柴田愛子

●フラワーアレンジ  
   アトリエ レ・ポンム


 一回お休みしたので、先々週のことですが、富山県の高岡市にある「やえもん文庫」、そして京都府長岡京市の文庫連絡会と“旅講演”してきました。(保育士会や子育て支援の講演会もありましたが)
 文庫というのは、自宅や集会所などを利用して、子どもたちや親子連れの人が本を読んだりくつろいだりできるところです。家庭的な図書館という感じかしら。りんごの木も、初期の頃は3000冊の本を用意し、近所の子どもたちが集まってきていました。
 今回お邪魔したどちらも、読み聞かせや語りなどに情熱を傾け、元気者のおばさまが頑張っていらっしゃいます。
 今は、幼児は文庫離れ、小学生以上は忙しくて来られる子が少ないそうです。結局、乳幼児を持った親子が大半だということでした。地域に、自宅以外に子どもが身を寄せることができる所、幼いときから出入りしている居場所として、近所にある文庫はこれからの子どもたちに必要な働きをするだろうと思うのですが・・・・。
 元気者のおばさまたちは、小学校や幼稚園、保育園に本を読みに行ったり、お話を聞かせに行ったりしているそうです。みなさん、キラキラしていました。

 さて、りんごの木の4歳児のミーティングの時間のことです。
 いつものように椅子を円くして話をしていましたら、いきなりたつきくんが泣き始めました。
 隣にいるすみろうくんがむっとした顔で、たつきくんをにらんでいます。どうやら、ふたりになにかあったのでしょう。
 でも、いままで話をしていたのですから、たいした原因はなさそうに感じました。どちらかが押したとか押されたとか、そんな程度でしょう。
「どうした?」の問いに、ふたりとも返事がありませんでしたし。
 かといって、ふたりは平常にはならず、険悪ムード。みんなは注目。
「けんかするなら、ちゃんとしなさい」と、ふたりをみんなの円陣のなかに引っ張りました。さあ、始まりました! 本物のけんかです。
 顔をつかみそうになると、周囲が「かおなし!」と叫びます。「かみのけなし!」とも叫びます。迫力十分です。
 回りの子どもたちから「たつき、がんばれ!」「すみ、がんばれ!」と応援の声が上がり始めました。
 とうとう、すみろうくんが身体を丸くして泣き、けんかは終わりになりました。
 悪いけど、おもしろかったです。興奮しました。

 それで、子どもたちに聞きました。
「今のけんか、すごかったね。あーいうの見てると、すごいすごいってワクワクしちゃう? それとも、ドキドキしてイヤな気持になる?」「ワクワクしちゃう人!」
 勢いよく手が上がりました。遠慮がちに手をあける子もいましたが、ほとんど全員です。
 ふたりの女の子、けいこちゃんとまっちゃんだけが「ドキドキしちゃう」と言いました。

「じゃあ、今みたいなけんかごっこしたい人!」と言うと、ひろたかくんの手が勢いよく上がりました。かいとくんも上がりました。
「じゃあ、ふたりおいで」とまん中に登場。
「どうなったら、終わり?」と聞くと、
「どっちかが、ないたら」と過激な意見。
 どちらかが泣くか、どちらかが「終わりにしたい」と言ったらお終いというルールにしました。
 ふたりのけんかを皮切りに、次々と手が挙がりました。
 登場した子より勝ちそうな気がしたり、仲良しだったりすると「ぼく!」と、相手を見てから手を挙げる子もいます。
 穏やかなりょうちゃんとあゆむくんは、まるでダンスを踊っているようでした。
 次々やって、次々泣きました。
 でも、泣いて負けたことを引きずる子も、勝ったことを自慢する子もいずに、まるでスポーツのようにさわやかでした。
 女の子は一人も手を挙げませんでしたけれどね。

 以前、小学生が来ていたときに「けんかはいけない」「けんかはくちでするもの」と言います。「じゃあ、口だけでやってみよう」と、1年生の女の子と私で、消しゴムを私が取ったという設定でしたことがあります。
 その子も私も口は達者。勝負がなかなかつきません。
 とうとう「もう! イライラする!」と相手が言いました。
「ほら、叩きたくなっちゃうでしょう」と、私が意地悪く言います。
「でも、たたかない!」
 その子もたいしたもので、握り拳を作ってこらえます。
 なんか、終わりがなく、お終いにしても、あとをひきずってしまいそうでした。

 つかみ合いと口げんか、どちらのけんかのやり方がいいかはわかりませんね。でも、子どもが集まればトラブルが起こるのは必然。重い、するだけの訳のあるけんかでなければ、スポーツ代わりくらいで見守っていればいいと思います。(6月18日 記)

講演会へのお誘い
 横浜市青葉区のあざみ野にオープンした「アートフォーラムあざみ野」をご存じですか。あざみ野駅から歩いて5分のところ、大きく立派な施設です。ここで7月7日(金)ママたちによる手作りイベント「子育てフェスタinあざみ野」が開かれます。午前・午後にわたって、踊ろう・歌おう・体験してみよう・・・いろいろなイベントがぎっしり。
 そのプログラムのひとつとして、【肩の力を抜いて もっと楽しい子育て】をテーマにお話しします。いつもこのHPを読んで頂いている方、まだお目にかかっていない方、いちどいらっしゃいませんか。100人定員のアットホームな雰囲気で、1時間半、いつものようなおしゃべりをします。申し込み方法など詳しい内容は
 http://plaza.rakuten.co.jp/teamwith をごらんください。

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