おおしま

はな

柴田愛子

 先週は、いきなりすごい暑さでした。
 暑ければ、やっぱり子どもは水あそびです。2、3歳児は庭にビニールプールを出して、浸かっていました。
 保育者に氷を口に入れてもらって、もごもごやってもいました。
 3歳のかずくんはこの日、やんちゃ坊主のきわみ。ほかの子とけんかをするときは、気持ちを言葉にするのがもどかしいのでしょうか「びゅまゆら×○□△・・・・・・」意味不明の音で攻撃しています。
「かずくん、英語うまいねぇ」と私が言うと、にこっと笑顔。私も調子を合わせて意味のない音でのコミュニケーション。
 そんなかずくんがですよ、氷をもらってみんなの口が膨らんでもごもごしている様子を「ほおばってるね」なんて言うのです。
 子どもが言葉を覚えていく順番は、ほんとにわかりません。音が気に入ったのでしょうか? ほおばっている様子と言葉の音がマッチしたのでしょうか? 
 少なくとも、大人が考えるような難易度で発達していくわけではなさそうですね。

 ところで、子どもは水あそびが好きです。
 公園に行くと、必ず水飲み場の丸い水の出てくるところを指で押さえます。ピャーと周囲に弾ける水に大喜び。
 水道の蛇口も指で押さえます、これもピャーと飛び散って顔から服から水浸し。げらげら、きゃーきゃー大笑い。
 こういう光景はどこでもあると思います。
 最近、私は講演の中で「わが子(もしくは、担任している子)が、公園でこういう遊びを始めたらどうしますか?」と、お聞きします。
 関西方面は「そのまま見ています」「公園の水は遊んでもいいんじゃないですか」という意見が聞かれます。
 しかし、関東は「止めます」という方がほとんどです。
「どうして、止めるのですか?」と聞くと「ぬれちゃうから」「周りの人に迷惑だから」が大半です。
「どうして、濡れちゃいけないんですか? 色水じゃないので、乾けば元通りになりますけど」と言いますと、「でも、着替えなきゃいけないし着替えを持ってきていないし」
「周りの人に迷惑」も、周りの子をぬらしてしまうから。
 そして、水あそびにひかれてやって来る子どもがいて、「誘い水になってしまうから、申し訳なくて止める」という人もいます。
 私はどうしてこんなに濡れることがいやなのかしらと思います。
 水あそびの時の子どものはじけるような表情ときゃっきゃという声を聞くと、できることならやらせてあげたいと思います。
 公園にタオルと着替え一式を持ってあそびに来ればいい話です。

 かつては止める理由は「水が大事と教えたいから」が、圧倒的でした。今はほとんどその答えは聞かれません。他人を意識しての子育てに重点が置かれているように思います。
 私だって使いたい放題、流しっぱなしをして、公園が海になるのは困ります。頃合いを見て「もう、お終い!」と言います。
 でも、やる前から制止するほどの理由はありません。それに、子どもはやりたいことは、少しでもやれば納得します。
 濡れちゃいやな子が濡れて泣いたり、顔にかかって泣かれたり。そんな経験を通して、お互いに水のあそび方を知っていくのではないでしょうか?
「濡れちゃうでしょ!」と止めるのは、意味もわからず、体験もなく「やっちゃいけない」と命令するのと同じ事。
 子どもにとって心が解放される魅力的なあそびを「我慢!」は酷な気がします。
 これからの暑い夏、公園でしばし水あそびで涼しくなるのもいいのではないでしょうか?   (6月26日 記)

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東日本大震災で被害にあった
         「現地の人の思いを聞く会  第3回」

 今回は福島県飯舘村の酪農家長谷川健一さんをお招きします。
 飯舘村には12軒の酪農家がいます。全員牛を手放しました。
 朝5時前に起きてぼーっとしているとおっしゃっていました。
 実際の状況と心情を語っていただきたいと思います。
 なお、今回は映像が強烈なので、子どもの参加は避けて欲しいとのご希望です。より多くの方に聞いていただきたいと思っています。
 お招きした人    長谷川健一さん
 日時        7月10日(日) 10:30〜12:30
 場所        りんごの木・赤りんご 電話045−945−1023
 会費        無料
          (募金はそのままお持ちいただきます。) 
         
                        りんごの木 柴田愛子

 

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