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 前回に書きました「こどもの国」の遠足は、真っ青な空でした!
 ちょっと進んではあそび、ちょっと進んではあそびと、体力とあそぶ才能の両方があきれるほどに備わっているのを実感しました。
 せらくんもやっと肩の荷が下りたことでしょう。めでたし、めでたしでした。

 

 ところが、今度はなんとあおいくんが「りんごのきに、とまりたい」と言い出したんです。
 7月、キャンプを予定していたときに台風がきてしまって行けませんでした。そこで、りんごの木に泊まったんです。それが、すごく楽しかったから、もう一回やりたいというのです。(ちなみに9月にキャンプも行きました。)
 全員に聞くと、泊まりたくない(夕方までがいい)という子は3人だけ。あとは、意気揚々です。
 何が楽しかったのか聞くと「ぜんぶ」「えいがみたこと」「カレーをつくったこと」と言います。

 このまま話が進むと大変なことになります。だって、卒業まではあと数日。りんごの木は卒業式にこったことはしませんが、それでも何かと準備することはあります。
「おとなの気持ちを聞いてください」と言いました。

「君たちが帰った後、おとなは仕事をしている。(詳しく言いました)いま、泊まりはとてもはできない」と。
 しかたなく、折中案を出し合いました。
 ふだんは2時降園ですが5時まで保育にすること。昼ご飯はカレーをいっしょにつくる、映画を見て帰ること、となりました。
 5歳児いちばん組の子どもたちと話していると、りんごの木がほんとに自分たちの場になっていることを感じます。このところは、まるで自主運営の幼稚園ではないかと思うほどです。走ったり、笑ったり、もめたり、自主ミーティングをやっていたり。そんな光景をみると、幸せな気持ちになります。子どもは子どもだけれど、たいした子どもだと。
 
 ところがです。同じ日に週1回の2歳児クラスで終了の会があり、同席しました。
 いちばん組とは違う場所にあるのですが、そのギャップに面食らってしまいました。
 集まっても座りません。自由に歩き回っています。
 保育者が一人ひとりにカードを用意していました。順番に名前を呼ばれて前に出るはずでした。
 が、ちゃんとやった子は数えるほど。まさに、自由人。私たちが思う人間らしさには、まだまだ遠い気がしました。
(きちんとさせない保育者がいけないとは思いません。だって、小さい子どもは「終了」なんてわからないのですから。この日は「おとなのけじめ」というだけです。)

 たった、3,4年の間に、こんなに大きく変化するのです。こんなに大きく成長するのです。

 生涯のうちでこんなに短期間に大きく育つ時期はないでしょう。

 改めて、幼児期の子どものすごさをみる思いです。
 だれに操作されるというわけでもなく、誰をお手本にしたいということでもなく、子ども自らが育っていくのです。そのときそのときの育ちを経て、山のように登りつめていくのです。子どもたちの上にはおとなはいません。わたしたちおとなは下から見上げるよりないのです。落ちそうになったら手をさしのべて支えるだけです。

 ひやひや、どきどきします。でも、子どもを引き留めるわけにはいきません。


 いよいよ、年度末になりました。
 新しいことを迎える方も多いことでしょう。
 親の心配は親が引き受けましょう。親の心配を子どもにのせないようにしましょう。

 足下ばかりを見ないで、少し前方に視点を置きましょう。
 子どもの育つ力を信じて、邪魔にならないように心がけましょう。

 だいたいのことは、何とかなります。「だいじょうぶ、大丈夫」と唱えながら。(3月18日 記)

 

 

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