おおしま

はな

柴田愛子

 暑いですね。夏休みとはほど遠く、なんとなくあわただしい日々を送っています。
 この二週間の間に、りんごの木のセミナーがありました。講師は近年定番になった方々です。立花愛子さん、汐見稔幸さんは、今年も刺激的な提案をくださいました。ケロポンズ、新沢としひこ、鈴木つばさ、アップルジャムと、りんごの木の元同僚や仲間たちが集まってくれて、励まされます。今年21回目のセミナーです。しらずに積み重ねられてきた年月を感謝する思いです。
 参加者の方々もお顔馴染みが多く、職場での後輩をお連れ下さったり、みなさんに支えられていることを実感します。

 一年に一回の大イベントを終えて、片付けも早々に7月31日には富士ロックに行ってきました。
 私とロック、似合わないでしょ? りんごの木の父兄が企画していることもあって、行くことになったのです。
 家を7時に出て、苗場山(新潟・長野県境)に10時半。山の中に数個のステージが設置されていて、雨が降ったり止んだりのなかを、カッパに長靴というスタイルで巡りました。10万人の集まりだったようです。
 その中にキッズランドもあって、伐採した木で作られた立派なプレーパーク、テントのなかではフェイス・ペインティングや積み木の遊び場があります。ここは別空間でちょっとホッとしてメリーゴーランドにも乗ってみました。
 ダイナミックな会場と内容に、ここはどこの国?  と気持ちが宙に浮いてしまうような興奮状態。歩いている人々の身体には音楽が流れていて身体がリズムを持っています。
 私がいちばん馴染んで聞けたのは、加藤登紀子でした。真っ赤なドレスの彼女は貫禄のある存在感でした。今回の震災のことに真っ正面から向き合ったメッセージを発信していました。主張を持って生きてきた重厚感があります。
 足下が雨でぐちょぐちょなのですが、前に進み堪能してきました。
 そして、驚かされたのは、私より年上のおばさんなのに、聴衆が素直に聞き入っているということでした。
 どの会場もそうですが、演奏している人はさることながら、聞いている人々の表情がすごくいいのです。私は何を見ているのかと、ふと、笑ってしまいましたけれど、人々から幸せな気持ちをもらっていました。
 泊まらずに夜中に帰宅し、ながーい一日でした。一日歩きっぱなしでしたけれど、良い気分でした。

 このところ、深刻な相談が多く、日々悩みながら暮らしている方が多いことを実感させられています。一度、視線をそらしたり、環境を変えてみたりということも大事なのではないでしょうか。足下から空へ目を向けてみたらいかがでしょう。
 私自身もなかなか、夏休み気分にはならないかもしれないけれど、日常のしがらみを少しほどいてみたいと思います。いつもの自分にタンマ! そんな時間もだいじですよね。(8月7日 記)

 新しい絵本が出版されました。「バナナこどもえん ざりがにつり」童心社
 文 柴田愛子 絵 かつらこ。 見ていただけたらうれしいです。
 http://www.doshinsha.co.jp/search/newbook.php

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