あー、たいへんな日々が無事、終わりました。
先週土曜日、京都での研修会に呼ばれて講演に行きました。終わって会場を出たら、携帯電話にメールが入っています。「急ぎの用がある」とりんごの木のスタッフからです。
京都駅から電話すると、25日のセミナーの講師に予定している汐見稔幸さんが入院なさったとのこと。
時計を見ると午後6時半、46分発の新幹線の切符を買い、駅弁とお茶も買い、ホームから汐見さんの携帯に電話。家族の方がお出になると思ったら、なんと、ご本人が!
「どうなさったんですか?」
「高熱が続いて、入院したんだ・・・」
「だいじょうぶですか?」
「うん。これからしらべるんだけど、講演、柴田さん代わってくれる?」
「はい、何とかします。安心してください。今の日本、汐見さんが大事ですから、とにかく、しっかり治してください」と、やって来た新幹線に乗りながら電話を切る。
一度座席に着く。
すぐに立ち上がってデッキに行き、りんごの木のスタッフに電話。
「講演は私がやります。演題は『保護者との関係』(これしか思い浮かばなかったのは、たった今、京都での講演の演題だったからです。その講座も参加した方には、同じ内容で申し訳ありませんでした)汐見さんの講座だけを申し込んでいる方に、まず電話して。次に複数参加の方。とにかく、至急連絡してください。キャンセルの方の参加費に関しては、追って連絡することにしましょう」と伝えて席に着き、駅弁を食べ始めました。味はわかりませんでした。
一気に緊張が走るとき、結構、凛とします。久しぶりの凛です。汐見さんには失礼ですが、この緊張感に快さを感じたりもします。
りんごの木の企画セミナーですから、例年、私は司会進行と講師接待係です。講演はしたことがありません。
どうも身内の前でやるのは苦手です。ほら、親や兄弟の前では偉そうなこと言えないでしょう? ああいう感じです。
しかし、今回は避けられません。だって、昨日今日でどなたかに講演依頼することはできませんもの。
人間、生ものですから、いつなにがあるかわかりませんね。先日、汐見さんは、
「今まで丈夫で、生まれてからこの方、入院したことがない」と、お話ししていました。私も同様なのですが、3年前、喉のポリープ手術で初入院を体験しました。
私、汐見さんと同じ歳です。人ごとではありません。私も、いつか、ご迷惑をかけたり助けてもらったりということがあることでしょう。
ところで、人間も生ものですが、天気も生ものです。
以前、仕事で四国の松山に飛行機で行ったとき、天気が悪くて着陸できず、高松空港に変更着陸しました。
その際、航空会社の人が平身低頭「お急ぎの所、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」と謝りました。そして、バスに誘導され無事に松山に着いたのですが、どうも、なぜ、謝ってくれるのか釈然としませんでした。そのことが思い出されていました。
今回のことも、ご本人も予測しない辛い出来事です。そのことで、りんごの木のセミナーの内容が変わることはやむを得ないことです。
この場合は、私たち謝るのかしら?
いえいえ、これは謝るようなことではなく、了解してもらうしかなく、早くよくなられるようにと熱い思いを送って頂くしかないことでしょうと思いました。
だいたい、どうも、この頃、簡単に「申し訳ありません」とか「ごめんなさい」っていう人が多い気がします。その方が、事がうまくおさまるのでしょうか? いい感じなのでしょうか? 私が変?
スタッフが参加予定者一人一人に電話を入れると、
「あら、先生、大丈夫でしょうか。心配ですね」と、おっしゃる方が大半。
「あら、あら、りんごの木も大変ですね」と声をかけてくださる方もいて、電話をしながら泣きそうだったとスタッフが言っていました。
その一方、怒るように、
「じゃあ、いつやってくれるんですか?」という方も数人いたようです。
きっと、すごく聞きたかったのでしょうね。いきなり楽しみを奪われて、不機嫌になってしまったのかもしれません。
でも、相手は生ものなんですから。不意の出来事が起こったとき、冷静に判断ができて、声をかけられるよう、私も心したいと思いました。
今朝(26日)汐見さんと電話でお話ができました。どうやら、熱は下がられたようです。よかった! あの熱は、りんごの木に台風送った熱だったのでしょうか?
「みなさん、ご迷惑をおかけしました」と、言付かりました。
(7月26日 記)
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