柴田 愛子                

 新年あけましておめでとうございます。
 関東は連日、いい天気のお正月でした。
 雪が降り続いている地方もあるようですが、みなさんはいかがお過ごしでしたでしょうか。

 私は例年のごとく、元旦は家族が集まりました。総勢12人でした。
 いちおう、おせち料理が並びます。
 が、料理屋さんに作ってもらったお重が二段、取り寄せた関西寿司、市販の黒豆や小鰭の泡付けなどなど。
 姉が作ったものは、野菜の煮物と栗きんとんに寒天寄せくらい? 
 私が作ったものは、たつくりとなますとこんにゃくの煮物。
 なんだか身内の恥をさらすようですが、お膳一杯に並んだものの、手をかけたとはいえない状況です。

 そこで、話に花が咲いたのは「おかあさんはすごい」と言うことでした。
 私たちが子どもの頃は、すべて母が作っていました。
 今と違って、出来合いがなかったし、5人もの子どもたちが、がつがつ食べます。
 さらに、当時は、父の会社関係の方が新年の挨拶にいらしておせちを食べたり、友人がいらして食べたりということが一般的でしたから、ものすごい量を作らなければなりません。
 年末30日くらいになると、白い割烹着をつけた母が、座ることなく、台所を行き来していました。
 煮物も材料ごとに煮ていましたので、できあがりはそれは美しかったです。
 私たち子どもが手伝った事といえば、栗きんとんを作るためのお芋の裏ごしと、錦卵の裏ごしと、鰹節を削るくらいでした。
 母が80歳を過ぎてまで、私たち子どもは、母のおせちを楽しみに集まっていました。
 みんなおせちは大好きです。
 しかし、なんと、そのたくさんの中から娘が受け継いだのは、たった2、3品。
 現代でもおせちをみごとに手作りなさっている方もおられるでしょうが、私のような方も‥‥多いのではなかろうかと思います。だって、それはみごとな出来合いが売られていますし‥‥けっこうおいしいんです。
 子どもが好きでなから、作らないという方もおられるでしょう。

 今回料理を通して、やっぱり昔の主婦は偉いと素直に思ってしまいました。
 年配の方に「今の若い人は……」というセリフを封じてきた私ですが、「私たちの頃は……」と自慢してもいい気がしてきました。
 時代は変化していますし、同じ尺度で主婦の大変さを測ることはできません。けれど、いつの時代でも自分が頑張ってきたことを自慢するのはいいことかもしれません。聞く方も、それを自分に要求されていると思わず、素直に感心しながら聞けばいいのです。

 今頃、天国の母は、貧しいおせち料理にあきれているでしょうか? 
 それとも、私も今の時代に生まれればよかったと思っているでしょうか? 
 どちらかはわかりませんが私たち子どもは「おかあさんはすごい!」と再確認できたのですから、めでたしめでたしです。(1月5日 記)

お知らせ
「浜名湖わくわくセミナー」2月13・14日(土・日) 
会場・浜松市雄踏文化センター 
講師・柴田愛子・新沢としひこ・谷口国博・中川ひろたか・長谷川義史
参加費・10000円 
お問い合わせ ?&fax054-641-9749 ピーマンズクラブ杉山まで。

☆昨年12月始めに相談メールを頂いたkayさん。なんど返信してもリターンしてしまいます。もう、時間が経ってしまいましたし、たいしたお返事ではないのですが、まだ、気になっていらしたら再度メールを下さい。

 ●「つれづれAiko」連載の05年1月〜07年12月から53編を選んで一冊にまとめました。詳しくはここをクリックしてください。