柴田愛子 


 8月6日、日曜日、高津市民館(川崎市)で「ケロポンズ・コンサート」と、立花愛子さんの「造形かがくあそび」をしました。
 前月の夏季セミナーと違って、子どもといっしょに楽しむ企画です。(詳しくは「Topics & News」をご覧ください。 )
 こういう企画ってちょっと大変。というのは、おとなだけだと事がスムーズですが、子どもが多すぎると収拾がつかない。今回は、おとなが半分よりちょっと多いって感じかな、人数のバランスがちょうどいい具合でしたからよかったです。
 バランスがいいと、おとなだけよりずっといい。なにがって、反応がストレートに返ってきますから、会場の雰囲気が盛り上がります。
 コンサートでは「(舞台の上で)やりたいひと!」と言えば、すぐに「はい!」「はい!」とくる。
 造形あそびも、立花さんが説明しようが先に進もうが、気に入ったことをいつまでもやっている。子どもはやはり感度がいいなと思いました。

 ところで、ちょっとエピソード。
 コンサートの始まる前に「携帯電話のスイッチは・・・」などのご注意のアナウンスがよくありますね。あれを「やってくれる?」というので「いいわよ」と、二つ返事で引き受けました。 
 ケロポンズのマネージャのあとこちゃんが、
「あいこさん、こういうの上がらないの?」と聞くので、
「あー、だいじょうぶ。舞台の上でも、どこでも、あまり変わらない」と言いました。
「へー、いいわね」
 どうも彼女は苦手のようです。

 さて、さて、コンサートが始まり、途中で「しりとりあそびうた」というのがありました。
 ご存じ「しりとり」の前後に、歌に合わせて振りを付けて踊ります。そして、しりとりで言ったもののジェスチャーをするのです。
「子どもで、やりたいひと!」というと、先ほども紹介したように「はいはい」と出て行きました。
 ところが次に「こんどは、おとな」となり、何人かが指名され、「あいこさーん!」と呼ばれているじゃありませんか。
 こういうのすごく苦手なんです。しゃべるのはいいのに、どうして、こういうことになると、からっきしだめなんでしょうね。
 その前にイヤな予感がして、会場から出て行こうと思ったんですが、タイミングを逃しました。
 名前を言われて出ないのも美しくない。
 仕方なく舞台に上がりましたが、ちょっとした動作もぎこちなく、しりとりで何がくるかとうろたえて、楽しむどころじゃありません。
 私の前の前の人の語尾が「り」でした。前は立花さんです。
「『り』」と言えば『りんご』でしょう。今日はりんごの木の主催なんだから、他は考えられない。だとすると、私は『ご』だから、ゴリラだな・・・いや、その振りをしなければいけないから、こりゃ、ちょっと困った。ゴマは小さくて振りにはできないし・・」等と考えていたらです。
 なんと、立花さんたら「リボン」と言ったのです。
 でも、これは「ん」がつくから「ブブー」と言われて、さあ、りんごにするぞと思ったら「リス!」
 もう、ショックで、私の頭は思考力ゼロ。
 子どもたちがワイワイ言ってくれます。ケロポンズの増田裕子さんが小声で「スズメ」とか言ってくれます。
 でもこうなると、言ってくれたものは耳に入っても受け付けないんです。やっと、
「スルメイカ!」
 もう、汗だくです。こりごりです。こんなとき、気の利いた笑いのとれることをどうしてできないんでしょう。絶対、芸能人にはなれません。
 今思いつきました。「スイカ」があったじゃありませんか。季節物がぁー。

 もうひとつ。
 立花さんの講座が終わったときに、会場から質問を受けました。
 一人の方が、
「どうして、こんなおもしろいことを考えつくんですか?」と聞きました。
 この日、立花さんのワークショップはビニールの傘袋を飛ばすとか、袋でボールを作ったりそれをヨーヨーにしたりと、身近な物を使って、空気であそんだのです。ほんとにいい質問です。
 立花さんはこう答えました。
「私、先生の言うとおりにできない人だったんです。こうやったらどうかしらとか、違うことに興味持っちゃって、あれこれ夢中になっちゃうの」
 そのはみ出した性格が、物事を探求し極めることになるんですね。なーるほど。
 そう考えると私の学生時代は、まじめだけだったなあと思いましたね。成績がよいわけではないのに、はみだしきれずに、興味も持てないから、先生の言うとおりにシコシコやっていて、学校で学んだものは何一つないような気がします。
 なんだか、情けない自分を見た日でしたね。
 あーあ、私にあるのは、いくらでもしゃべり続けられることだけです。これって、ただのおばさん・・・?

 自分のことはさておいて、ケロポンズも立花さんもよかったです。おもしろかったです。楽しかったです。それぞれの人柄が出ていました。
 主催者及び観客としては満足な一日でした。(8月7日 記)

 
またまた、京都の淳子さんへ
 メールありがとう。ところが、またまたリターンしてきてしまいます。相性が悪いのでしょうか。今度はFAXにでもして下さい。すみません。あいこ
 

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