柴田 愛子                

 先週、一泊で5歳児と山梨県の清里に行ってきました。
 雪あそびをしたくて計画して行ったのですが、着いた日は雪がありませんでした。数日前に、雨が降ってしまったそうです。
 でも、建物の陰や林の中に、わずかに雪が残っています。残っている雪ですから、ふわふわとしてはいません。
 だ、の、に、子どもは雪を見れば食べます。ガリガリと。
 ハイハイ状態や、地面にパタンと伏せって食べている子もいます。もう、止めようもありません。
 気温は低いので、林の中を流れている川は全面に凍っています。氷の上を滑るかと思えば、氷をたたいて割り、これまた食べます。
 氷がピザのかたちだといって「氷ピザ」なんてガリガリ食べます。
 寒くならないのでしょうか?
 どうしてこうも、がっつきなのでしょう。
 川の水がきれいかどうかはわかりませんが、少なくとも透明で光っている氷は美しいです。だれも腹痛は起こしませんでした。
 すでに枯れている木を切り倒したり、氷を割って集めてお家ごっこが始まったり、かき氷機で掻いて食べたり。雪がなくても、文句を言うどころか、忙しそうにあそんでいます。

 夕食後にも散歩に出ました。月と星が美しく、気温は低いのでしょうが寒いとは感じません。
 原っぱで影踏みをしたり、絵本を読んだり、かくれんぼをしたりしました。
 もっとも、暗いところでのかくれんぼは喜んではいませんでした。
「もう、かえりたくなっちゃった」と手をしっかり握ってくる子もいました。
 大騒ぎでお風呂に入り眠りにつきました。
 子どものお泊まりは、おとなはほとんど安眠できません。
 これがうまく調整できたら何日でもいいのに、と思いますが、何年やってもうまく熟睡はできませんね。

 翌日、目覚めると一面の銀世界! 
 降っています! 降っています! 一晩だけで、こんなに景色が変わってしまうのかと驚かされます。
 歓声を上げて外に出て行きます。今日はあそぶことに夢中で、ときどき口に食べるくらいです。
 多くの子が雪だるまをつくりました。雪が新しいので、ゴロゴロ転がしていくだけで、どんどん大きくなっていきます。
 大きな雪の玉を10個も集めて繋げ、雪の上を渡って行くあそびを考えた子どもたちもいます。
 そりでキャーキャーと滑っている子もいます。
「つめたい」と、部屋に入っては出るという繰り返しの子も。
 ちょうどみんなが部屋に入りたい頃に、雪は雨に変わりました。
 昼食をすませて帰路につきました。
 たった、一泊二日の旅です。往復は貸し切りバスを使いました。

 ちょっと、驚いたいくつかのこと。
 子どもたちがバスの中で「メールごっこ」を始めたのです。
「いい? おくるよ! よんで! きょう、あそぼってかいてあるからね」「うん。きょう、あそぼ(読んでいる声)。へんじうつからね!」ってな具合です。
 とうとう、子どもたちのあそびに登場しましたね。携帯電話ごっこは、すでに当たり前です。
 もうひとつ、朝食にゆで卵が出ました。殻がむいていないままの卵です。
「これ、なあに?」「どうやって、わるの?」と聞かれました。
 確かに、すこし前は、遠足といえば、おにぎりと丸ごとのゆで卵が定番でした。
 今はゆで卵を持ってきたとしても、丸ごとは少ないです。殻がむかれて半分に切ってあります。
 圧倒的に卵焼きが多いでしょうか。
「お風呂のお湯はどうやって湧かすの?」と聞いたおとなに、
「ピっておすとじゃーってでるの」
「40どとかにきめて、おすの。うちはおいだきもできるよ」
という子どもたちの返事にも、時代の流れを感じましたね。
 生活環境はずいぶん変わってきましたが、自然を前にしたときの開放感やあそびかたは変化なし! 
 心が原点にもどるような感じがします。(1月31日 記)   
撮影/小西貴士(キープ自然学校)

お知らせ
「浜名湖わくわくセミナー」2月13・14日(土・日) 
会場・浜松市雄踏文化センター 
講師・柴田愛子・新沢としひこ・谷口国博・中川ひろたか・長谷川義史
参加費・10000円 
お問い合わせ ?&fax054-641-9749 ピーマンズクラブ杉山まで。

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