くちげんか

はな

柴田愛子

「晴れ女」と、ずっと言われてきました。自分でもそう思っています。
 山にこり始めた三十代の頃、雨具を買ったのですが5年くらい使わずにすんでいました。「柴田さんが行けば晴れる」と山仲間に言われていたくらいです。
 ところが、この頃、そうとも言えないことになってきました。
 例えば、先日の運動会。天気予報は土日が雨。
 金曜日に、あるお母さんに「お天気はどうでしょう? あいこさんのことだから、大丈夫ですよね」なんて言われました。
「まかして!」なんて言いましたが、ほんとは、週末の金曜日は疲れていました。このまま運動会の突入は辛いものがあると思っていました。だから、天気にしたいけれど・・・どっちつかずの気持ちでいたら、当日の朝は雨がざんざん。「雨ときどき曇り」ということで延期にしました。
 しかし、次に都合のいいのは11月半ばになってしまう。翌日曜日には何が何でもと念じていましたら、運動会日和。うまくいったわけです。
 しかし、どう考えたって、天気の神様が私の都合だけを聞いているはずはありません。
 ひとりひとりの思いを受け止めていたら大変。だって、晴れを望んでいる人もいると同時に、雨を望んでいる人もいるわけですからね。
 その人の頭の上だけの天気にはできないわけですから。
「神通力で晴らしてみせる」という迷いのない強気は、さすがに薄れてきて、今は年相応に「休憩が必要だから雨が降ったのでしょう」と天の神様を素直に受け入れつつある私です。
「晴れ女(男)」「雨女(男)」
 こんな言い方が日常頻繁に使われていますよね。どこか当たっているような気がするのですから不思議なものです。
 ままにならない空と人間の心模様が、微妙に絡んでいるということでしょうか。

 ところで、真っ青な秋晴れの新潟県妙高市に行って来ました。「森のようちえん 全国交流フォーラム」があったのです。
 この会は7回目だそうです。一回目は参加70人だったそうですが、今回は300人からの人々でした。
「森のようちえん」という言い方が耳慣れてきたのは、ごく近年です。今回のお集まりになった方々をみると、まさに全国的に広がっているのを感じました。
 幼稚園、保育園の保育者。すでに森でようちえんをやっている方々、それも施設を持って保育をしている人もいれば、森の中で拠点になる場所を持たずにやっている人もいます。
 親子で森の中であそぶ自主保育という方もいました。
 毎日の保育の人ばかりではなく、自然の中でイベント的に子どもたちと活動している方。
 その他にも学生さん、養護施設の方、心理学の方、森林の研究をしている方と多種多様の方々が集まっていました。
 いずれも、子どもと自然とは切り離せないという共通の意識をお持ちです。熱気のある会でした。みんな、食らいつくように話を聞き、交流していました。お風呂の中でさえ、ピーチクパーチク賑やかだったのですから。
 こんな雰囲気の集まりは、久しぶりでした。保育現場だけでなく、多方面からの人の集まりは刺激的です。視野を広げられた気がします。

 二日間、雲一つない快晴。集会のあった場所からは妙高山がくっきり見えていました。とうとう「登ろう」と思えました。帰りに登ろうかどうしようか迷っていたのです。疲れているし、登れる自信もなく、ぐずぐずと考え、決められないままに、一応準備をしていったのです。
 温泉に泊まって、いざと思いきや、朝から雨。残念なような、ホッとしたような。
 やっぱり、天の神様お見通し?
 無理のない森の中をハイキングして帰宅しました。
 次週から二回お休みします。(11月1日 記)

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