りんごの木も二学期が8月29日から始まりました。
まだまだ暑くて、ビニールプールを出しています。でも、2、3歳児クラスはめっきり入る子が少なくなったようです。
5歳児は勢いよく遊んでいるものの、不思議と男の子からあがっていきます。最終的には女の子で占められています。やはり、脂肪の差でしょうか?
暑くてもやはり9月。秋の風が吹いていて「さむい さむい」とふるえて部屋に入ってきます。
4,5歳児は、公共の遊歩道などと隣り合わせているために、通行人の目に入ることになります。
きゃーきゃーと水あそびをやっている子どもたちを、小さい子を連れているお母さんは眉をひそめ、子どもの手を引っ張って通り過ぎていきます。お連れの子どもは、眉を上げて表情がパッと輝いて、引っ張られていきます。
水あそびは子育て中のお母さんにとっては「困りもの」、子どもにとっては「魅力的なもの」というのがはっきり見て取れます。
年配の方々はほほえましい光景を見るように、目を細めてくださる方もいます。
さて、前回書いたOBキャンプのときの子どもとのやりとりで、心に残っているものが、もうひとつあるのでお話しします。
ペガススのテラスの隅っこで、三年生のれなちゃんが膝を抱えて寂しそうに泣いていました。
何人かの子が慰めていましたが、放っておけない背中でした。
「どうしたの?」と聞くと、「えを、へただっていわれたの」。
手には画用紙が握られています。イヌの絵が描かれていました。
「まりのちゃんが、わたしがかいていると、へた! っていった」と言うのです。
「ちょっときなさい!」と、私はまりのちゃんをかなり強引に引っ張ってきました。
「こんなに、悲しそうに泣いているよ。こんなにかわいいイヌなのに、どうして人の絵にそんなこと言うの」と怒ってしまいました。
そこへ、もう一人「わたしも、まりのにいわれた」と、眉毛が八の字になっているほのかちゃん。
私たち三人に囲まれたまりのちゃんの強気な顔が一変。泣き始めました。そしてこう言ったのです。
「だって、ふたりでこそこそした」
どうやら、三人で遊んでいたのに、二人が連むようにこそこそとした。まりのちゃんの気持ちは悲しいやら悔しいやらで、どうしていいかわからない。それで、そのあと絵を描いたときに「へたくそ!」と言ったようです。
一方的にまりのちゃんを怒っていた自分を恥ずかしいと思いました。そして、まりのちゃんの悲しそうな涙が応えました。
あとの二人の子どもも、ハッとしたようです。
私は「三人ともイヤな思いをしちゃったね」と、慰めてその場を去りました。
子どものけんかの原因は、ほんとにわからないものです。けんかに口出しはどうでしょうとも思いましたが、訳がわかって、当人同士もよかったかもと自分を慰めました。
やがて、まりのちゃんの元気な声が聞こえてきました。私とすれちがいさまに「なかなおりしたの!」と笑顔で言いました。
しばらくすると、「あいこさんのえをかきたい」と言ってきました。「しわは少なめにしてね」と、お願いして前に座りました。
「はい、できた!」と手渡された絵には「ありがとうのきもち」が込められていました。(9月4日 記)
新しい絵本が出版されました。「バナナこどもえん ざりがにつり」童心社。 文 柴田愛子 絵 かつらこ。
見ていただけたらうれしいです。
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