです。例えば「塾に行かせない勇気」「ゲームを買わない勇気」です。

 こんな話を聞いていると、親自身が周りの人をとても気にして過ごしていることに驚きます。
 親自身が、みんな仲よく、みんなと一緒。みんなと一緒だと安心、異質なものを認めないという教育を受けてきたということでしょうか? 
 そして、人様に迷惑をかけない心がけが大事…。
 みなさん、まじめに正直にそれを守ろうとしているよう気がします。そして、その結果、自分の感性や考えが血や肉になっていないというか、自分はどうしたいのか…、簡単に言うと自分に気づいていないように思うのです、何よりも、ほんとは自分が大切なのに。
 自分を守るためには、集団にはご迷惑だったり、孤独だったり、勇気がいったり、したたかさも必要だったりするでしょうが、それを引き受けてわが人生と思いません?  

 私は小学校低学年のときは「みんなとおなじがいい」と思いましたが、その時ぐらいで、あとは普通か普通じゃないかという発想はしたことがないように思います。自己中心で自分の意見が正しいという傾向は、今も色濃く残っている私。
 人と違うことで泣くことはありませんが、怒られたり、怒鳴られたり、嫌われたりして泣くことはあります。でも、自分に正直でありたい、一生かけて自分らしさを作っていきたいと思っています。
 だからといって、自分に自信を持っているわけではありません。未熟でも自分は自分なんです。自分は好きでいたいんです。
「みんな! 頑張れ! もっと自由になれ!」と、応援したいです。
 そうすることが、ひとりひとり違う子どもを認めることにもなる。多様な価値観があったほうが、子どもも生きやすくなるのではないでしょうか。
 現役のお母さんたちが抱えている状況や、不安や心配を、保育サポーターや地域の人に微力ながら伝えていきます。白い目で見ないで! 優しい声をかけて! 子育ての力の抜き方教えて! と…。

 人は人の中で育っていきます。自分らしさを持った人が孤立しないで、支え合える輪ができたら、どんなに暮らしやすいでしょう。そうしていきましょうよ! そういう仲間になっていきましょうよ!

(10月16日 記) 

 

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