柴田愛子 


 夏休みも、終わります。というか、夏のイベントも、無事、楽しく終えられましたという気分です。

 最後のイベントは、毎年恒例・りんごの木子どもクラブOBの「ペガススキャンプ」でした。
 このキャンプ、始めは同窓会代わりにと思いついたものですが、すっかり定着し、大勢の子が参加してくれます。毎年の卒業生が30人程度という小規模のりんごの木だからこそできることでしょうけれど、もう、15年くらい続いています。
 小学生は2泊3日が2グループ、中学生以上は両方を通した一週間参加できることになっています。
 今年は小学1年生から20歳までの、総勢109人の子どもたちでした。
 スタッフは薪でのご飯づくりや風呂沸かしと大わらわですが、懐かしい子どもと話したり、あそんだりしながら、実家のように迎えています。

 今回、感じたことをいくつかお話ししますね。
 ペガススの家でのあそびのメインは、川あそびと火あそびです。
 今は17歳になっているあーくんが小学生のとき、ペットボトルで仕掛けをつくって魚(ハヤ)を捕りました。そして、捕れた魚のはらわたを出し、小麦粉をまぶして、唐揚げを作ってくれたのです。そのおいしかったことは、いまでも忘れられませんね。
 最近は、あーくんは、もう、魚にはあまり興味を持っていませんが、今年は6年生のしょうくんが魚を捕り、何度も唐揚げを作っていました。
 しょうくんにくっついて見ていたこうへいくんに、しょうくんは唐揚げをふるまいました。
「おいしいだろ、さかなをとると、こういうこともできるんだ。りょうりにも、くわしくなるぞ」と言いながら。
 かげで「弟子にできるな」とも、つぶやいていました。あそびは本来、こうして伝承されていくのでしょうね。

 昨年から始まった、沢ガニの唐揚げも人気でした。
「捕ったら、食べるか、帰りには放す」と、私は言いました。2年生のまこちゃんは迷いました。食べるのは可哀想な気もするけれど、放すのも残念。
「はんぶんだけ、たべることにする」と決めました。
 半分は6匹でした。水を何回も取り替えて、お腹の中の汚物を出させます。
 小麦粉を入れた袋の中に、カニを放り投げて振りまぶします。
 私はかまどで油を熱しておきます。(そうそう、薪で揚げ物は、温度調節がむずかしいのですよ。昨年から、私、大分極めてきました。)
 まこちゃんは、油にカニを放り込みます。一瞬、もがくのを見ているまこちゃんの目は、まん丸。しかし、芳ばしい香が・・・・。
 塩をかけて口に入れると、それはうれしそうな笑顔がはじけました。
「おいしい!」「やっぱり、ぜんぶやる!」と、残り6匹も唐揚げになりました。
 すぐに他の子にも知れ渡り、食べるためのカニ捕りが大はやり、結局、かなりのカニと魚を唐揚げにしました。

 たいしくんとたくやくんは、五右衛門風呂の火を「てつだいたい」と、言いにきました。
 マッチをするところが、まずの難問。
 紙から木がちゃんと燃え出すところまで、顔を真っ赤にしながらやってくれました。
 じゃんじゃん燃える火が、満足げないい顔を照らしていました。

 ところで私は、子どもたちと川あそびをすると身体が冷えてキャンプ最後までもたないかも・・・という不安もあって、水に入ってあそんでいませんでした。水であそばないで終わってしまうのも残念な気がして、ぐずぐず考えていました。
 後半の一日、やっぱり、水着に着替え、上流に行った子の後を追うことにしました。沢を歩くのは、1年生のあいちゃんにとっては大変なことです。ときどき流されたり、胸まで浸かったりしながら、いっしょに下っていると、私の中の子ども気分が戻ってきました。
 途中、木のツタでターザンのように川の上を揺れている子どもを見ながら「私にもできるかしら・・」。
 ツタが切れそうにないことを確認し、チャレンジ! 
 なんと我が身の重いことか。
 だいたい、子どもたちみたいに格好よく揺れないじゃないですか。再度、挑戦。もう、手を放したくなるくらい重い! 
 ツタは切れませんでした。

 川の石を移動させて水の流れを作り、川底を掘って深くし、ウオータースライダーを作っているスタッフがいます。その熱心さ、たいしたものです。ちゃっかり、作業もせずにやるだけの私。
 ところが、どうも、お腹が邪魔になる。ザ、ザ、ザと砂利がお腹をすります。
 空気を入れたビニールのゴミ袋二個をつなぎ、身体を浮かして流れるというのを考案したのはスタッフのえっちゃん。それを、お腹に当てて浮くと、いい感じに流れます! 
 チョウチョの羽がビニール袋みたいに膨らんでいるのを想像してください。チョウチョの胴体の部分が、私の身体。ちょっと、ピンときませんかねぇ? 説明が難しい。
 ともかく、毎年行っていると、いろいろ、あそびも変化するものですね。同じ所を繰り返すのもいいものです。

 あそびには手間暇かけて楽しむのものと、手間暇かけずに楽しむものとあるなーと思いました。
 キャンプとか、山歩きとか、行くのに準備もいるし、楽しいけどちょっと腰を上げるのに力がいります。
 それに反して、ゲームとか、トランプとか、遊園地とか、動物園とかは手軽に楽しさが手に入ります。
 どっちが良いとか悪いとかではなく、どっちもいいですよね。両方持っているといい。
 ただ、今回のキャンプで、手間暇かけるだけのことはあるなと思いました。
 子どもたちの日常でも、手間暇かけたあそびを忘れないでほしいですね。(8月27日 記)

 

 ●バックナンバーもくじへ