柴田 愛子                 

 先週、山梨県清里にある「キープ森の学校」に一泊で行って来ました。
 5歳児34人、おとなのスタッフ6人、大型貸し切りバスに乗っていきました。
 出発して20分もしないうちに「あと、なんぷん?」「もう、すぐ?」とうるさく聞きます。
「まーだまだ」。
 3時間もかかるのに、まだ高速道路に乗ってもいないのに、とあきれましたが、そのうちおしゃべりに夢中になって、やれやれです。
 着いたところに雪はありませんでした。路肩や林の中に残り雪がありますが、いつの雪でしょう。表面は堅く凍っています。でも、食べます。
 林の中の小川が全面凍っています。その上を歩くと、すてんすてんと転びます。
 子どもは転び方が上手で、すぐ立ち上がります。しばらくすると、スケートのように滑るようになりました。次第にツルツルの氷の部分と、ザラザラの所を見分け、ツルツルの広いところでフィギュアスケートのように回転してみたりしています。子どもの身体はすごいです。
 私はといえば、氷の上で尻餅をついて打撲で数ヶ月かかった記憶がよみがえり、おどおどと歩き、とうとうお尻を着いて川をすべっていました。
 川の中では氷やつららをとってなめます。霜柱の巨大のを「もってかえる」と抱えます(写真右)。林の中では、あっという間に木に登っています。
 夜も森に出かけて、こわいこわいと言いながら、夜空の星を眺めたりかくれんぼをしたり。
 雪が少ないなんてなんのその、いつもと違う自然を大いに楽しんでいました。
 寝る寸前まで大騒ぎ。朝は6時から「こおりオニしよう!」と大騒ぎ。ロビーにあるテーブルや椅子まで、太鼓のように叩いたり、転がしたり、積んでみたり、あきれるばかりのパワーです。
 館内は、まるでネズミの巣のよう。つくづく、他の団体が借りていないときを選んでよかったと思いました。

 子どもはいつも走っています。じっとしていません。大声で話します。脱いだ物を決して、自分のリュックにかたづけません。どこでもあそび始めてしまいます。子どもの群れは手がつけられません。
 でも、子どもたちは表情はすごく楽しそうです。
 いつもよりテンションが上がっていることもあるのでしょうけれど、心が宙を飛んでいるようです。
 静かだったのは、ご飯を食べ始めた数分と、寝ているときだけでした。
 元気をもらうどころか、疲れ果ててしまいましたが、子どもたちの生き生きしている姿はやっぱりいいものです。
 卒業を前にして、信頼しきった仲間たちとの旅でした。(写真の雪山は八ヶ岳連峰です。2月7日 記)

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