おおしま

はな

柴田愛子

 久しぶりに電車に乗りました。といっても、片道15分くらいです。
 吊り広告を見ると「幼児期の子育て」といった文字が目に入りました。
 少子化でも、乳幼児の記事の本は売れるのかしら? どうして? 
 誰しも大事な時期のように思うし、手探りだし、まだ本人には任せられないからかしら? 
 ふつふつと頭をくゆらしていたら、乗車してきた組み合わせがお父さんと三歳くらいの男の子、そのあとに長いとってがついた三輪車にやっと二歳くらいの子を乗せたおじいちゃん。三輪車にシートベルトがついたようなもので、私は始めてみました。小さい子はちゃんとウエストベルトが締められていました。
 おじいちゃんといっても、確かに私よりは若い。だって、その子どもが乗ったままの三輪車を持ち上げて、よっこらしょと乗ってきたんですもの。
 そういえば、夏休みのせいか、パパと子どもの組み合わせが多くなりました。そして、パパがうれしそうなの。
 ほんとに、時代は変わってきました。

 帰宅して新聞を広げたら『孫育てに「イクジイ」奮闘』」という記事が目にとまりました。(14日、毎日新聞)
 〈元企業戦士、「初の育児」〉と副タイトル。なんと、「イクジイ養成講座」が開かれたりしているそうです。
 ジャーナリストの田原総一郎さんは「子育て知らずの孫育て」という本を出版したそうです。
 おじいちゃんがおむつ替えなどをする光景は、かつて私の父などの時代には想像だにしなかったことです。
 好感をもって眺められる人と、眉をひそめる人といるでしょうけれど、世の中見慣れるとだんだん平気になります。
 かつて、スーパーで買い物をしている男性がいると、お気の毒にと思ってしまったものですが、いまでは、気にもなりません。結構、お総菜を買っているのは女性で、食材を買っているのが男性だったりもします。どっちでも、いいことに思えています。
 小さなペット犬をつれて散歩している若い男性を見ると、以前でしたらぎょっとしたものでしたが、今ではそんなものよと思えます。
 かなり急激に社会環境が変わってきています。おかげで、変な固定観念はなくなっていくでしょう。良いも悪いもないことは慣れることが大事ですよね。時代の変化にケンケンしていたら、身が持たないということもあります。

 実は、もうすぐ私の著書がPHP教育出版から出されます。やはり、おじいちゃん・おばあちゃん世代のための子育て本です。
 出版社から提案でした。でも、内容的にはおばあちゃんがかつての自分の子育てとの違いに戸惑い、いわゆる世代間ギャップといわれることを緩和しようとするものです。そして、育児にひと役かってくださいというメッセージです。
 今回の新聞を見て、きゃー、現実は私の認識より先を行っている! と驚いた次第です。
 世の中は、そんな方向に向かっているのでしょう。
 共働きも多くなり、時間的な余裕もないために、親はどうしても感情的になりがちです。ゆとりを持てるジジババ世代がかかわることで、親も子も救われることも多いでしょう。人生長くなったのですから、残り20年を子どもの育ちに関わってくれることは、社会にとってもありがたいことです。
 ただし、親の役を乗っ取ってしまわない程度にね。(8月14日 記)

 新しい絵本が出版されました。「バナナこどもえん ざりがにつり」童心社
 文 柴田愛子 絵 かつらこ。 見ていただけたらうれしいです。
 http://www.doshinsha.co.jp/search/newbook.php

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