柴田 愛子                

 今年は、たっぷり桜を楽しみました。
 3月27日は、友人と皇居と千鳥ヶ淵。まだ、五分咲きと行ったところで寒かったです。
 お弁当持ちは急きょ変更。寒い中でシートを敷いての花見は体に応えます。
 しかし、人がたくさん出ていました。驚いたことに、池にはたくさんのボートが出ています。
 更に驚いたことには、ボート乗り場には長蛇の列が! カップルならまだしも、家族連れが列んでいるのは理解に苦しみました。寒い寒いといいながら、列んででも乗りたいのは親? それとも、子ども?

 3月31日は、毎年恒例の伊豆高原です。ここは桜のトンネルがみごとです。八分咲きといったところでした。
 ところが、この近くに大室山というのがあるのですが、そこには雪が積もっていました。麓の桜は寒さでしおれてしまったところもあって、ちょっと気の毒。

 4月3日は、鎌倉。骨髄バンクのチャリティーコンサートが円覚寺でありました。
 本堂裏の小高いところからは、お寺の屋根、新緑、桜が眺められて、美しい景色でした。

 4月4日は、母の命日です。5年前桜吹雪の中を天に昇っていきました。お墓参りに青山墓地に。ここも桜の名所。墓の合間でお花見をしている人がいました。

 4月6日は暖かくて快晴。りんごの木の近辺をサイクリング。
 みごとに美しく咲いた桜や、風に散っていく花びらがあちらこちらで楽しめました。
 天気がよかったせいでしょう、家族連れがお弁当を広げていました。
 子どもがこんなに住んでいるんだと、驚くほどにあそんでいました。
 途中、プレイパークにしている公園では、子どもが土に穴を掘り、水をバケツで運び、火を焚いてカルメ焼きを作り‥‥と、心がなごむ光景でした。やはり子どもが賑わってるというのはいいものです。

 こうやってたどってみると、春休みでしたね。よくあそびました。
 そして、私って桜が好きなのでしょう。
 桜の木は、日頃は目立たないのですが、この時期になると、ずいぶんあちらこちらにあるものだと思います。そして、新緑と桜は似合いますよね。

 そんな春休みを終えて、いよいよ新学期です!
 9日から始まりました。まだ、一日ですけど。
 楽しみと緊張で、前日は浅い睡眠でした。名前を覚えられるかが、最大の不安。申込用紙を読み返しますが、いざ、つぎつぎにやって来ると、混乱してしまいそうなのです。親と子の組み合わせも、よほど似ていないとむずかしいです。

 初めての親子は、緊張しながらも輝きを放ってやってきます。
 りんごの木は、初日から親が置いていきます。
 3人くらい泣きました。「お、 泣いた!」と、どこか嬉しいのだからおかしいでしょ?
 泣かれると新学期って感じがするんです。
 保育者が泣く子を片腕で抱えながら、他の子に対応したり、動いたりしています。その様子はお猿さんの親子の動きに似ています。
 泣いている子にしてみれば、馴染んでいない場所においてけぼり。お母さんは帰ってしまい、知らないおばさんに抱かれるのです。
 ところが、しばらくすると、知らないおばさんは、ちょっと気を許していいおばさんになるのです。肌を通して、安心感が生まれるのです。そして、泣き止んで膝であそび始める。
 やがて、膝からも立ち上がり、ついついあそび始める。
 この行程を程合いをみながら見守っていくのが、なんともいいのです。うれしくなってしまうのです。出会いの喜びなのです。

 初日の子どもは、他の子がまだ見えてはいません。親に置いて行かれたことをわかっていない子もいます。目が合うとそらす子もいます。まだ警戒警報が心の中で鳴っている子どもたちです。この、緊張しながらも関係を作っていくのが、保育の楽しさの第一歩です。
 さあ! 新しい学期が始まりました!(4月11日 記) 

●2010年のバックナンバーはここをクリックしてください。
●「つれづれAiko」連載の05年1月〜07年12月から53編を選んで一冊にまとめました。詳しくはここをクリックしてください。