23日土曜日は運動会でした。秋晴れの文句なしの運動会日和。りんごの木唯一の全員集合行事。
保育に来ている子どもたち110人と、その家族が集まりました。
今年はおとなのプログラムにNHKラジオ体操第一を入れました。
最近、小学校ではラジオ体操をしないということを耳にし、おとな達がやる姿を見せたいと思ったのです。
案の定、たくさんのおとなが出てくれました。親も祖父母もお手のもの。みなさん、さすが長年にわたって身につけてきたものですから板についています。
整列してやったわけではないのですが、前から見ると、それはそれは美しく身体がそろって、圧巻。
4、5歳児は、2週間前から競技を提案、選考、決定、そして練習と進めてきました。
競技を決めるところまでは、それぞれが考えたものを提案し検討という話し合い続き。そこで残されたものをやってみて検討、最後に5種目に決定するという行程です。
最後まで残った面白い競技に「水いっき飲み競争」というのがありました。走って行って、コップの水をいっきにのみほした方が勝ちというものです。
ところがこれはやってみたら、いっきにごくごく飲める子と、飲めなくて苦しくなる子がいたのです。
残念ながら却下になりました。
片付け競争というのは、ちらかったおもちゃなどを「かたづけるよー」の声かけでかごに入れるというもので、生活感がにじみ出てましたね。これはあっという間にきれいになり、毎日使いたいような競技でした。残念ながら残りませんでしたが。
結局、借り物競走、パン食い・パン取り競争、5分間マラソン、鈴割り、リレー、そして、有志のパレードとなりました。 毎年、パン食いは人気だったのですが、今年は手を使えないのはイヤだからジャンプして取るという子が登場。
これまた、やってみたらすごく面白かったです。口で取るのと同じくらいむずかしいものでした。
さて、運動会前一週間の練習は、ほとんどリレーについやされていました。といっても2回走り、あとは順番や作戦を練るという程度ですが。4、5歳児混合で2グループあり、全員が走るリレーです。5歳児にとっては絶大な人気の競技です。
初めてリレーを試してみた日。
4歳児にとっては初めてのことです。
バトンをもって走り始めたまおちゃん。しばらくするとバトンを投げてしゃがんでしまいました。もうひとり、走らない子がいて、こちらの公園グループは6人差のボロ負けとなりました。
翌日、みんなの負けて悔しい気持ちをどうするかが話し合われました。
このグループに混ざっていた小学生が「まおちゃんは、はしるのやめればいい」と大胆な意見を出しました。
一瞬、みんなに息を詰めたような緊張が走りました。
すると「だって、まおちゃんだってはしったほうがいい」と、きょうちゃんがいい出しました。まおちゃんが好きだから、そんなのはかわいそうという気持ちだそうです。
そこで、まおちゃん本人にどうして走れなくなったのかを聞きました。
「はずかしいから」という返事。みんながワーワー言って自分を見ているから恥ずかしいのだそうです。
「じゃあ、走りたくない?」と聞くと「はしりたい」と言います。
どうしたら走れるかを本人に聞くと「あおくん(保育者)と、てをつないではしりたい」。
まおちゃんだけでなく、みんなも負けたくないぶん頑張って走ることになりました。
翌日、まおちゃんはあおくんと手を繋いで走りました。バトンを渡す少し前、あおくんとの手は外れました。
その翌日、まおちゃんは、あおくんを忘れたかのようにひとりで走りました。
そして、本番の運動会当日。大勢の人に囲まれたグランド、いつもより距離も多めです。でも、まおちゃんはひとりで、必死に走りました。一周は長く、永遠に続くようにさえ思ったでしょう。段々緊張は登りつめ涙が溢れてしまいました。でも、ちゃんと次の人にバトンタッチ! 偉かった! もう、保育者も涙です。
当日は、こちらのチームが勝ちました。負けが続くというのは、それぞれが自覚して走ることに繋がったようです。
昨年も「はずかしい」と言って走れなかったうみちゃんは、今年は年長の一番組です。輝いた誇らしげな顔をして、その走りは見事でした。一年の成長を感じさせられました。
小学生のリレーもありました。おとなのリレーもありました。大きくなっていく道筋を、まあるいグランドの中に見るような思いでした。
たくさんの隠されたドラマに、今年も元気をもらいました。(10月24日 記)
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