qq
wrs

 

 今年は桃と桜が同時に満開になり、いっきに春爛漫となりました。新学期にふさわしい風景です。
 りんごの木も10日から始まりますので、保育者はワクワク・ドキドキしながら準備を進めています。
 今年初めてわが子を保育園、幼稚園、こども園にお入れになる方もいらっしゃるでしょう。小学校一年生のお子さんがいる方もいるでしょう。
 わが子が自分の見えない場で、どうしているのか不安と心配で、せっかく自分の時間ができたのに何も手につかない状態の方もおられるでしょうね。
 初日、大泣きする子どもを保育者に預けてきた方は、「あのまま、泣き続けているのかしら?」

「一日、遊べないのでは」「保育者が、わが子だけを抱き続けるわけにはいかないでしょうから、一人で泣いているのかしら」「この先、どうしましょう。泣いてもつれていくべきかしら。まだ、預けるには早かったかしら」
と、動転した気持ちで頭がくらくらしているのではないでしょうか。
 初日、泣かないでスムーズにバイバイされてしまった親は、空振りをしたような妙な感じ。

「泣かなくてよかったわ」と思いつつも「どうして泣かないのかしら。私と離れるのはいやじゃないの? 親子関係が薄いのかしら」「今日のところはだいじょうぶだったけど、明日は泣くのかしら。それとも、5月頃になったら泣くかもしれない」などと、果てしなく思いを巡らすのです。
 どっちにしても、まだ、落ち着かない状態です。

 そして、子どもを迎える時間。親の思いは、いっきに子どもに向けて吹き出します。
「どうだった?」
 これはいけません。だって、どうと問われたって、子どもは答えようがありません。「だいじょうぶだったよ」なんて答えは中学生です。
「泣かなかった?」
 これもいけません。泣いてもいいんです。自分の気持ちをストレートに表現できたのですから、いけないことではありません。
「なにして遊んだの?」
 これもいけません。少なくとも数時間を過ごしてきたわけですから、その時間を振り返って「すなばと、ぶらんこと、つみきと・・」なんて答えられるのは年長さんです。まだ、我ここにあらずで過ごしている子が大半です。「なんにもしなかった」という答えも多いです。そこで、あら大変! なんて思わないでいいんです。
「お友だちできた?」
 これもいけません。友だちなんて、そんな簡単にできません。興味を持った子はいても、手を繋いだり、「あそぼ」と声をかけたりなんて気の利いたことをする余裕はありません。そこにいるだけ、周りを観察するだけでいいんです。
「先生、怖くなかった?」
 これもいけません。先生はオオカミではありません。そんな怖い人に自分を託したのかと、母を恨めしく思います。
「ちゃんとお話しできたの?」「ちゃんと、トイレに行けた?」「ちゃんと、お弁当(給食)食べたの? 何を食べたの?」「いじわるしなかった?」「いじめる子はいなかった?」・・・
 母の不安を解消するための問いかけを、次々と子どもに浴びせるのはよくありません。
「じゃあ、なんて迎えればいいの!」ですよね。
「おかえりなさい!」です。

 笑顔で迎えてください。親の顔を見たとたんに緊張がほどけて、泣き出す子もいます。そんなときは「えらかったね」と、抱いてください。少なくとも、子どもは自分の足で一生懸命頑張っていたのです。親も知らないありったけの自分で。

 根掘り葉掘り聞くより、緊張をほぐす温もりを!
 子どもから話してきたら聞いてあげればいいです。でも、話さないようなら、いっしょにリラックスできる楽しい時間を過ごしてあげてください。

 新しい出来事は、やがて、日常になります。ちょっとずつね。 (4月8日 記)

 

 

2012年度のバックナンバーはこちらをクリックしてください。