キンモクセイの花が香ってきましたね。
一般的にはいい香りですよね。たしかに、いい香りなのですが、この花によるのか時期なのかわかりませんが、私はアレルギー度が増して、鼻づまりや頭痛になってしまいます。困ったものです。
ところで、幼いお子さんをおもちの方々は「どこの幼稚園にしようかしら」と頭を悩ます時期ですね。
講演後に「たくさん見過ぎて、どこがいいのかさっぱりわからなくなってしまいました。どうしたらいいでしょう?」と、ご質問を受けたりします。
ずいぶん以前に「愛子の部屋」でも幼稚園選びについて書きましたが、今思っていることを書いてみます。
@まず、自分が漠然といいと思っている条件を、羅列してみましょう。
・送り迎えが大変だからバス通園。いえいえ、園の状況も知りたいから徒歩で送り迎え。遠くてもいいところならば車もあり。
・楽だし、好き嫌いが多い子なので、給食がいい。いえいえ、食が細いし、私の手作りにしたいのでお弁当。お母さん達でお昼ご飯をつくって いるところはないのかしら?
・かわいい制服がいい。いえいえ、毎日汚れてきたら洗濯が大変、普段着で行けるところがいい。
・延長保育がある、なし。
・お勉強を教えてくれるところ、自由に遊ぶ時間の多いところ。
・遊具が多い、少ない。部屋が広い。園庭が広い。園庭がぼこぼこがいい。園庭は芝生がいい。
・同じマンションの子どもと一緒がいい。
・保育料の価格……。
とにかく、自分が好ましいと思うことを書きだしていくと、イメージが具体的になります。
でも、あなたのご希望通りの所は、滅多にありません。
そこで、どうしても譲りたくないのはどれが、つまり削除して、的を絞ります。
自分が何を大事にしたいのかが見えてくると思います。
A入園案内のパンフレットを見る。
自分の考える範囲にある園のパンフレットをもらってきましょう。
これは、ほとんどいいことが書いてありますから、よほど価値観が違わなければオーケーです。
B説明会、見学。
かつては説明会をするところは有名私立幼稚園くらいでしたが、いまや、どこでも数回にわたってやっているようです。少子化と、納得したい親が増えたせいでしょうか。
説明会は、ほとんどは園長や主任がします。ですから、日常保育より美しく、建前が語られます。話す様子などを通して、好感が持てるかどうかだと思います。
「百聞は一見にしかず」。見学が一番です。
見学でみるものは、先生の指導法ではなく、子どもたちの様子を見てください。園に入れば、肝心要の我が子が毎日つき合うのは、園長でも主任でもなく、担任なのです。保育中の子どもたちが生き生きしているか、ともかく子どもたちの表情と動きが保育を物語ります。
保育者の言動や表情も、園の実態や雰囲気を出していると思います。
なにも、分析しなくてもいいんです。「いい感じ」か「苦しい感じ」か感じることが、あなたにとって素直な評価なのです。
そして、子どもたちを見る我が子の表情を見てください。普段の様子から、子どもがどう感じているかを察してください。興味をもったか、恐怖を感じているか、拒否しているか。
B決定はもろもろの条件とあなたの感度。
結論が出ないので子どもに決めさせるという人がいますが、5歳ならともかく、3歳に決定はできません。だって、園バスに乗りたいからとかアンパンマンの遊具があるからとか、目先のことで決めますから。
幼稚園に行く必要性や毎日通うなんてこと、まったくわかっていません。
園バスは一度は乗りたいのですが、2年も3年も乗りたいわけではありません。
「ないとこねだり」の園選びはいけません。
・消極的だから、アウトドアーっぽい園。
・落ち着きがないから、一斉保育の時間の長いところ。
・食が細いから、強制的に食べさせるところ。
・やんちゃだから、規律正しいところ。
こんなふうに、子どもを矯正するために入れるのはよくありません。
だって、毎日行く子どもの身になってください。苦しいところに、お勤めのように行って、すくすくは育ちません。
今の我が子にあったところをお勧めします。
結論 結局、一番頼りになるのはあなたのカンです。あなた自身の感性、子どもの感性、そんな言葉にならない感性が頼りになるのです。地域の評判より当てになります。
大事な子どもを預けるのですから、あなたが信頼できる相手に預けてください。
頭で納得しても心がついていかないときは、無理があると思います。
いずれにしても、幼稚園は魔法を使えません。あなたのお子さんを、あなたのお子さんとは見間違えるほどの子どもに育ててくれるわけではありません。ご希望にそって育ててくれるわけでもありません。
幼稚園は子どもが群れることで育つ場所です。あなたが教えられないことを、子どもがまなぶ場です。
手続きをして入園通知が来たら、子どもに「○○幼稚園の先生が、○○ちゃんに来てくださいって、お手紙きたよ」と伝えてください。選んだ選ばれたという関係ではなく、望まれたということが子どもを前向きにします。
悩んで、決めて、4月に通い始めたら、現実は違って、納得できなかったり苦しくなったら辞めればいいんです。我が子の成長に不必要ならば幼稚園なんか行かなくたっていいんです。入園金は返ってこないかもしれませんけど……。
もんもんと幼稚園選びにはまってしまった方、肩の力を抜いてください!(10月2日 記)
新しい絵本が出版されました。「バナナこどもえん ざりがにつり」童心社。 文 柴田愛子 絵 かつらこ。
見ていただけたらうれしいです。
http://www.doshinsha.co.jp/search/newbook.php
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