柴田 愛子                

 6日の日曜日は、都筑図書館の15周年記念の催し物によんでいただきました。
「アイアイ・デコデコ対談」と銘うって、私あいこ(アイアイ)と絵本作家長野ひで子さん(デコデコ)との対談でした。
 対談名は長野さんがつけました。
 二人でいると、つい、話があっちこっちへとんで、雑談になってしまいます。
 私たちは30年近い前からの知り合いです。長野さんが絵本作家になる前、私がりんごの木を創設する少し前のことです。「子どもとつくる生活文化研」のメンバーのひとりだったのです。
 長野さんの住まいと、りんごの木とが近かったこともあって、寄ったり寄られたり、世話をかけたりしながらのお付き合いが続いてきました。
 今、こんなふうに大絵本作家になられて驚きですが、だからといって、つきあい方が変えられるわけではありません。
 だから、ついついおしゃべりになってしまうのです。
 気遣いをしないでいい対談で、私たちは楽しかったです。
 聞いてくださった方がどうかは、少々心許ないですが。

 終わってから長野さんに聞いてみました。
「25年前、今のようにたくさんの絵本を出すことを想像していた?」
「ううん、ぜんぜん!」と返ってきました。
 今の仕事、いろんな人たちとの付き合い、何もかもが想像外だったと言います。
 私もりんごの木を始めた25年くらい前、本を出すとか、講演するとか、まして絵本を出すなんて、想像もしていませんでした。だいたい、りんごの木が続くことさえ想像していませんでしたから。
 二人の共通点は好きなことをやり続けてきたら、だんだん、世界が広がってきたということでしょうか。
 長野さんは絵を描くのが好きだった。いつも想像の世界が広がっていたようです。
 私は子どもに興味があった。保育という仕事が好きだった。
 そして、人との出会いに恵まれてきたというのも、今を得た大きな要素です。

 先日来訪された方に「これから先、りんごの木をどんなふうにしていきたいですか」と聞かれました。
「なんにもありません。今を大事にしていくだけです」と答えましたら、ピンと来なかったようです。
 でも、ずーっと、そんなふうに来ました。気張らず、目標も持たず、今をありったけ。
 大きくしようとか、つぶれないようにとかと気を揉んだことはありません。
 なんかだらしないかもしれませんが野望がないのです。
 学校時代は、すぐに「目標は?」「目標達成のための計画は?」と言われませんでしたか? 
 その度に大人を納得させるための空言をでっちあげてすごして気がします。
 きっと、私って死ぬまでそうなんでしょうね。まあ、そんな生き方もいいものですよ。(6月6日 記) 

●柴田愛子講演会のご案内
6月19日(土) 13:00受付開始 13:30開始
場所 鎌倉芸術館大ホール(JR大船駅下車 南口 徒歩10分)
タイトル「大人と子どものいい関係 〜大人のつもり、子どものつもり〜」
主催 財団法人湘南教育会館
共催 湘南教育文化研究所
   湘南地区母と女性教職員の会をすすめる会
☆当日参加可能 無料

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