三日間お休みをいただいて、北アルプス燕岳(2,762m)に行って来ました。ここは北アルプス入門コースといわれる山です。毎年一度、気力体力共に失せている私が何とか登れそうな山に行っています。そして、今年はここならなんとかと選んだのが燕岳というわけです。
山頂からはひときわ凛々しく槍ヶ岳が見えます。燕から槍に縦走する通称「表銀座コース」、反対側の烏帽子岳から槍に向かう「裏銀座コース」が、すべて一望できるいい天気でした。
私は30歳くらいから、山歩きをするようになりました。三十代は山の魅力に惹かれ、身体も軽く、ここから見えるほとんどの山に登頂しています。
今、当時と同じように景色は感動できても、体力の衰えはいかんせんがっかりです。
ところが、なんと88歳のお祝いに、85歳のおつれあいと登ってきたという方がいるときいて驚きました。
私の今回の山行も「これで最後」と思うか「なんとか続けられるように、日頃体力を鍛えなければ」と思うかが分かれ道なのでしょうね。どっちになるかは、自分でもちょっとわかりませんね。
さて、燕岳は入門コースで、登山道がしっかりしていることもあって、親子連れが目立ちました。なんと、一年生くらいとしか思えない小さい子もいましたし、抱きかかえて登っているお父さんも見かけました。おとながエッコラショと登る一段は、子どもには、まさにロッククライミング並み。なんといっても3,000メートル級の山ですから、急登を標準4時間15分の登りです。(ちなみに、高山は3歳以下は脳に影響があるので、やめたほうがいいと言われています。)
小学校高学年や中学生くらいだと、サルのように身軽に登り、親を迎えに降りてきたり、あっちか、こっちかと、倍の距離歩いているようでした。頂上でもとんと疲れも見せずにあそんでいます。まさに、中山千夏さんの言う、「身体を意識しないとき」なのでしょう。
ところで、親の趣味に子どもがつき合うって、どんなもんでしょうかねぇと思いました。
小学校低学年の子にしてみれば、親に「お山に行く?」なんて聞かれて「いく!」なんて言ってしまったら、こんなことになっちゃって。後悔しているんじゃないかなぁと思いました。ただ、行き交うどの子も泣いてはいませんでしたが。
まあ、親も歩けなくなったら背負う覚悟はしてきているんでしょうが、そこまでしたいものでしょうかね。
私の父は自分が子どもの頃からテニスが趣味でした。ですから、5人のわが子たちには「テニスと英語だけはやれ」(英語は役立つということでお勧めだったのですが)と、耳にたこができるほど言われてきました。
へそ曲がりだった私は、小さいときから「テニスと英語だけはやらない」と肝に銘じていました。他の兄姉は素直というか、学生の時からテニスをやり、現在も楽しんでいます。
昔、テニス雑誌が「テニス家族」と取材に来たとき、私だけ記事からも写真からも除外されていましたね。
ちなみに、家族のだれも山登りはしません。
「あんな荷物もって、苦しんで登って何がいいのやら」と言われていました。
冬山に行くときは、
「重い荷物背負って命がけで行くこともないだろうに」と、心配をイヤミでくるまれて見送られていました。
私に言わせれば、テニスなんて、あんな狭い四角いところで球を追いかけて、勝ったの負けたのって何がおもしろいのやらです。
父は「テニスをやる人に、悪い人はいない」なんて、なんの根拠もないことを言っていましたが、不思議なことに私は「山登りをする人に悪い人はいない」と思っているんです。現に財布を山で落としたときだって、ちゃんと宅急便で送ってくれましたしね。
親子で同じ趣味を持っているのは、親が強引で、子どもが素直。さらに、子どももそれが好きだったということでしょうね。
家族の趣味がいっしょだと、家族が仲よし円満家族かというと、それはわかりませんね。
そうそう、私の家族でもうひとりテニスをやらなかった人がいました。それは、母です。
(写真は、後ろ中央が槍ヶ岳です。8月14日 記)
●次回は卒業生キャンプのためお休みをただきます。あいこ
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