柴田愛子

 お正月から、かるたとりが流行っています。
 なかでも人気は「お化けかるた」という、いろんなお化けが出てくる川端誠さん作のものです。
 4、5人の子が円くなってやっていました。ダントツに、さーちゃんの手に札が集まっています。どうやら、圧勝といった感じ。
 見ていた私は、
「さーちゃんと勝負しよう!」と、強気に申し出ました。
「え?!」と、さーちゃんは眉をひそめて私を見上げ、
「いや」と言います。
 私の言い方に迫力があったので、ちょっとタジッとなったようです。でも、気を取り直し、やる気になってくれました。
 周りの子の興味津々の感じが、さーちゃんの負けん気に油を注いだという感じでした。

 昔から、年長児にはリーダーシップをとる子が出現します。体力知力が人一倍で、負けず嫌いの子がなりやすいかな? 
 リーダーシップをとる子は、みんなを惹きつける魅力があります。
 でも、まだリーダーとしては磨かれていませんから、ついつい図に乗ってしまって威張ったり、他の子に命令してしまったり、自分の言い分を強引に押し通したりしてしまいがちです。そして、いやがられたり、仲間に去られたりという、しんどい体験をしながら鍛えられていきます。
 とりあえず太刀打ちできる保育者が、ぶつかる壁役をやるときもあります。
 このかるた、私にはそんなもくろみがありました。

 おとなだから勝てるという自信がありました。
 ところがです。私がキョロキョロ探す間もなく、読み札が読み終わらないうちに、さーちゃんは取ってしまいます。
 結果、彼女は私の三倍もとり、私の惨敗でした。
 そうです、「お化けかるた」は、子どもたちはさんざんやっていたから、負けたのです。
 自分に納得できない私は、翌日、子どもたちも慣れていないかるたで挑みました。
 今度は「江戸いろはかるた」飯野和好さんの絵がついています。
 5人の子どもたちと一緒に、円陣を組みました。もう、集中して必死です。
 ところが、子どもは読み札の頭文字を聞くと「はい」と、もう取ってしまうのです。 どうやら、絵札を並べて眺めているときに、どこにどの札があるか覚えてしまうみたいです。
 そういえば、トランプの神経衰弱も得意ですから、記憶力抜群なんですよね。
 結果、みくちゃん15枚、さーちゃん14枚、私は三位で13枚でした。

 縄跳びも流行っています。
「ちょっと行くところがあるから、縄跳びしながら行かない?」と、朝早めに来たまひちゃんを誘いました。いわゆる走り縄跳びです。
 これまた、早い! 
 どうやればそんなに早く跳んでいけるのか、あれこれやってみましたが、追いつきません。まひちゃんは楽しそうです。
「こんどは、あそこまでいかない?」などと、疲れを知りません。そのうちたくさんの子が入ってきました。私は、もう、へとへとでやめました。
 つくづく、子どもってすごい! もう、5、6歳にしてこんなに成長してしまうのだと感心しました。
 と同時に、こんなに私は歳をとってしまったと、つくづく感じました。年長児と一緒にあそべたのは、いったい何歳までだったろうと振り返ってしまいました。

 でもね。年の功ってのがありましたよ。
 大縄跳びも流行っているのです。
 私はおもち役で回すのですが、子どもの頃を思い出し、
「げっくり かっくり すいようび もっくり きんとき どっこいしょ にちようび・・・」と、歌に合わせて一人ひとりはいっていくのを教えてみました。
「にちようび」まで歌うと、7人が一緒に跳ぶということです。私が小学生の時やったものです。
 これが、できるんです。全員女の子ですけどね。
 ところで、この歌で縄跳びした方がいらしたら、教えてください。どうも、最後の方がうろ覚えなので、後半が創作になってしまいました。
 そういえば、今は数を競い合うことが多いですよね。何回跳べたという評価と自慢。
 特に小学生になると、なんでもかんでも、数字での評価がついて回るような気がするんです。
 そうじゃなくて、こんなふうに、みんなでうたいながら楽しめるあそびはいいなあと思いました。

 保育者も年齢によって役割が変わっていくものですね。
 もうすぐ、ひなったぼっこしながら、子どもとおしゃべりするようになるんでしょう。
 お腹が痛いという子を膝に乗せて、手を当ててあげたりね。それはそれで、幸せそう!(2月5日 記)


 ●バックナンバーもくじへ