柴田 愛子                

 今年も卒業生とのキャンプに行って来ました。
 小学生108人、中学以上24歳までが19人の参加でした。
 いつも夕方には過ごしやすくなる丹沢も、暑かったです。
 昼間の戸外で40度を越えたときもありました。そんな時は、川に入るしかありません。
 川に入ったとたん、涼しいのを通り過ぎ、寒くなってしまいます。
 震えながら火にあたったり、五右衛門風呂に入ったりして温まります。
 川であそび、冷えた麦茶やほうじ茶をのべつ飲み、汗びっしょりかきながらも、じっとしていない子どもたちのパワーに圧倒された日々でした。
 今回、感じたことは……
1.ジャンプの仕方が変化した
 毎年行っているところだからでしょう、同じ場でもあそび方が変化してきます。
 5メートルもある堰から、ジャンプするだけでも満足していたのに、今年はさらに高度になりました。男子は宙返りをしたり、女子はチアダンスのように、6人くらいで構成を考え美しくジャンプしていました。私はたびたび誘われましたが、こういうのは苦手です。恐いし、足を捻挫しそうだし、君子危うきに近寄らずです。
2.魚を手でつかみ取る
 以前はペットボトルを利用して仕掛けを作り、かなり大量に捕っていました。が、「仕掛けはもう古い」そうで、あまりやっていません。今回は手づかみです。私も初挑戦。岩の下に手を突っ込むと、指先が魚に触ります。その感触では30?もあろうかと思えるほどの大魚。ウヨウヨいるのはわかるのに、もどかしい! 肩まで突っ込んで捕ったときは、「ヤッター」と叫ぶほどうれしいです。捕った魚は10?くらいのはやでした。12匹も捕れて、唐揚げでおいしくいただきました。
3.カニを唐揚げでなく、直火で焼く
 沢ガニは毎年人気で、唐揚げにします。下流であそんでいたときに、寒くて火をおこしていました。そこへ、カニを捕まえた子が「このまま、焼いて食べれる?」と聞きます。「やってみよう!」ということになり、素焼きしました。誰も始めに口にせず、私が食べてみましたら、唐揚げとは違た風味がありなかなかです。
 数年前、初めてカニを捕まえて食べたときは、子どもたちは眉をひそめていましたが、味を知ってからは「かわいそう」なんて言う子はいません。食べるために捕るようになっています。
4.成人した子どもたちとの会話
 すでに仕事をしている子もいるし、就職先が決まった子もいます。大学生で就職を考えている子もいます。そんな子どもたちと話していたときに、私の経歴を聞かれました。
 いつ、幼稚園の先生なろうと思ったのか、どうして「りんごの木」を作ったのか。子どもたちにこんな質問を受けるのは初めてでした。
 これからの人生を考え始めている彼らに、幼い頃の姿が重なり、年月の流れを感じました。目標が決まっている子ばかりではありません。自分のやりたいことが見えないと言う子もいます。そう言いながらも、これから先に夢と希望を持っている彼らがまぶしかったです。
5.子どもを連れてやってきたみっちゃん
 一昨年まではいつしょにキャンプしていたみっちゃんが、日帰りで子どもを連れてきました。
 8ヶ月の赤ちゃんは人見知りをします。大泣きしているのに、みんなの腕に抱かれてたらい回し。
 お母さんの腕に抱かれると、ピタッと泣き止みます。
 みんな「おー!」と、お母さんになった幼なじみに目を細めていました。

 長くなってきたので、もう、終わりにします。今年は猛暑でした。「暑さは中高年には堪(こた)えるが、子どもは慣れる」と聞きましたが、まさにそうでした。子どもはほんとに元気です。この元気は普段はどうなっているのだろうかと、心配なほどに。社会や大人たちは子どものエネルギーを、内に内に向けさせてしまっているのではないかしら。迷惑がかからない、危険のない、手間暇かからない、一見効果的な、教室やパソコン、ゲーム、塾へと。
 子どもらのあそびを見ていると、あそびながらすごく頭を使っています。工夫をしています。危なっかしいけれど自らの体験になっています。子どもたちのエネルギーをもっと外に向かって出す必要を感じたキャンプでもありました。

 またまた、次回はお休みさせていただきます。(8月27日 記)

●2010年のバックナンバーはここをクリックしてください。
●「つれづれAiko」連載の05年1月〜07年12月から53編を選んで一冊にまとめました。詳しくはここをクリックしてください。