柴田 愛子                

 ここ数年、3歳児では戦いごっこが頻繁に見られます。
 ごっこというよりも、仮面ライダーやウルトラマンになりきっています。
 男の子ばかりではありません。女の子はプリキュアになって、同じように戦っています。
 身体をありったけ動かすのは、気持ちよさそうですが、いつもTVキャラクターになっているのもどうなんでしょう、と眺めています。
 うっかり近づこうものなら、痛い目にあってしまいます。
 ごっこと違ってなりきってしまうために、手加減がありません。

 4歳児になると、同じ仮面ライダーでも、プリキュアでも、役割を決めてごっこあそびとしてやりますから、実情はおままごと?という感じのときも多いです。
 5歳児後半になると、キャラクターものは下火になり、ポケモンカードなど収集することにはまっていきます。
 あそびの盛り上がりは、ルールのあるあそびや、スポーツ、ゲームにみられるようになります。
 
 5月25日の毎日新聞に「プリキュア人気の秘密」という特集がありました。
 その記事の中にも、「勧善懲悪の大衆アニメ」「友だちと力を合わせて戦いながら、夢に向かってがんばる」という文章がありましたが、確かに、混じりけのないメッセージです。だからわかりやすくて、子どもはすんなり受け止めるのでしょう。

 かつて、私の時代は「スーパーマン」、その後のことは詳しくはないのですが、「ウルトラマン」はさすがに知っています。
 いつも正義が勝つのです。これは子どもにも根底に持っていてほしい思想だと思います。それらがかっこいいと感じてほしいです。
 でも、記事にはこんな事も書かれていました。
 プリキュアがいままでの女の子アニメと違うところは、「女の子が主体となって戦い、問題解決をしていく姿」と、ありました。「女の子も、思いっきり暴れて爽快感を味わいたいという気持ちはあると思う」と制作者は話します。
 ちょっと気になります。どのアニメ・キャラクターも、男女ともに、あきれるほど戦いで勝ち取るやりかたです。
 これが、爽快感に繋がるのでしょうか。
 この爽快感を、子どもが望んでいるのでしょうか?
 逆に考えると、戦いごっこしか爽快感を味わうあそびを知らない?
 それとも、戦いで勝つ爽快感は動物的な本能? 
 小学生にこのあそびが見られなくなってくるのは、爽快感を味わうほど人と戦うことは単純じゃないことがわかるからでしょうか。 
 子どもの発達にあった魅力が潜んでもいるのがわかりながら、どうも歓迎したくない気分はこのへんにあるのかもしれません。
 少なくとも2,3年なんだから、仕方がないとあきらめて見守るべきかどうか考えてしまいます。
 ごっこに移行しながら手加減を覚えていくんだし‥‥。

 情けないことを言っていますか?
 だって、歯止めは利きそうもありません。
 力で禁止したところで、子どもはどこかでやるにきまっています。
 それに、おとながあまり歓迎したくないあそびは、いつの時代も子どもの間にありますよね。
 そして、それはおとなが仕掛けている。
 これらのあそびは最もイヤなわけは、「キャラクター商品 売り上げ年100億円」というとこかも。
(5月30日 記) 

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